こっぱもちの部屋

主に、読書感想のブログです。他に、日常生活で楽しかったことを書くと思います。

『アンと幸福』坂木司

2024-01-31 20:45:50 | 読書感想
 
椿店長が銀座にできた旗艦店の店長として異動し、代わりに来た藤代店長はラグビーとかやっていそうなくらい背が高く厚みのある体型でありながら善意の人のよう。
ただ、物理的に近くて声がでかい。
さらに立花さんとの相性が悪そうに思えて気にかかる。

いくらスペースが広めとは言え、机と椅子を持ち込んだり、他の社員が接客中に話に割り込んでくるのはどうもねえ(#^ω^)
理由が分かってみると納得ではありますが、それを早めに伝えるべきでしたよねえ。
まあ、それだと物語にならないのですが。

他には「トーマス」の謎(西日本以西の住人ならピンときます)や、手作りのパーティーへの差し入れなど、様々なお客様が持ち込む小さな不思議が少しずつ明らかになって行くのが、とても楽しいですね。

あとは、巻末の書き下ろしがもどかしくって、もどかしくって。
アンちゃん、鈍くない?
また、そうでなければ展開が面白くならないのでしょう。

日常の謎がお好きで、お菓子好きの方には特におすすめです。
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1/27 天神でクラシック 音楽 発見!ラボ#4 続…モーツァルトをあなたにVol.17 in FFGホール

2024-01-30 20:57:14 | コンサート
1/27(土)15時、福岡天神で開催された九州交響楽団のコンサートに行ってきました。
会場はFFGホール、天神の福岡銀行本店の地下…になるのかな?

九響は割とよく行く楽団ではあるのですが、モーツァルト尽くしは初聴き。
CDなどで聴く分には耳なじみがよく華やかで楽しい曲ばかりのイメージですが、聴きやすいだけに安眠効果もありそうで大丈夫かな?とも思いつつ会場に到着。

いつものクラシックコンサートでは、オーケストラの場合はあまり座席にこだわらないのですが、今回は指揮がバッハ・コレギウム・ジャパンの鈴木優人さんという事もあり、しっかりお話と表情など拝聴拝見したく8列目の席を確保しました。

開演最初の曲は、歌劇「フィガロの結婚」K.492序曲。
イメージ通り明るく楽しい曲で、とても楽しく聴かせて頂きました。
余談ですが、私の「フィガロの結婚」の初聴きはアニメ「トム&ジェリー」でして、ブルドックだったかな?のタキシードを着た歌手が「フィーガロ♪、フィガロ、フィガロ、フィガーロ♪」と美声で歌ったシーンでした。
失礼しましたw

続いては、ピアニストの阪田知樹さんが登場なさって「ピアノ協奏曲 第20番 ニ短調 K.466」
指揮の鈴木さんが仰るにはモーツァルトの短調の曲は全体の5%だという事で、その貴重な曲の1つを拝聴できて良かったです。
そして短調と言いながらも決して陰鬱ではなく、モーツァルトらしききらびやかさの中にも深みというか落ち着きが感じられ、とても温かく気持ちよく感じられました。

ここでアンコールの拍手が鳴りやまず、阪田さんがモーツァルト好きな今ではあまり演奏されない作曲家の曲、という事で、R.アーンの「クロリスに」を阪田さん編曲で聴かせて下さいました。
モーツァルト好きなだけにいくらかのきらめきもありつつ、モーツァルトが夏の日差しのきらめく水面の輝きならば、アーンは春のゆったりとした河の流れに感じるやわらかな光を思わせる曲でした。

ここで20分の休憩が入りまして、物販のコーナーに。
九響と鈴木さんと阪田さんと…どなたのCDを買うのか悩んだあげく、鈴木さんのアルバムを購入。
バッハのチェンバロと弦楽四重奏だっけ?第一弾を選びまして、現在、拝聴しつつこの文を書いております。
せめて九響のカレンダーだけでも買うべきだったなあと、後悔もしております。
CDがいつでも買えると思っちゃいけませんよね?ごめんなさい。

さて、第二部は「セレナード 第9番 ニ長調『ポストホルン』」
忘れた頃にやって来る郵便ラッパのポストホルンは、ホルンと言いつつトランペットの松居さんが吹いて下さいました。
めったに演奏されない曲と仰っていたのはこれでしたっけ?
この曲もきらびやかさの中に深みと穏やかさも感じられ、いい曲でした。

そしてアンコール…というか鈴木さん、こちらが拍手する前から続いてアンコールって(^_^;)
いや、アンコールの拍手する気満々でしたけどさあ…(;^ω^)
気を取り直して鈴木さんが「フィガロの結婚」を編曲した「フィガロの誕生日(『フィガロの結婚』メドレー)
確かにモーツァルトの遊び心を引き継いだ、楽しいメドレーでした。

