雲の上には宇宙(そら)

 雪国越後にて、30年ぶりに天体写真に再チャレンジ!

高ISO感度による露光時間短縮の功罪

2015年02月15日 | 画像処理のはなし
資金を投入して純正のパーツで鏡筒周りを固めたのですが、これでガイド精度が向上したのか?
冬型の気圧配置でずっと星が見えないため検証ができません。
これは長焦点のVC200L反射鏡筒を活用するために避けて通れない問題だったのですが、
もう一つ、長焦点であるがゆえの問題があります。

VC200Lの焦点距離は1800mmで明るさはF9と暗い光学系になります。
以前から使っているR200SSは800mmF4ですので、その5倍も露光時間が必要になります。
そこで試したのがISO感度を1600から2500に上げて露光時間の短縮を。
結果は背景ノイズが増えて画像がザラついたようになったので、元のISO1600に戻しました。

実は露光時間の短縮は撮影効率というより、タワみによるガイド流れが
露光時間に比例して大きくなる事から、やらざるを得なかったものです。
もし今回のタワみ対策で大幅に流れが減少すれば、露光時間の延長が可能になります。
そこで今回はISO感度露光時間の関係について(天体情報)(ノイズ)比の観点から検証してみました。

使用したカメラは冷却デジカメのCooled60Dですが、今回は冷却オフで検証。付属の温度計で受光面の温度がわかります。

これまでにも
感度露光時間ノイズについて検証を行ってきましたが、
今回は感度を下げて露光時間を延ばした場合についても検証してみました。

以下は異なったISO感度で、撮影時に天体からの情報量(受光量)が同じになるよう
露光時間を変えて撮ったダークノイズです。 * ダークノイズ・・・光を受けなくても発生するノイズ

* 各表示画像はノイズが分かりやすいよう500%に拡大し、レベル表示巾を狭めています。
ISO 1600  露光時間 10分00秒
受光面の平均温度は 9.0 ℃  これまで R200SS F4での標準露光です。

ISO 2500  露光時間 6分24秒
受光面の平均温度は 8.4 ℃  露光時間は短くなっているのにノイズは明らかに増えています。
* 図のヒストグラムの裾野の巾が広いほど、背景ノイズのザラつきが目立つようになります。

ISO 800  露光時間 20分00秒
受光面の平均温度は 8.0 ℃  露光時間は ISO2500の3倍以上になっていますが、ノイズは大幅に減少しています。
実は低い感度ISO800での撮影はこれまでやった記憶がありません。
むろん、露光時間がその分長くなるのですが、もし大幅にノイズが減るとしたら・・
ランダムノイズを均一化するためのコンポジット(重ね合わせ)枚数を減らせるかも知れません。
実は今回の検証にあたっては、15秒の間隔をおいて4枚連続で撮影しています。
次の図はISO2500を4枚コンポジットした画像です。
ISO 2500  露光時間 6分24秒 × 4枚コンポジット
受光面の平均温度は 7.8 ℃
露光時間の合計がISO800の1枚画像より長くなりましたが、ノイズはISO800 1枚の方が少ない。
これは予想外の結果です。

ついでにISO1600についても比較してみました。
ISO 1600  露光時間 10分00秒 × 4枚コンポジット
受光面の平均温度は 10.6 ℃
露光時間の合計がISO800の2倍になりましたが、ノイズはこれでほぼ同程度。

一応 ISO800の4枚コンポジット画像も ⇒ 

これまで注目していなかったISO感度を下げる事による低ノイズの恩恵
実は天体写真ブログ仲間の ミッチーさん が、一貫してISO800で素晴らしい画像を見せておられます。
これまでは、画像処理技術の差や撮影場所のせいにしていたのですが、
もしかすると低感度設定の恩恵もあるかも知れません。

もし雪国にも星が見える夜が訪れたら、ガイド精度の検証と合わせて
ISO800による低感度での撮影についても検証してみたいと思います。

現在「ダークファイルライブラリー」にはISO1600と2500のみ
ただ、ISO800については「ダークファイル」「フラットファイル」とも皆無で、
”0”から構築しなければなりません。


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ダークファイルは星が見えなくても取得できますので、
今夜から早速ISO800のダークファイル作成を。
VC200L(f1800mm)では無理でもレデューサを付けて、
また短焦点のR200SSではすぐに効果が期待できそうです。


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7 コメント

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ものすごいですね。 (ミッチー)
2015-02-15 17:02:03
なんとなく60Dは1600あたりがスイートスポットなんだろうと思ってたんですが
この差はものすごいですね。おもしろい!
ガイドとの兼ね合いでナイスなセッチングが見つかるといいですね。
やはり20分やりたくて、オフアキ、となるか???
返信する
ミッチーさんの後追いします。 (雲上(くもがみ))
2015-02-15 20:07:06
ミッチーさん わたしもISO1600あたりが撮影効率とのバランスがいいのかなと思っていたのですが、
今回の検証結果ではISO800は露光時間が延びてトントンではなく、”おつり”がもらえそうです。(笑)
あとはガイド精度の検証で流れが大幅に低減されていることを祈るばかり。
やはりオフアキしか・・は勘弁してほしい。(笑)
ISO800で20分露光をベースにするため、今60Dは寒い外で黙々とダーク撮影中です。

返信する
Unknown (おりおん)
2015-02-16 09:53:47
なるほど。いままでISO800って考えたことなかったんですが、一考の価値ありですね。
私もたまにエクステンダー680mmで撮影するんですけど、F8なのでかなり露光しないとダメなんですよ。
X2は1600が最高感度なので、ノーマル60Dで感度を上げようかと思ってたりしたんです。
でも、検証結果を拝見すると、感度上げりゃいいってもんではないのが一目瞭然ですねぇ。
勉強になりました。
返信する
更に冷却なんてね。 (雲上(くもがみ))
2015-02-16 12:27:55
おりおんさん デジカメって日々進歩で更に高感度に。
となりゃ、天体写真こそその恩恵をって、なりますよね。
わたしもISO1600でも露光不足なのに、感度を下げるなんて発想は持っていませんでした。
もし感度を下げる事でノイズが”ゼロ”に近づけば、どんな画像処理が可能になるんだろう?
なんて考えてしまいます。
ただ実際に撮ってみないことには、なんとも・・

今日は60Dを冷却オンでダークファイル取得中です。
返信する
Unknown (まるこう)
2015-02-17 07:31:11
うーーん。こう、ビシッと客観的なデータを突きつけられると、ぐうの音も出ませんね。ありがとうございます。
ここはやっぱり、冬ですが、オフアキでしょう!!
安いのもありますし↓(笑)
http://page10.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/m129558702
返信する
毒を食らわば・・ (雲上(くもがみ))
2015-02-17 17:34:59
まるこうさん、 「ありがとうございます」って・・
冷却CCDがメインになったんではなかったですか?(笑)

オフアキは安くても必ずガイド星を見つけてくれるガイドカメラまで含めると・・
といいながらも、ガイド鏡方式でずいぶんお金を使っちゃいました。
ここまで来たら、「毒を食らわば皿まで・・」(笑)
返信する
オートマかマニュアルか (さすけ)
2015-02-17 20:15:56
オートマかマニュアルか。
エンジンもいじれる車好きの友だちはマニュアル車でいろいろ楽しんでいるようです。当然部品は中古を探してきてやっています。
彼はドライブが好きなのか車をいじる事がすきなのかよくわかりません。

早く晴れるといいですね、ガイド検証のために。

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