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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

安倍「働き方改革」虚像と実像⑥ 解雇の金銭解決 職場復帰のルールこそ

2016-10-27 13:11:54 | 働く権利・賃金・雇用問題について
安倍「働き方改革」虚像と実像⑥ 解雇の金銭解決 職場復帰のルールこそ

裁判で解雇が不当と判断されても、会社が手切れ金を支払えば雇用が終了する「解雇の金銭解決制度」。安倍政権は厚労省に設置した「透明かつ公正な労働紛争解決システム等の在り方に関する検討会」で、検討事項案に「解雇無効時における金銭救済制度について」と明記し、導入に向けた危険な動きを強めています。
そもそも日本は解雇規制が弱い国です。経済協力開発機構(OECD)の2013年調査によると、加盟34力国のなかで一般労働者の雇用保護は低い方から10番目、有期雇用労働者は9番目です。

判例重ねて
裁判を積み重ね、正当性のない解雇を無効とする判例法理が確立しています。しかし、いったん解雇が起これば、職場復帰に高いハードルがあります。
三菱製紙の100%子会社、浪速通運(本社・大阪市)で働く藤田眞二さん(50)たち4人は、08年9月に解雇され、13年7月に職場復帰するまで、5年かかりました。
会社がトラック車庫を通勤時間が3倍かかる場所に移転させようとしたことに対し、4人は全日本港湾労働者組合(全港湾)東京支部に加入し、団体交渉を申し入れました。会社が話し合いに応じないため、ひとまず車庫移転命令に従いました。しかし、会社は解雇を通告しました。
「最初は冗談かと思いました。なぜ解雇になるのかと、怒りが込み上げてきました」と藤田さんは語ります。
12年2月、最高裁で解雇無効が確定。そこから1年半後、11回の団体交渉で職場復帰しました。現在、4人は元気に働いています。
藤田さんは「私たちは、まともな理由がないのに解雇された。裁判には時間がかかり、家族に苦労をかけました。簡単に解雇できない制度こそ必要です。さらに確実に原職復帰できるようにしてもらいたい」と訴えます。



ロックアウト解雇と賃金減額をやめろと日本IBM本社前で訴える労働者と支援者たち=9月15日、東京都内

制度先取り
厚労省検討会では水口洋介弁護士が「日本の民事訴訟では、就労を強制する就労請求権がないため、復職が難しい」と問題点を指摘しました。土田道夫同志社大学教授は「金銭解決制度が必要ないという議論には賛成できません」と述べ、就労請求権は「かなり極端な話」だと言って導入検討に反対しました。
日本では職場復帰ルールが確立していません。国際労働機関(ILO)は、会社都合で整理解雇した後に新規採用する際、解雇者の職場復帰を優先する国際労働基準(166号勧告)を示しています。ところが、日本航空はパイロットと客室乗務員165人を解雇し、現在は経営回復して新規採用しているのに、復帰させていません。
「解雇の金銭解決制度」が導入されれば、労働条件改善などを訴える労働者を追い出すことが可能になってしまいます。すでに制度を先取りする解雇も起こっています。
日本IBMは、JMITU(日本金属製造情報通信労働組合)の組合員たちに突然解雇を通告し、会社から閉め出す「ロックアウト解雇」を強行。自ら退職するなら退職金を上積みすると迫りました。組合員たちは裁判をたたかい、第1次、第2次訴訟の原告5人全員が東京地裁で解雇無効を勝ち取っています。
「ブラック企業」のやり得を許さないためには、判例法理を明文化し、解雇無効になった場合の職場復帰を保障するなど解雇規制法の制定こそ必要です。(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2016年10月25日付掲載


裁判の判例では正当性のない解雇は無効となっていますが、実際の労働現場ではそれを無視することが横行。
やはり、労働組合や市民運動で、無法な企業を包囲することが必要。

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