天地わたるブログ

ほがらかに、おおらかに

感傷のきわみナラタージュ

2017-10-13 16:45:17 | 映画


ヨミトモF子が島本理生のファン。
つきあいで1冊読んで繊細で毀れやすそうな人という印象を持ったが続けて読みたい作家ではなかった。
福岡へ旅をして飛行機を待つ時間に島本理生原作の映画「ナラタージュ」を見た。

有村かすみ演じる泉が教師を演じる松本潤に密かな恋を抱き続けるというメロドラマ。
先生には不和の妻がいるがそのことを告げていないので泉は先生がいつか振り返ってくれるのではという期待をして待ち続けるというものであった。
だいたいそんな感傷的な内容ではないかと思っていた。
最近までNHKの朝ドラで田舎出の芋ねえちゃんを演じていた有村が濡れ場をどう演じるのか、この女優に奥行があるのかという興味があった。

有村も松本もその役をきちんとつとめていた。絶妙なコンビネーションであった。それはいいのだが、なにせ島本の書く世界の冴えないこと。
簡単にいえば先生がはやく妻のことを話してさえいればこんなに女の気持ちがぐちゃぐちゃしなかったということ。
優男というか優柔不断な男に騙されてしまった信じやすい不幸な女という感じであった。
島本は繊細だとか恋愛情趣をたんねんに書くとかといったもてはやされ方をしているがまだ少女趣味から卒業していないのではないか。このていどの恋愛を書いているようではまだまだ。
たとえば恋愛を売りにしている60代の小池真理子などと比べて虚弱に思えてならない。
島本ファンのヨミトモF子は島本が『Red』で島清恋愛文学賞を受賞したから骨太になる突破口と期待しているようだが、それでも小池真理子に比べると幼さを感じるという。

「ぴあ」調査による映画初日満足度ランキングは、『ナラタージュ』が第1位になったとか。会場は若い女性客が目立った。
日本の女性たちはこういった男が軟弱で女をもてあそぶようなたぐいの感傷にこれからも溺れ続けるのであろうか。
それでは男も女も精神的に50年前と比べてなんの進歩もないような気がした。まあ男と女はそんな感情のるつぼから逃れられないものであるかもしれないが、やるせない内容であった。途中いねむりをした。

なお「ナラタージュ」とは、映画などである人物の語りや回想によって過去を再現する手法のこととか。甘いせつない回想であった。
コメント
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