きんちゃんのぷらっとドライブ&写真撮影

「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

アナログ停波200日 崖っぷちの地デジ 前半

2010-12-29 22:33:37 | 政治・社会問題について
アナログ停波200日 崖っぷちの地デジ 前半

観光客に人気の「東京スカイツリー」(東京都墨田区)。電波塔としては世界一高い634メートルに達し、2012年春に開業する予定です。本来の役割は、地上デジタル放送を首都圏に送信するテレビ塔だということをご存じでしょうか。(佐藤研二)

スカイツリー 建設遅れムダな出費に①
 現在の東京タワー(港区、333メートル)に替わって、新たにタワーを造る理由は何か。スカイツリーのホームページでは、「都心部に林立する200メートル級超高層ビルの影響を低減できる」「『ワンセグ』のエリア拡大」と解説しています。
 間題なのが、実際にスカイツリーから本格的に地デジ電波が発射される時期。当初の予定では、来年7月の地デジ完全移行に間に合う予定でしたが、計画の遅れで本放送が始まるのは早くても12年冬以降。アナログ停波から1年半も遅れる“時間差”が、思わぬ波紋を呼んでいます。



 東京都内で電器店を経営していた奈良原光衛さん(77)は「送信点が東京タワーからスカイツリーに替わると、アンテナの向きを変える必要が出てきたり、新たに難視聴になってしまう家が必ず出る」と懸念します。
 総務省地上放送課では「高さが倍になるので影響はほとんどない」と説明。これに対して、「実際にスカイツリーから電波を出してみなければわからない」と奈良原さんは反論します。

あわてずとも
 地デジ問題に詳しい砂川浩慶・立教大学准教授は、「スカイツリーの建設が遅れたことで、これまで東京タワーの電波で行ってきたアンテナ調整や、ビル陰難視聴対策がムダな投資になってしまいます」と指摘します。
 実際、地域住民にムダな地デジ投資をしないよう、「学習会」を開いて呼びかけているのが、日本共産党台東区議団。杉山光男区議は、地デジテレビのアンテナ端子に針金を巻きつけるだけでもテレビが映る“実験”をして、参加者を驚かせます。
「地デジの電波は強力です。東京タワーからの電波でも、少なくない家庭で値段の安い室内アンテナで十分受信できます。スカイツリーができればさらに電波の条件がよくなる。あわててケーブルテレビに加入したり高いお金を払って準備する必要はありません」
政策に大問題
 党区議団が地デジ学習会を開いてきたのは、区民からの地デジ相談が相次いだためでした。代表的な事例が、簡易なアンテナでも十分受信できるのに、業者から月額料金の高いケーブルテレビヘの加入を迫られたり、高額なアンテナ工事代を請求されたというもの。ビル陰共聴施設の改修に数百万円をかけたマンションのオーナーの例もありました。
 相談を受けてきた、はしづめ高志区議は「アナログ停波とスカイツリーの開業の順序が逆です。“来年7月までに地デジの準備をしろ”と脅して、地デジの知識のない人や高齢者に余分な負担を強いる国の政策は大問題」と怒ります。
 砂川さんも言います。「スカイツリー建設の計画が遅れたのなら、アナログ停波もそれに合わせて延期すればいいのです。その方が余計な対策に税金を使わなくても済みます。延期するのに何の問題もありません」
   ◇
 地デジに完全移行し、アナログ波を止める来年7月24日まで、あと200日余と迫りました。しかし、低所得者層への地デジ受信機の普及や共聴施設の地デジ対応の遅れなど、課題は山積。NHKの内部試算では、受信契約数が約60万~440万件減ると予測しました。事実上の「テレビ難民」です。崖っぷちに立たされた地デジの課題を探ります。(つづく)

延期して困ることなし
 砂川浩慶さんの話 デジタル化は世界の大きな流れです。しかし、政府が「円滑な地デジヘの移行」というなら、きちんとしたデータをもとに議論して、その上で国民生活の重要なインフラ(基盤)であるテレビの電波を止めていいのかどうか判断すべきです。アナログ停波を延期すると、放送局のサイマル(アナログ放送とデジタル放送の両方を流す)経費が大変だといわれます。いくつかのローカル局の話では、年間のサイマル経費はだいたい数千万円で、民放127社だと約100億円。NHKと合わせても140億円です。地デジチューナー支援予算の570億円よりはるかに安い。このまま地デジに完全移行してテレビの台数が減れば、民放は広告料がそのままというわけにはいかない。NHKも受信料がとれなくなります。現実問題、アナログ停波を延期して困ることはありません。イギリスでは、停波実験を重ねながら延期し、「2012年停波」を決めました。社会的弱者といわれる人もきちんと地デジに替われる状況のもとで停波する方が、税金投入も少なくて済むのではないでしょうか。
「しんぶん赤旗」日刊紙 2010年12月26日付掲載



ビル陰共聴施設 遅れる政府の支援策②
 「来年7月までやれるはずがない。無理ですね」。全国約3200のマンション管理組合が加盟する「NPO法人全国マンション管理組合連合会」(全管連)の谷垣千秋事務局長は言い切ります。
 谷垣さんが指摘するのは、ビル陰の電波障害に対応する共同受信施設(共聴施設)の地上デジタル化が、来年7月の地デジ移行Hアナログ放送打ち切りまでに間に合わないということです。

