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北海道機船漁業協同組合連合会
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一般社団法人北洋開発協会

韓国漁業リポート 韓日/韓中漁業交渉の問題点

2021-01-12 12:05:00 | 日記

 

2021年01月12日

北海道機船漁業協同組合連合会 原口聖二

[韓国漁業リポート 韓日/韓中漁業交渉の問題点]

韓日漁業交渉が4年以上漂流しており、韓中漁業交渉では、中国の違法操業に強く対処できず、毎年数千億ウォンの損失が発生すると推定されており、韓国はその対策を急がなければならない。

韓国人ジャーナリスト”ジョン・サンウォン”がリポートした。

日本水域操業への依存度が高いタチウオを対象とする韓国延縄漁業は韓日漁業交渉が遅々として進まず、操業海域と機会が減少、困窮を訴えている。

約10年前の漁業交渉では、タチウオの漁獲割当不足を業界が訴えていたが、今年も続くものと予想される長期的な交渉中断は、さらにクリティカルなものを与えることになる。

一方、韓中交渉で着業可能な中国漁船隻数を毎年減らしているものの、違法操業は後を絶たない状況となっている。

韓日漁業交渉は5年目の漂流をむかえる危機があり、毎年無事妥結される半面、違法操業を日常的に行う中国との交渉には韓国海洋水産部がより強い態度で取り組まなければならないと指摘されている。

”韓日漁業協定の長期漂流の理由”

海洋水産部は今年も韓日漁業交渉が妥結されるのは難しいだろうと予想している。

関係者は、2018年6月を最後に交渉会議が行われておらず、今年も韓日漁業交渉の妥結は難しいだろうと語り、最大の理由として東海(日本海)の中間水域の操業の取扱いを挙げた。

過去、両国漁業はズワイガニ漁場である東海(日本海)の中間水域について、部分的区域と期間に合意し交互に操業してきたものの、日本は自国漁船のための操業区域と期間の大幅拡大を求めている。

交互操業は、本来、民間で解決する問題だが、日本は韓国政府にそれを求めており、交渉は容易ではないとされている。

海洋水産部長官ムン・ソンヒョクは昨年7月、国会農林畜産食品水産委員会の業務報告で議員アン・ビョンギル(未来統合党/釜山西・東区)が韓日漁業交渉の膠着状態の理由を尋ねると、日本が独島(竹島)領有権に密接な内容を要求しているからだと答えた。

一方、韓日漁業交渉に関係していた前駐日韓国大使館海洋水産官キム・ヨンビンは交渉が妥結しない最大の理由は、韓国の独島(竹島)領有権問題よりも、韓国の水産物輸入規制にあると見ている。

キム・ヨンビンは独島(竹島)領有権に対する日本の要求は過去からいつもあったテーマであり、この問題で妥結されていないと見るのは難しいとし、福島近隣8県の水産物輸入禁止解除を求める日本側の主張を、韓国側は認めることができない状況なので、進展は難しいだろうと語った。

2017年-2018年の韓日漁業交渉で韓国側首席代表を務めた国立水産科学院長チェ・ワンヒョンは、交渉妥結のためには、韓国の漁業から違法操業を減らすことが必要だと指摘している。

チェ・ワンヒョンは、日本が操業規則違反する事例はほとんどなく、韓国の違法漁業を根絶しなければならないとし、日本にはあえて交渉をする理由が希薄で、韓国は違法漁業を続けていることに交渉の難しさがあると語った。

これは日本が韓日漁業交渉で韓国側に違法操業する韓国延縄漁船の削減を要求している部分と合致している。

交渉のテーブルで、日本は、違法操業をしている韓国より優位の立場にあることになる。

しかし、韓国は、大規模な違法操業をしている中国とは、毎年、漁業交渉に妥結している。

韓中関係では、優位な立場でありながら、劣位の位置にあるかのように交渉が行われる皮肉な状況となっている。

昨年11月に妥結した韓中漁業交渉の結果、今年の両国EEZで相手国の漁船が操業することができる着業隻数は、昨年、1,400隻から50隻減の1,350隻で合意された。

しかし、実質的に中国が韓国水域に侵入して、違法操業を行う数値まで計算すると、当然、合意規模以上のものとなる。

国会議員ホン・ムンピョ(国民の力/忠清南道洪城郡)が海洋水産部と海洋警察庁から受けとった資料「西海岸違法中国船拿捕・退去件数」によると、2019年海洋警察が拿捕した中国漁船は195隻であり、退去実績は6,348隻に達した。

”中国が違法漁業で得た漁獲物の経済的価値”

昨年8月に発刊された国際学術誌”Science Advances”の論文「北朝鮮水域の暗黒船団を照らす(Illuminating Dark Fishing Fleets in North Korea)」は、中国の違法漁船が2017年から2018年までの2年間、漁獲したイカは16万トンを超えており、これは約5,276億ウォンの価値があると説明している。

つまり、大規模な違法操業を停止できない、中国との漁業交渉が毎年妥結されているが、中国の違法操業に伴う韓国漁業の損失額を計算した時、莫大な損害を被る結果となっている。

”韓日漁業交渉漂流による韓国漁業の損害”

昨年5月に水産協同組合中央会水産経済研究院が発表した「韓日漁業交渉の進捗と問題点」によると、韓国漁船が日本水域で操業できないことによる損失は、中断期間45ヶ月(2016年7月1日- 2020年3月31日)の間の漁獲量の減少は年平均6万3,000トンであり、これを漁業収入に換算すると平均609億ウォンで、45ヶ月の累積値は、2,323億ウォンであることが分かった。

2017年-2018年の韓日漁業交渉を担当した関係者は、中国には施しを与え、日本とは交渉をできずにいると語った。

また、元駐日韓国大使館海洋水産官は、国益と水産業における実益で見ると、韓日漁業交渉と韓中漁業交渉が逆に進行しながら、韓国漁業にマイナスを与え続けていると言及した。

海洋水産部に交渉をしようとする意志が不足しているとの指摘もある。

海洋水産部退職者は、5年間、交渉がされず驚いていると語り、海洋水産部韓日漁業交渉担当チームがほとんど解体状態にあるようだと言及した。

韓日漁業交渉担当者、担当事務官も、他の業務をしているとの情報がある。

実際に海洋水産部の韓日漁業交渉担当者は、船員・外国人労働者の管理制度の改善問題で、昨年8月18日から10月初めまで支援勤務をしていたことが確認された。

業界団体役員は、韓日漁業委員会は、少なくとも毎年1回開催することが原則で、今、両国は協定に違反していると指摘、(韓日漁業交渉妥結のために)一度、すぐにでも会わなければならないが、両国は接点がないと語り、まず、新型コロナウイルス拡散防止対策も考慮してビデオ会議開催から要求し、段階的に修復されるべきだと加えた。

これ以上難しい会議がないという評価を受けるのが韓日漁業協定交渉である。

一方、韓日漁業協定の長期漂流に加え、中国の違法操業への不十分な対応で、韓国漁業だけでなく、関連産業界が困窮を訴えている。

海洋水産部はあきらめず、積極的に解決策を見つける必要がある。

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