万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

自民党と元統一教会

2024年02月29日 12時31分15秒 | 国際政治
 自民党と元統一教会との間の不可思議な関係も、創価学会と中国共産党の関係のアナロジーとして理解し得るかも知れません。自民党と元統一教会との関係も、その表向きの立場からすれば正反対であり、‘水と油’の如きなのです。片や日本国の伝統を尊重し、‘日本ファースト’を訴えてきた保守政党であり、片や日本国を侮蔑し、‘韓国ファースト’で行動する新興宗教団体なのですから。ところが、蓋を開けてみますと、両者は密接不可分と言ってもよいほどに連携関係にあり、国民を心底から驚かせているのです。

 この自民党と元統一教会とのあり得ない関係の謎は、両者ともに‘仮の姿’であったとしますと、ほどなく氷解してゆきます。とりわけ元統一教会は、純粋なキリスト教の信者の団体ではなく、教祖のカリスマに魅せられた人々、悩みや孤独感から組織を頼りたい迷える人々、あるいは、その背後に存在する政治権力や利権を敏感に嗅ぎつけた人々の集まりであったのでしょう。そして、これらの人々は、キリスト教の教えとは無関係に、キリストの生まれ変わりを自称する教祖の命じるままに行動したものと推測されるのです。仮に、真のキリスト教徒であれば、教団のトップが、ウクライナ紛争に際して信者に武器を手に取るように煽るはずもなく、信者の家族が生活苦に陥るほど、教団への献金を促すこともなかったことでしょう。ましてや、教祖が決める合同結婚式など、論外であったはずです。元統一教会の実態から見えてくる同教団の姿は、キリスト教からの堕落という意味において、堕天使を思わせるのです。

 こうしたキリスト教徒を名乗りながら堕天使となった元統一教会の行動は、その真の目的が、共産党と同様に神の否定であったとすれば、その不可解さはなくなります。キリスト教の信者団体であるとする先入観から離れ、その設立の当初から天使の衣を纏った堕天使団体であったと考えれば、どこにも矛盾はなくなるのです。それでは、何故、かくも多くの信者が疑うことなく教祖につき従っていったのでしょうか。

 マスメディア等による一般的な説明は、信者の洗脳です。オウム事件に際しても、マスメディアは思考停止に陥っている洗脳状態を解くことが解決手段とばかりに、潜在意識に働きかけるサブリミナル操作やヘッドギアなどの様々な洗脳手段を報じていました。しかしながら、信者達が教団に留まる理由は、洗脳のみではないように思えます。むしろ、洗脳の強調は、真の誘因から目を逸らさせるところにあるのかもしれません。

 最も考えられ得る誘因は、政治と結びついた‘利益’です。近年、創価学会につきましても、創価系企業の存在が注目されるようになっています。大手の中でも創価系として指摘されている企業も見られるのですが、広域的な一種の創価ビジネスネットワークを形成している実態が窺えるのです。しかも、コロナ禍に際してのマスク配布事業で露呈したビオテック事件等で知られるように、急成長を遂げた企業などを見ますと、政治的な利益誘導や優遇措置も推測されるのです。元統一教会も、霊感商法や信者からの寄付のみならず、同教団系列の企業を抱えているものと推測されます。なお、新興宗教団体の経済活動については、アメリカでも、戦後に急速に拡大した新興宗教団体である福音派のビジネスネットワークが、同国の経済において相当の割合を占めているとする指摘もあります。ビジネス相手の紹介から信者の就職先まで斡旋しているとしますと、信仰ではなく、教団に対する信者の経済的な依存が両者の絆であると言えましょう。

 また、政党や政治家が政治的な動員を必要とする場合にあっても、新興宗教団体ほど好都合な存在もないことでしょう。閉鎖的な新興宗教団体であれば、一般国民に知られることなく、教祖を頂点とする組織内の指揮命令系統を介して末端の信者に‘行動指令’を伝達することができます。動員は、古くから為政者が人気を演出するために用いてきた手段なのですが、現代にあって動員事業の主たる担い手は、新興宗教団体であるのかも知れません。この側面からしますと、元統一教会が絡んでいる安部元首相暗殺事件も、その不審点の多さからも‘政治劇’であった可能性も否定はできなくなってくるのです。言い換えますと、堕天使らしく、教団も信者の多くも、世俗的で利己的な欲望や利益で動いているとも言えましょう。日本国内の元統一教会の信者数は60万人程度とされ、選挙に際しての組織票としての影響力は限られていますが(もっとも、選挙活動員としての動員の方が主流かも知れない・・・)、この数字が動員可能な要員数とすれば、その影響力は侮れないのです。

 以上に元統一教会の実像について述べてきましたが、自民党との関係は、同党が動員等において教団を利用する一方で、教団を政治的利権に与るというギブアンドテイクの関係であったことになります。両者間の相互依存関係を見れば、両者が打算で手を結ぶのも理解に難くはないのですが、両者の協力関係は、それだけではないように思えます。共産党と創価学会との間の隠れた共闘関係、すなわち、世界権力の下部組織としての目的の共有は、自民党と元統一教会との間にも見出されるのではないかと思うのです(つづく)。

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