天地わたるブログ

ほがらかに、おおらかに

私が好きなら仏壇買って!

2017-03-17 05:51:19 | 


きのうの讀賣新聞の雑誌広告のキャッチコピー「私が好きなら仏壇買って!」にひかれた。
「女性セブン」4月6日号のとある記事のものである。
女優と宗教との密接な関係に言及したものであろう。その女優は最近では清水富美加、昔は桜田淳子であろうと思った。
買うこともないとは思ったが450円ご祝儀を使った。
予想通りの記事内容であり、ほかに沢口靖子、高橋蕙子、三船美佳などが書かれていた。

芸能人が宗教と、あるいは暴力団と密接な関係があるという報道に驚きはしない。
「私が好きならグッチを買って」でも「私が好きならマンション買って」でもないところに味わいを感じたのである。このくらいの意表のつきかたが人心を引っ張る。
「私が好きなら隕石買って」となると俗世を超えてしまい雑誌のコピーには向かないかもしれない。小説、戯曲の題名っぽくなる。哲学的な匂いがする。
このへんの頭の使い方には俳句に入れる単語を考えるヒントがあるかもしれない。

俳句で雑誌のコピーみたいに感じた最初の一句は、

鞦韆は漕ぐべし愛は奪ふべし 三橋鷹女

であった。
30年前のこと。当時ぼくはある出版社の整理部にいて遅い原稿を待っていた。取材陣がやっと持って来た原稿のコピーのひどさに幻滅。「編集者は頭の中に汗をかく仕事だよ」と思ったものである。
そのころ俳句に近づいた。編集者は俳句の切れ味を学ぶべきだと痛感した。
鷹女の啖呵俳句の勢い、「略奪愛」を先取りしたかのようなコピーである。

夏みかん酸っぱしいまさら純潔など 鈴木しづ子

これにもひかれた。これも女性雑誌向けのコピーの魅力に満ちている。いっそ「女性セブン」はこういった句の特集を組んではどうか。
芸能人の誰と誰がくっついたとか別れたとかよりもましな企画。読者にはっとするコピー(俳句)を考えるきっかけを与えてはどうか。
別に俳句にかぎらない。川柳だっていい。

凶暴な愛が欲しいの煙突よ 時実新子

「凶暴な愛」だの「煙突」だの、取ったり取られたりする芸能界の男女曼陀羅図にふさわしい用語であろう。

はい、この提案はいいキャッチコピーをくださった「女性セブン」への恩返しといったところ。


コメント
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