万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

皇室予算を減らして災害対策費を増やしては

2017年07月07日 17時07分39秒 | 日本政治
不明26人、孤立依然600人超=救助態勢1万2000人に増強―九州豪雨
 九州地方を襲った記録的な豪雨は各地に目を覆うばかりの爪痕を残す一方で、明日にも大雨が予報されており、まだまだ予断を許さない状況のようです。本災害により亡くなられた方々や家屋や田畑を喪失されるなど被害に遭われた方々に、この場を借りて、心よりご冥福、並びに、お見舞いを申し上げます。

 日本は特に自然災害の多い国であり、日本列島の地球構造上の位置に起因する地震、火山の噴火、津波のみならず、台風、大雨、大雪、旱魃といった気象による災害も少なくありません。災害が発生するたびに国土は痛めつけられ、その都度、国民は、復興に心血を注いできた歴史があります。

 今日にあっては、耐震構造や堤防建設などの防災技術の発展や避難システムの構築により、災害時の被害を最小限に抑え込む手段を手に入れつつありますが、かつては、人々が神様に祈るしかない時代もありました。日本全国津々浦々に神社が鎮座し、今日に至るまで天神地祇が祀られてきたのも、人智を超える自然を前にして、その穏やかなることを願ったからに他なりません。平穏無事の祈りを誠心誠意捧げることで、災害という危難を避けようとしたのです

 日本国における天皇の伝統的な存在意義も、この文脈から理解されます。神の子孫として皇統を継ぐ天皇が祈れば、その超越した霊力によって荒ぶる神をも鎮めることができると固く信じられてきたからです。しかしながら、今日、皇族に特別な神的霊力があると信じる国民は殆どおらず、すっかり俗化した現皇族自身も、自らこの役割を否定しているように見えます。天皇の存在意義が自然を慰撫し、災害から国民を護るところにあるとしますと、もはや、この役割を現皇族に期待することはできないようなのです。

 特権ばかりが残り、存在意義が曖昧となった皇室の現状を考慮しますと、宮内庁を含め、皇室予算の縮小は検討されるべき課題であるかもしれません。宮内庁関連予算は、平成29年度で174億円余りですが、天皇退位後は、さらに予算が膨れ上がるものと推測されます。その一方で、自然災害は日本国の宿命でもあるため、毎年、膨大な額の国や地方自治体の予算が復興事業につぎ込まれています。皇族の被災地訪問にも少なからぬ予算が費やされておりますが、財政難の折、皇室の活動範囲縮小や人員の整理等により宮内庁関連予算は削減し、復興予算にこそ回すべきなのではないでしょうか。天皇の神聖なる霊威による災害の未然回避が困難な今日、防災や復興に予算を振り向ける方が、余程、現実的、かつ、実質的な国民救済の道なのではないかと思うのです。

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コメント (6)
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