こっぱもちの部屋

主に、読書感想のブログです。他に、日常生活で楽しかったことを書くと思います。

『魔王復活!』草上仁(SFマガジン2018年12月号)

2018-10-29 19:49:02 | 読書感想
一般市民には知らされていないが、科学技術の発達した現代でも魔法は存在し、かつて様々な勇者によって鎮圧された魔王もちょくちょく復活してくる。
そのため日本でも、国民には内緒で首相官房直結の『第六室』で監視し、勇者を差し向ける事にしている。

うーん、いいんだけど、うん、どうでもいいんだけど、魔王の1人にエルヴィス・プレスリーってどうよ(笑)と思うのですよ。
そして勇者たちが旅に出る前に築地市場へ行くのは、まあいいとして、戦士の格好がそれかいっ!
現代日本では仕方ないし、その理屈は正しいのですが・・・間抜けだ(脱力)

そういう訳で突っ込みどころ満載というか、むしろ、それを狙っているとしか思えないこの物語。
ある意味、理路整然としているように見えて、大真面目だからこそ笑えるファンタジー(?)なのでした。
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『忘られのリメメント』三雲岳斗

2018-10-28 20:05:09 | 読書感想
近未来の日本。

他人の記憶を映像や音声だけでなく、味覚や触覚などの五感のすべて、さらには原体験者の当時の感情までも生々しく味わえる擬憶体験(リメメント)技術。

最近では切手サイズの擬憶素子、通称‘‘MEM’’を額に貼り付けるだけで、最長二時間程度まで、それをより安全にかつ安価で手軽に再現できるようになっている。

それまでのタレントやミュージシャンは、舞台裏や個人情報が映り込む事に抵抗を覚えるのがほとんどだった。
そこで、MEMを商品化するための記憶の提供に抵抗の無い人間を有名にする事を考え、その成功例の1つが歌手の宵野深菜だった。
彼女に記憶を移植し、一緒に暮らした事もある科学者、今は亡き、朝来野唯は、MEMの実用化に貢献しつつ、稀代の殺人鬼でもあった。

そんなある日、深菜の同居人である三崎真白が唯の模倣犯によって殺害され、現場にメッセージが残されていた。そこから深菜は、唯の死に疑問を持ち始める。

この物語は、いつの時代も科学者が陥りがちな真理の追究、という言葉を使った犯罪への戒めかもしれません。
同時に、それを盲目的に信じがちな大衆の愚かさも感じます。
残酷でありながら、どこか美しく、だからこそ気を付けなくてはいけないと思わされる小説でした。
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『ポリフォニック・イリュージョン』飛浩隆

2018-10-24 19:38:18 | 読書感想
サブタイトルにあるように、飛さんのデビュー初期の短編が六編と、書評などが収録されています。

書評の感想というのも間抜けですし、私の偏った知識や経験では失礼にあたりますので、置いておきます。

で、短編の感想ですが、表題作については「え?え?これからどっちの方向に転がっていくの?」とワクワクしつつ、読み進めていきました。
「異本:猿の手」も、元ネタとどう違っていくのかが、楽しみでした。
「地球の裔」は、亡き地球の桜の美を追求した、はかなくも切ない物語でした。
「いとしのジェリィ」については、私も一般的なSF読者らしく大いに気に入っているのですが、飛氏は納得いっていないご様子ですね。
逆に「夢みる檻」は、私としてはいまいちでした。
それよりも「星窓」です。私自身は、一般的な星窓が欲しいです。プレアデス星団とか?平凡な人間なもので、この物語の主人公のような不思議な体験はできないでしょう。

面白かったです。
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『NNNからの使者 毛皮を着替えて』矢崎存美

2018-10-19 20:06:40 | 読書感想
「ペットロス」になった永、幼い頃に可愛がっても世話をしなかった事に後ろめたさを持つ元美、育児放棄されながらも担任の教えとちびのおかげで生き延びた光博、友だちが拾った子猫を引き取った彩乃、打って変わって虹の橋のたもとで生まれ変わるか迷っている猫、そして、おまけのショートショートと、とても楽しく読ませていただきました。

私が一番共感したのは、元美です。
子どもだった当時は、世話はしなかったし、餌も残りものでした。
でも、一番好きなのは「虹の橋」です。
私が飼っていた仔たちが待ってくれているかは、分かりませんが。

あと、一応犬派の私としては、犬を扱ったこういう物語も読みたいです。
犬派の作家さん、お願いできないでしょうか?
草上仁さんとか?
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『英国一家、日本をおかわり』マイケル・ブース

2018-10-17 19:41:28 | 読書感想
前回から10年経って、マイケルさんがティーンエイジャーになった息子たちと奥さんを連れて、再び日本に降り立った。

今回は、もっと日本の食について掘り下げてみたいと思い来られたようで、沖縄からそれぞれの地域の飲食物について体験しながら、北上しておられます。

私が読んで一番印象的だったのは、アスペルギス・オリゼー、言うなれば麹菌です。
オリゼーは人にとても役立つ良い菌なのに、元々の原種のアスペルギス・フラバスは、毒を生産してしまうようです。知りませんでした。

次に割と日本びいきなマイケルさんでも、日本のドロドロのカレーは苦手のようですし、白いご飯の単独での美味しさは、分からないようです。ご飯は美味しいけど、おかずあってのものらしいです。

あと、北海道でウニをたらふく食べたいと思われていたのに、排他的な鮨職人や、変に儲け主義になってしまった一部(と思いたい)の人のために嫌な思いをされたようで、何とも申し訳ない気分になりました。そうなるまでの理由もあるのでしょうが、せっかく日本のマナーを守りながら楽しもうとされているお客さんへの対応としては、減点ですね。とても残念です。

まあ、色んな意味で勉強になりました。
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