ちなみに1/27はモーツァルトの誕生日という事で毎年、九響はモーツアルト尽くしのコンサートを開催なさっているらしいのですが、阪田さんのアンコール曲作曲のアーンの命日が1/27なのは、なんと言うが誕生日が過ぎるまでは死ねないっ!とかアーン氏が思われたのかなあ?とか、勝手に妄想したりしました。
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『からさんの家 まひろの章』小路幸也

2024-01-24 20:14:37 | 読書感想
 
 
まひろの実の両親は、彼女が幼い頃に離婚。
父は再婚した新婚旅行中に事故死。
再婚相手だった義母の妹・神野ひろみの養女となる。
高校卒業と義母ひろみの結婚を機に、義祖母・三原伽羅の家に居候する事となった。

そもそも就職予定だった会社が不祥事を起こして就職が立ち消えになってしまったのが不運ですし、まひろのここまでの人生も順風満帆だったとはとても言えない状況ではあるのですが、義母のからさんこと三原伽羅からすると強運だとも言えるんだーと、初めは驚かされました。
しかし、ひとつひとつ説明されれば納得ではありました。

話は少しそれますが、まひろが高校の放送部でアナウンスを学んだ事が、からさんのインタビューの文字おこしの文章に生きてくるなど小路さんが書いて下さらなかったら気づきませんでしたし、私自身、ラジオへの投稿を読まれてからベストな句読点って難しいなと考えていましたので、音読でもしながら書いた方がいいのかもと思っています。
そういう意味でもまひろの経験はかなり人生の役に立っているし、強運のひとつだとも言えるのかもしれませんね。

すみません本題に戻ります。
まひろはからさんの家に住み始めてからも本当に人とのいい出逢いをさせてもらっており、それはからさんが才能からも人間的にも素晴らしい人々を集めているせいでもありますが、これも強運なのかもしれません。
ただ、その強運を生かせなければ意味が無いのも事実ですが。

あと、最後の方に出てくる実母についても、まひろが本当に強運だというのなら知らず知らずのうちにまひろの運のために娘と生き別れの選択を強制されたともとれるわけで、それはそれで怖いなとw
もちろん実母の判断なのは、この物語の構造上間違いないと思います。
けれどもこの実母も、はた迷惑ではありますよねえwww憎めない人物ではあるのですけど。

そして物語は「伽羅の章」に続くわけですが、その先も知りたいなと考えるくらい面白かったです。
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『さやかに星はきらめき』村山早紀

2024-01-21 20:35:30 | 読書感想
 
遠い昔まだ西暦が使われていた時代に、地球全体を襲った天変地異とそれをきっかけとした戦争などにより、地表は放射能に侵され、生物兵器のウイルスが蔓延し、そこここに毒ガスが漂う、二度と生き物の住めないような星になってしまった。

ただ運よくその時代の宇宙開発は宇宙に飛び立ち地球を離れて暮らせるほどのレベルには達していたので、人類のうち生き延びた者たちが地球を後にし月と地球を回る宇宙ステーションを本拠地に、近傍の惑星や衛星を住めるように開発しつつ宇宙に出ていくようになった。
同時に一緒に連れていた犬や猫なども進化して、イヌビト、ネコビトとしてヒトと共に暮らすようになった。

そしてこの物語は、月に住むネコビトのキャサリンが新聞社の記念事業として興された出版社において”人類すべてへの贈り物となるような本”を作るようになった事から始まります。
人類が宇宙に出て行ったあちらこちらで、もしかしたら起こった現実かもしれない伝説の物語たち。
それは切なくも温かく優しく美しく、心の中に染み渡るような素敵な物語でありつつも、現代に生きる私たちは子孫にこのような思いをさせてはならないという戒めの物語でもあると感じました。
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『ドードー鳥と孤独鳥』川端裕人

2024-01-17 20:32:21 | 読書感想
 
 
望月環は小学四年生の春に房総半島南部の町に引っ越し、転校先の小学校でケイナちゃんと同じクラスになった。

始業から一週間遅れで転入してきた環とケイナちゃんは、初めに変わった会話のやり取りで意気投合し、先生も変わり者同士はくっつけておけという感じに二人を近くの席にしたようだった。

実際、ケイナちゃんは一種独特な少女であり、環も友だちの輪に入る事ができない少女であった。
そんな二人が、環の父の書架で見つけた絶滅動物の本に載っていた孤独鳥とドードー鳥に自分たちを重ね合わるようになるのも当然だったのかもしれない。

この前に、川端さんご自身のノンフィクション『ドードーをめぐる堂々めぐり』を拝読していましたので、この題材をどう小説になさるのかと興味津々ではありました。
現実では、日本に連れてこられたというドードー鳥の行方は未解明ですが、いつの日にか発見されて欲しいなあと思っています。
それにしてもケイナちゃんは目標に向かって真っすぐに突き進むたちだから、こうなるのも当然なんでしょうかねえ?倫理を吹っ飛ばすというか?
一応、環がいてくれるからいいというか、こういう科学者の周囲の人々の苦労はいかばかりかと考えました。
そう言いつつも環は微妙にケイナちゃんと同類でもあるので、危ない気もします。
ワクワク、ヒヤヒヤの物語です。
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