国道20号線が西武多摩川線を越えるあたり
きのうの文化の日、府中市が「旧陸軍調布飛行場白糸台掩体壕」を公開した。
府中市の広報を見るまで「掩体(えんたい)」なる言葉を知らなかった。広辞苑によると掩体は、射撃がしやすいように、また敵弾に対して射手などの行動を援護する諸設備、とある。
白糸台掩体壕は<飛行機を守る防空壕>といえるだろう。そして飛行機は陸軍三式戦闘機「飛燕」であった。
太平洋末期、アメリカ軍による本土爆撃が激化していく中、戦闘機を空襲から守るための格納施設が全国の軍用飛行場周辺に造られたという。これが掩体壕であり、コンクリート製の屋根があるのを「有蓋掩体壕」、土堤で囲ったのみの屋根のないものを「無蓋掩体壕」と呼んだ。
調布飛行場周辺では有蓋が約30基、無蓋が約100基ほど造られた。終戦後それらの多くは取り壊され現在三鷹市に2基、府中市に2基有蓋掩体壕が残っている。
その1基がここ白糸台である。
掩体壕の天井から垂れる布だか紙のようなものを引っ張るとセメントと砂がばらばら落ちた。やばいと思い一度きりにした。
かなりずさんなやっつけ仕事みたいで長く入っていると崩れて下敷きになりそうな危うさを感じた。
原始人が住んでいた自然の洞窟みたいな堅固さはない。
浮浪者が住みついたとしたら危ない穴だと思う。
府中市は「貴重な歴史遺産として市民の皆様と協働で白糸台掩体壕を永く保存・活用していくため、今後とも理解・ご協力をお願いいたします」とパンフレットに謳うが、自然に崩落したら再建する意義があるのか…。
写真資料にしてしまってもいいように思う。
さほど鉄筋が入っていないように感じた。ぼくの生きている間は持ちそうだがその後どうなるかわからないはかない遺産である。