こっぱもちの部屋

主に、読書感想のブログです。他に、日常生活で楽しかったことを書くと思います。

『三ノ池植物園標本室 下 睡蓮の椅子』ほしおさなえ

2020-04-30 20:23:38 | 読書感想
 
院生の小菊ちゃんの幻の水牛の話から、風里はイラストレイターの日下さんと日帰り旅行をする事になり、それをきっかけに付き合う事となる。

お付き合いしているうちに、日下さんのご両親の世代に心と夢にまつわる悲しい出来事があって、まわりまわって日下さんを苦しめているという事が分かってくる。
ただ、風里には、こんがらがった夢の結び目を解く力があるという。

下巻になって、一気に風里を取り巻く多くの世界が説明されて広がったので、ちょっと、戸惑いました。
あと、イドというので、イドの怪物の方かと思えば普通に井戸だったので、拍子抜けしました。
もしかしたら、少しからめる意図があったのかもしれませんが。
何にしろ、風里自身の試練とともに、彼女の秘めた力が全ての悲しみを一掃できたようで、良かったです。
また、風里の不思議な力を、周りの人々が普通の能力として感じてくれているところは、理想であり、なかなか現実では難しくも思えます。
でも、そこを目標にはしたいですよね?
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『三ノ池植物園標本室 上 眠る草原』ほしおさなえ

2020-04-30 19:57:06 | 読書感想
 
会社の過重労働と雰囲気の悪さに耐え切れず、退職した大島風里。

二ノ池公園近くの不動産屋で、破格値の古いけれどしっかりした造りの一軒家に住む事にした。
しばらくのんびりしてから仕事を探そうとしていたところ、近くの三ノ池植物園でバイトの募集があり、すんなり採用された。
植物の標本を作るうちに、昔はやっていた趣味の刺繍を再開する気持ちになり、やがて、植物をモチーフになった。
直接、植物に触れるせいか、刺繍も正確で繊細な作品に仕上がるようになり、多くの人に認められ始める。

背表紙のあらすじ通り、風変りな人が多いですね。
私も、風里と同じく院生の石塚くんが苦手ですが、多分、相手に自分自身への思いやりは要求する癖に、相手への気遣いが皆無なところがダメなんだと思います。
それはともかく、刺繍が認められ雑貨店に置いてもらえそうなところなので、楽しみと不安な中で次巻に続くところがうまいですね。
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『ピュア』小野美由紀

2020-04-26 19:39:13 | 読書感想
 
生殖、特に受精のために、女性が男性を食べなくてはならなくなった世界。

親友が、性染色体をXXからXYに書き換えてしまった事に衝撃を受ける女子高生。

数百万年前に月から地球へやって来た「月人」の血を引く人間の中でも、特徴が強く出た人物は、稀に月に飛んでいってしまう事。

父親からモラルハラスメントを受け続けた女性が選んだ道。

そして、最初の作品のパートナーとなる男性の、心の遍歴。

特に表題作は、女性が肉体的にも力を持つようになった社会なのに、主人公が、かなりの生きづらさを感じています。
どの作品も、人々が強い寂しさを抱え、集団の中の孤独を感じていて、それでも生きていかなくてはならないという辛さが描かれています。
まあ、現代社会も同じようなもので、きっと、満たされない心を集団で騒いだりすることでごまかそうとしている面はあるのかもしれないと、私は見ています。
この作品は、そこを濃縮し、結晶化したものかもしれません。
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『SF飯2 辺境デルタ星域の食べ物紀行』銅大

2020-04-23 19:54:05 | 読書感想
 
今回の若旦那はちょっと違う。
デルタ宙域に調味料工場を造ることによって中央星域にはない食文化を生み出し、辺境の人々の新しい歴史を創り出し、彼らに自信をつけてもらうことまで考えた。

調味料を使う相手としては宇宙鰻が良さそうに思えたのだが、乱獲という問題をはらんでいた。
さらに並行して、以前出逢ったエフタル商人たちのピンチから始まった、凍結された惑星を無傷で解放して、軌道や地軸についても考えなくてはいけないという難問を解決しなくてはいけなかった。

若旦那は相変わらずDマイナスの能力で、周りを和ませるくらいしかできないけれど、その中では目まぐるしく思考をめぐらせて精神的には成長していますね。
今回もですが、様々なトラブルを解決する事で、いつか、Aプラスくらいの能力を持つのか、はたまた逆にEマイナスくらいになって実はそれが若旦那の能力だ!とかになるのか、今後の展開が楽しみです。
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『SF飯 宇宙港デルタ3の食料事情』銅大

2020-04-20 20:01:19 | 読書感想
 
人類を過剰に守っていた機械知性〈太母〉が知性限界を超え、涅槃に旅立ったあとの時代。

中央星域の名家・オリュンポス家の御曹司、若旦那ことマルスは、実家から勘当され、辺境のデルタ星域まで流れてきた。
ここまで乗ってきた貨物船の甲板員のオバちゃんオススメの大衆食堂〈このみ屋〉に行ってみると休業中。
しかし、紆余曲折あって行き倒れた若旦那を救ったのは、その大衆食堂の主の孫コノミ。
コノミは、昔、オリュンポス家で方向していた娘でもあった。

〈太母〉が作り上げた人類の食べすぎをコントロールする完全食〈B定食〉は、栄養的には完璧だが味気なく、辺境では、食用藻から合成される宇宙ステーキやスナック菓子でしか、味覚を満足させられなかった。
コノミは、祖父の残したレシピノートから、美味しいという宇宙ステーキの味を再現させようと修業しているのだった。

オリュンポス家のある〈星灯〉の満天の星空からすると、中央星域があるのは地球から離れた他の銀河かな?と思います。
何しろ現実には、地球は銀河系の端に存在するのですから。
そう考えると、この世界は現代から何百年、何千年先の話になるのでしょうか?
ただ、味を抜きにすれば辺境でも飢えることのない世界というのは、今の日本の格差を考えると夢のような話です。
そしてさらに、美食に慣れた若旦那が味覚からの食生活の改善を目指すわけです。
問題は、宇宙規模の名家出身だけに、ちょっとした事でトラブルまで宇宙規模になることで、派手です。
しかも、実の妹と巨乳らしき女の子が若旦那を取り合うという、男性の願望充足のラノベそのものです。
まあ、面白いのですがね。
2、3巻まで買ってはいますので、少しずつ楽しめたらと考えています。
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