伊勢崎市議会議員 多田稔(ただ みのる)の明日へのブログ

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「行政・議会それぞれから見た事業仕分けの効果と問題点」

2011-02-03 21:30:46 | 事業仕分け 住民協議会 構想日本
昨日、東京で地域科学研究会が開催した
「議会と事業仕分け」研修における私の講義の概要を報告します。

講師は4名で、私は2番目の講義を担当しました。
公務員として事業仕分けを行った経験と、
地方議員として事業仕分けを行った経験から
話をさせて頂きました。

タイトルは主催者側から打診され、
それに合うように話を組み立てました。
仕分け人として事業仕分けを行ってきた立場からすると
演題に含まれる「問題点」という語は違和感があります。
「課題」ということで話をしました。

「行政・議会それぞれから見た事業仕分けの効果と問題点」
    多田稔 氏/群馬・伊勢崎市議会議員(元群馬県職員)

1 どのように仕分け人になったのか
構想日本の仕分け人になるには、いくつかルートがあります。
仕分け人は、神奈川県内の自治体職員グループが母体となり
活動が始まりました。
私の知っている主なケースを、発生順にご紹介すると次のとおりです。
私の場合、神奈川県厚木市の事業仕分けを見学したことが
きっかけでお仲間に入れて頂きました。2番目の「他県からの参加」組です。
(主なルート)
・明日の地方財政を考える会(神奈川県内)
・他県からの参加
・仕分け人養成講座
・東京財団週末学校
・国の仕分け人から地方へ
・仕分け実施自治体担当者  

2 自治体職員の立場からの事業仕分け
自治体職員にとって事業仕分けはどのように
受け止められているか。私の経験と大学院での研究から話しました。
行政職員にとって、カルチャーショックであると同時に
意識改革の機会にもなっています。
<事業仕分けは黒船来襲>
○「役所の論理」とは自分の部局の力の拡大
  権限、予算、人(ポスト、職員数、天下り先等)の拡大
○役人の行動基準 自己保身(減点評価、定年まで大過なく)
(注:全ての人や組織に当てはまるものではありません)

弁護士で仕分け人の水上貴央さんは次のように指摘しています。
<水上貴央氏の指摘する「官の行動原理」>
・収益最大化より費用最大化
・全体最適より恣意的分配を重視
・費用対効果より大義名分
・ストックによる事業の肥大化・自動化を図る

自治体がどのような理由で事業仕分けを実施したのか、
調査報告書のデータが出ています。
約15%は、首長の選挙公約等。
約15%は、議会からの要望。
33%は、他自治体の実施状況を見て効果があると判断。
約5%は、国の仕分けを見て効果有りと判断。
など。

行政側の課題は、次のようなことが考えられます。
・市民の声をどう取り入れていくか
・結果だけでなく議論の過程を良く理解する
・仕分け結果のフォローと開示
・上位レベルでの整理
・仕分け結果の他事業への展開

3 地方議員の立場からの事業仕分け
・事業仕分けは、本来議会の仕事では?
・議会が、事業仕分け並の詳細な調査を
 全ての事業に行うことは、数的に無理。
・議会にとっての事業仕分けは、議会の役割を阻害するものではなく、
 より深く理解し議論を行うための、ツール。

4 事業の実施と仕分けの関係
・仕分けの判定結果は参考意見にすぎない
・最終決定は行政執行部や議会が行う
・仕分け結果と異なる決定をする場合は、
 仕分けの議論を超える論理的・客観的説明が必要
・仕分け結果に対するモニタリングと公開必要

5 市民参加と事業仕分け
・市民仕分け人方式 
 「外部」+「市民代表者」を仕分け人に入れる
・市民判定人方式 
 議論は外部者を中心に進め、判断は「仕分け人」+「市民」も出す。
 価値判断に帰着する事業は、納税者自身の判断が必要。

6 今後の事業仕分け
朝日新聞の記事から、構想日本代表の加藤さんの
言葉をご紹介しました。
<加藤秀樹(行政刷新会議事務局長 構想日本代表)>
   (朝日新聞2009年12月10日オピニオン)
いつの間にか国の仕分けは予算査定の手段のようになってしまった。
事業仕分けは本来「決算審査」なのだ。実施された事業の妥当性、
効果の有無の評価に限ったもので、政策評価をしているわけではない。
今後国の事業仕分けを続けるとすれば、予算と切り離したい。
政策の仕分けは政治サイドでやる。
我々は現場でのお金の使われ方を徹底してやる。
事業にとどまらず、制度そのものに切り込みたい。

(参考)
国の動きとしては、省庁ごとに行政レビューが始まり、
レビューシートは公開されています。



私(多田)の考える事業仕分けの本質
事業仕分けとは『問題の構造化(フレームワーク)』である。
*どんな事業の仕組みで、いくら経費をつぎ込み、
 どのような効果が現れ、どれだけ収入があるのか。
 これらを単純な形でシンプルに表すことで、事業の本質を浮き彫りにし、
 当事者にも、聴いている方にも、問題点が分かりやすくなる。

弁護士仕分け人の水上貴央さんの定義。(「弁護士仕分け人が語る事業仕分けの方法論」から)
(事業仕分けとは)
検証可能な行政活動を実現するための最重要プロセス
*「それぞれ十分に費用対効果が高い事業同士のうち、どちらを優先すべきか」
 という判断は政治の責任で行うべきである。
*事業仕分けの場では、当該政策目的達成の手段として、
 対象事業が十分な費用対効果を備えているかについて議論することになる。

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研修会場と、事業仕分けの実施団体である
構想日本の事務所はすぐ近くでしたので、研修後
久しぶりに訪問しました。

以前よりもスタッフが増え、
みなさん、忙しく働いていました。
今の時期は各自治体とも、予算編成と2月議会の準備で忙しいので
事業仕分けは行われません。

現在の課題や、懸案事項、来年度に向けた検討など
スタッフの皆さんは、走りながら考えています。
事業仕分けはどんどん進化しています。

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夕食は、神田の「なみへい」に行きました。
全国からリーダーが集う交流の場として有名です。
幸い貸し切りの日ではなかったので、予約なしで入れました。

カウンター席で、同じ群馬県出身のMさんと
知り合いになれました。
Mさんは、コンサルタントです。

私は大学院で公務員の意識改革について研究しましたので、
組織論や、モチベーション、意識改革などについて
意見交換できました。

その中で、すばらしいと感じた貴重なアドバイスを
2つだけ皆さんにもご紹介します。

一つ目。
研修は講師にならなくてはだめ。
受ける側に座っていては、何年経っても進歩がない。
(はっとして今日の研修を思い出しました。
 講師として話しながら、自分の足りない点や改善点など痛感しました。
 受講生の側では、なかなか気づかないとおもいます)

二つ目。
本を読む時。翌日自分が先生役で本の内容を
報告するつもりで読め。
(これは非常に有効な読書法だと思います)





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