雲の上には宇宙(そら)

 雪国越後にて、30年ぶりに天体写真に再チャレンジ!

KissDX vs Cooled60D

2013年04月18日 | 機材
本来ならこの記事の目的は、一年間の小遣い減額を条件に、
昨年購入した「Cooled60D」の優位性を高らかにうたい上げれば良かった筈なのですが・・・

販売元より連絡がありましたので、再び不具合発生となっていたCooled60Dを昨日送付しました。
改造元にて状況確認していただき、今後の対応を検討していく事になっております。

そんな訳で、再び冷却デジカメを使う日が来るのかどうかも不明なのですが、
この機会にCooled60Dと、再び現役に復帰したkissDX(SEO-SP2)
天体写真における適正を、あらためて比較して見る事にしました。


■ 天体写真撮影に関わる要素の比較 ■
kissDX・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・Cooled60D
画素数・・・・・3888×2592 (約1010万画素)・・・・・・・5184×3456 (約1800万画素)・・・・・・・・
RAW諧調・・・・・・・・・・・12bit・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・14bit・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
常用ISO感度・・・・・・・100~1600・・・・・・・・・・・・・・・・・・・100~6400・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
映像エンジン・・・・・・・・・DIGIC II・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・DIGIC ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
CCD部冷却・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・外気温-20℃(結露対策後)・・・・・・・・・

1.記録画素数の比較
kissDX・・1010万画素
(クリック拡大で等倍表示)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・白枠が、わたしのモニタの等倍表示エリア
ガーネットスターとIC.1396」  2012.10.08 NFD300mm KissDX(SEO-SP2)

Cooled60D ・・1800万画素
(クリック拡大で等倍表示)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・白枠が、わたしのモニタの等倍表示エリア
クリスマスツリー星団周辺」  2013.02.09 NFD400mm Cooled60D

画素数が多いという事はより細部まで写しとる事ができる訳で、
良いことずくめのようですが・・・
天体写真においては、デジ一眼の画素数はすでにオーバースペックでは無いかと思います。
その理由としては・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
□ 撮影光学系の性能(分解能)が追い付いていない。
□ 画素数の増加により受光素子の面積が小さくなる。
他にもファイルサイズが大きくなり、処理に時間がかかる。
などの副産物も出てきます。
現にデジ一眼の数分の一の画素数なのに、大変高価な冷却CCDカメラが
高嶺の花として存在しています。

地上風景を含む「星野写真」では恩恵は大きいと考えますが、
直接焦点など長焦点での撮影では高画素=優位とは言えないと思います。


2.RAW画像 bit数の比較
kissDX・・ 12 bit
(クリックで拡大表示)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「ベイヤー配列」での1枚画像
触角銀河 周辺」  2013.04.13 R200SS+1.4x(合成f=1120mm) KissDX(SEO-SP2)   (下が北)

「RAWモード」での撮影時には、各画素は受けた光の量を12ビットで記録する事ができます。
( つまり、0~4095 レベルで記録 )
触角銀河付近のレベルを見ると・・・・・・・・・・・・・・・
○ 近くの明るい星・・・・・「4058」・・・・・
・・・・・○ 何もない背景・・・・・・「 550」
・・○ 触角銀河中心部・・・・「 798」
・・・・○ 淡い触角部分・・・・・「 557」

淡い触角部分と、何もない背景との明るさの差はわずか「  7」 レベルしかありません!
”触角”部分はもともと非常に淡く、コンポジット後の完成画像でもかすかにしか見えていません。
無理に強調処理した画像 (上が北)


Cooled60D ・・ 14 bit
(クリックで拡大表示)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「ベイヤー配列」での1枚画像
しし座銀河トリオ」  2013.04.04 R200SS+1.4x(合成f=1120mm) Cooled60D   (左が北)

「RAWモード」での撮影時には、各画素は受けた光の量を14ビットで記録する事ができます。
( つまり、0~16383 レベルで記録 )
M66銀河付近のレベルを見ると・・・・・・・・・・・・・・・
○ 近くの明るい星・・・・・「15305」・・・・・
・・・・・○ 何もない背景・・・・・・「 3050」
・・○ M66銀河中心部・・・・「10433」
・・・・○ 銀河周辺部・・・・・「 3353」

淡い銀河周辺部分と、何もない背景との明るさの差は約「 300」 レベルもあります。
 ”触角”銀河に比べれば明るい銀河という事もあるのですが、2ビット増えた事により
記録されるレベル差が4倍に拡張された事が大きいと考えます。
ちなみに、EOSシリーズは、次のX2から”14”ビットに変更となっています。


KissDXにとって、RAW諧調が "12"ビットというのは、大きなハンディと考えます。


次回は 冷却効果も含めてノイズ特性の比較を行う予定です。

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連日更新がとぎれてしまいました。
撮影が忙しくてブログ更新ができないというくらい
晴れてくれるとうれしいのですが・・・

雲上くもがみ

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