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天地わたるブログ

ほがらかに、おおらかに

ラグビーの判定と俳句の取捨

2016-01-25 17:33:32 | 俳句


きのうはトップリーグラグビーの決勝戦と大相撲初場所の琴奨菊優勝で興奮した。

まずラグビーのパナソニックVS東芝は実力が伯仲し、わずか1点差の27-26でパナソニックが優勝した。最後、フランソワ・ステイン(東芝)のキックが決まっていたら28-27で東芝が優勝していた。
主審は随所でTMO(テレビジョンマッチオフィシャル、ビデオ判定)を駆使し、副審に見解を求めたりして判定に万全を尽くした。
もっともスリリングだったのは後半22分ころ、パナのウイング児玉がライン間際を疾走、ボールをトライしたかに見えたシーンであった。
横から東芝の8番リーチが激しいチャージ。それでもトライできたように肉眼には見えたのだがビデオで仔細に調べると、リーチに押された児玉の左足がラインにわずかかかっていた。
よってトライキャンセルとなった。

一方の大相撲。
判定にビデオを導入したのはラグビーよりはやいが活用しきっていない。
初場所の判定の汚点は、5日目の豊ノ島VS隠岐の海戦。
公式記録は「寄り切り」で豊ノ島の勝ちとなったがビデオで見ると隠岐の海が土俵を割る前に豊ノ島の足が土俵に崩れているのが明らか。
誰一人もの言いさえつけなかった。
アナウンサーも解説者もしかたないので「微妙ですね」といってゲストの原晋さん(青山学院大駅伝監督)にお茶を濁すような弁明をするしかなかった。
誤審である。

俳句なので誤審とはいわれないが、さきごろ来た鷹2月号を見て一方で喜び、一方で自分のミスジャッジを恥じた。
愛弟子、長沼光子の久々の4句。

一睡の覚めて湯船やちちろ虫 
入り方の胸のきやきや烏瓜
ギャラリーに友の記帳や小六月
木枯や昏れて視線の低くなる


さっそく電話しておめでとうを言ったが、
入り方の胸のきやきや烏瓜
を素通りした不覚を詫びた。これを採っていなかったら俺の価値はないじゃないか!
「一睡」は句会で見なかった。「木枯」は評価した。「ギャラリー」は積極的に採らないものの理解は示した。
が、「入り方」は気に止まらなかった。
長沼はぼくの添削なしで全句地力でここまで仕立てた。大いに評価したい。
しかし、こうして4句ならんでいると、「入り方の胸のきやきや烏瓜」がいちばんパワフルなのだ。しみじみした静かな情趣を強くリズミカルに打ち出していて季語も申し分ない。
いまは評価できるが、「後出しじゃんけん」ではしようがない。

人口に膾炙し名句とされている句がある。
たとえば、子規の「鶏頭の十四五本もありぬべし」は、作者が病床にいるという背景を知らない場合、もてはやすほどの決定力があるのか疑問である。
鷹主宰が採ってもそれをぼくが採っていなくてもまあいいという句はある。
しかし、「入り方」は出た場面で採っていなくてはいけない句であった。

句会で見逃す率をいかに低くするかが今年のテーマである。
それと同時に、句会のできるだけ多くの人がそれぞれリーダーシップを持てるよう指導していきたい。
採った句に対してきちんと評価する言葉を磨いていってほしい。
俳句は読みによって世の中に誕生するといっても過言ではない。その教室の特定のリーダーが頑張るだけでは句会全体の実力アップにならない。
全員がもっと読む力を身につけるように句会を運営していきたい。

俳句という主観の世界でもミスジャッジはある、とぼくは思っている。
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