こっぱもちの部屋

主に、読書感想のブログです。他に、日常生活で楽しかったことを書くと思います。

『名古屋駅西 喫茶ユトリロ 龍くんは引っ張りだこ』太田忠司

2023-04-30 20:03:23 | 読書感想
 
医大を休学している鏡味龍は、名古屋で祖父の営む喫茶ユトリロを手伝っている。

今回の龍は、サブタイトル通りに知り合いの肉屋の宣伝動画に出演したり、叔父の経営するコンセプトカフェの手伝いなど、引っ張りだこです。
その中で、彼は多種多様な人々にもまれ小さな謎を解きながら、自分自身の行く方向も少しずつ考えていくわけですが、どんな人でも、実は自分自身の事が一番分かっていないのかもしれません。
今後、龍がその一番の謎を、どう解いていくのかが楽しみでもありますね。
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『星の航海者1 遠い旅人』笹本祐一

2023-04-28 21:08:56 | 読書感想
 
人類が初めて開発に成功した、くじら座τ(タウ)星の第五惑星ディープブルー。

ある日、冷凍睡眠を繰り返しながら宇宙を渡る恒星記録員のメイアが250年振りに、そこを訪れることになった。
宇宙生まれの第一世代であり、冷凍睡眠で宇宙を渡り始めた初期の世代でもあるメイア。
地球年齢で300歳を超えるというのだが。

スペースオペラと言えば超光速、慣性制御、反重力が多いらしいのですが、それ無しで宇宙SFは成立するのか?という物語でもあるようです。
確かに今よりも遥かに進歩した技術によって遥かに旅をするスぺオペもワクワクするのですが、今の技術の延長線上にありそうな科学技術で行う恒星間旅行は実現が近そうに感じられるので、もっと心躍りそうです。

今まで笹本さんが描いてこられた宇宙SF。
『星のパイロット』から『ミニスカ宇宙海賊』までの歴史をつなげて下さると嬉しいと思います。
今回のシリーズだけで地続きとなるのか?はたまた新たなるシリーズも加えて、もっと世界を広げて下さるのか?
我儘なファンとしましては、一本の糸や綱でつながるのではなく、広々とした二次元、三次元でつながって、大きな物語になるとより楽しめると考えます。

そういう意味では、笹本さんは元気で長生きして頂かないと♪
よろしくお願いいたします。
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『東大に名探偵はいない』市川憂人 伊予原新 新川帆立 辻堂ゆめ 結城真一郎 浅野晧生

2023-04-25 20:17:10 | 読書感想
 
東大をテーマにしたミステリアンソロジーです。

市川さんが書いていらっしゃる事もあり、手に取りました。
そしてその作品は災害もテーマにし、あまりにもやるせないものでした。

そういう意味では伊予原さんの話にホッとした面はありました。だからとしても、決して生易しいものではないわけです。

転じて新川さんのスカトロですが、ある人々にとって今でも無自覚に加えられる厳しい現実と、無自覚ゆえの加害者は、その言動や行動が危害を加えるものだと気づかないという腹立たしい物語を突きつけられて、やりきれない心持ちになりました。

辻堂さんの著作は恋愛ミステリであり、東大生と言っても色々だと改めて教えてくださるものでした。これがあったから少し心穏やかになり、次作への気持ちの切り替えにもなって助かりました。もちろんそれだけじゃありませんので、必読ですよ。

恋愛と言えば結城さんのものもそうかもしれませんが、人の心の奥底まで掘り下げていくなかなかなものでしたし、そういう意味では浅野さんの話も裏の裏まで読んでいかなくてはならない大変なものでもありました。

どれも大変興味深く面白かったです。
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『リケイ文芸同盟』向井湘吾

2023-04-23 20:49:35 | 読書感想
 
数値化出来ないものが苦手で、大学も理学部数学科出身の桐生蒼太。

この世は数字では割り切れぬ。だからこそ彼は、無謀な挑戦をしてみたくなった。
就職先は出版社。
数学科からの悪友で営業部員の嵐田友則と共に、主要30社の単行本のタイトルと売り上げデータを比較して分析。
その時に売れていると言われているジャンルが本当に売れているのかを、正しい統計学の下に「帰無仮説」を立て、検定しているのだ。
目標は、ミリオンセラーを出すため。

うーん。売れる本ねえ。
確かに売れないと次の本は出せないわけで理屈は分かりますし、彼らがその時々で好まれるジャンルを小説家に提案した上で、より良いものを出そうと考えているのも理解できます。
ただ私としては、読みたいけれどそういう本が無いなら書いてやる!という方に肩入れしたくなる性分なんです。
だってレミングじゃないんだから(例えが古い?)

本を買う理由に「売れているから」というのを一番に持ってくる人は、自分の感性を信じていないのではないかと感じてしまいます。
ミリオンセラーを選んでもいいのですが、楽しむのは自分自身なのだから本当に自分を喜ばせられるのかを基準にした方が、お得だと思います。
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『異分子の彼女 腕貫探偵オンライン』西澤保彦

2023-04-21 19:53:04 | 読書感想
 
あとがきで西澤さんご自身が仰っていたように「サザエさん方式」だったこのシリーズ。

今回はコロナ禍の世相を反映して、腕貫さんもオンラインによるリモート相談に応じておられます。
なので、三篇とも2022年という設定です。
弊害は、腕貫さん以外の常連キャラクターを登場させづらい事だそうです。

確かにそういう面もあって寂しいところもありますが、逆になれ合いが少ない分ミステリとして推理が冴えわたるといいますか、犯罪に手を染めようとする人物に情け容赦ないといいますか、人の悪い意味での弱さについて鋭く突きつける物語だと思いました。

本来、いつものシリーズが大好きではありますが、これはこれで悪くないです。
でも、おいおい戻って頂きたいとは考えています。
どうなりますやら?
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