3割が未対応
 9月末時点での総務省の調査では、全国のビル陰共聴施設のうち、地デジ対応が済んだのは70・2%。京都府(50・5%)、千葉県(50・7%)と都市部での遅れが顕著です。ビルやマンションなどの建造物が原因で電波障害が起きた場合、その建物の所有者の負担で、共同アンテナから各戸にケーブルを引くなどの対策を講じてきました。全国で約6万8千施設、690万世帯が利用しています。
 共聴施設を管理するマンション住民にとって、アナログからデジタルヘの変更は、まったく想定外の事態。受信調査や施設の改修・廃棄には多額の費用と時間がかかります。総会で居住者の承認を得るだけでなく、施設を利用する地域住民への通知や説明会も開かなくてはなりません。
 最近、共聴施設の改修を終えた埼玉県三郷市のマンションの場合、改修を終えるまでに費やした時間は1年半。管理組合役員は「地デジの知識や情報がまったくないなか、費用の捻出や地域住民への説明は本当に苦労しました」と振り返ります。
 全管連では2007年1月、共聴施設の地デジ改修費用の国庫負担などを政府に求めました。しかし、助成制度が始まったのが昨年5月。完了まで面倒をみる「総合コンサルティング」支援は今年の5月になってから。
 「政府の対応は後手後手なうえ、肝心の情報が伝わってこない」と管理組合役員。谷垣さんは「支援策ができても、伝わるのは管理会社止まり。これが『遅れ』の原因です」と指摘します。






改修のめどは
 実際、助成制度の利用件数も伸びていません。今年の11月末まで4800件分の予算を用意していましたが、実際の申し込みは約1700件にとどまりました。いまだに改修のめどがたっていない「計画なし」の施設も、総務省の調査で8・3%。世帯に換算すると40万に達します。
 日本共産党の塩川鉄也衆院議員が10月に訪問したケーブル会社「JICOM所沢」(埼玉県所沢市)の担当者によると、ビル陰対応が必要なマンション約100棟のうち、改修がすんだのはまだ半分程度。担当者は「対策が必要なマンションを回っていますが、まだ把握できていない施設も数多くあります。総務省のリストだけでは数は合いません」と危惧します。
 塩川議員は、総務省の調査方法に疑問を投げかけます。「ビル陰共聴施設の管理者が、利用している地域住民に『個別でも受信できる』とチラシなどで周知すれば『地デジ対応済み』とカウントされる。これでは、双方がきちんと地デジに対応したのか、正確な実態が反映されません」
 改修が間に合わなくても、アナログ波を止めるのか…政府の対応が問われています。(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2010年12月27日掲載



普及率9割? 「実態反映せず」の指摘
 「地デジ受信機の普及率9割超える」「エコポイント効果」―。先月末、新聞やテレビが一斉に報じました。総務省が11月26日に発表した「地上デジタル浸透度調査」によると、9月末現在の地デジ受信機(テレビやチューナー、録画器など)の世帯普及率が90・3%に上昇。政府目標の91%に届かなかったものの、片山善博総務相は「誤差の範囲」と、来年7月の地デジ完全移行に変更がないと明言しました。

重過ぎる負担
 一方、東京都大田区の黒沼良光・日本共産党前区議は「とても9割もの世帯に普及しているとは思えません」と首をひねります。黒沼さんが地域住民の要望にこたえて「地デジ講座」を開いたのは10月。十数人の参加者のなかで「地デジ受信機」を準備できていたのは、わずか2人でした。
 「すでにテレビを注文した人や、期限ギリギリまでアナログテレビを使うという人もいます。しかし、高齢者にとって数万円のテレビやアンテナ代を負担するのは大変です」と黒沼さん。「テレビを見るのをやめる」と語った参加者もいたといいます。
 総務省の「浸透度調査」からも、このような傾向が読み取れます。地デジ受信機を「保有していない」理由(複数回答)について、トップは「アナログ終了まで時間的余裕がある」で70・1%。「経済的に地デジ放送に対応する余裕がない」が36・1%で2番目です。年収200万円未満の普及率も全体より10ポイント低い80・3%と、経済的な「格差」の問題は残されたままです。
 地デジ問題に詳しいジャーナリストの坂本衛さんは、「総務省の調査はまったく信用できない。地デジの世帯普及率は、9月段階で8割に達していないのではないか」と疑問を投げかけます。



問題多い調査
 坂本さんは今年の7月、学識経験者4氏で「地上デジタル放送完全移行の延期と現行アナログ放送停止の延期を求める提言」を発表。その根拠の一つとして、「総務省発表の世帯普及率は、実態と大きくかけ離れている」ことを挙げています。
 それによると、調査は無作為に抽出した電話番号に電話をかけ、アンケート調査票の郵送に同意した家庭だけに送付するという「RDD法」と呼ばれるもの。この方法だと、地デジに対応していないなど調査に非協力的な家庭が最初から漏れてしますこと。さらに、電話がかかる時間帯に不在がちな単身世帯や共稼ぎ世帯、携帯しか持たない若者世帯が反映されないと指摘しています。
 「そもそも、総務省の調査では、地デジの対応が最も困難な80歳以上の高齢者を対象から除外している」と坂本さん。80歳以上の単身世帯(約150万)と夫婦世帯(約100万)の合計250万世帯は、全体の5%。四国4県(約165万世帯)を上回ります。
 坂本さんは言います。「このままでは、いちばんテレビを必要とするお年寄りからテレビを奪うことになります。もし、来年7月24日に日本を大型台風や地震が襲ったとき、それでもアナログ波を止めてしまうのか―。そんなことは断じて許されるはずがありません」(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2010年12月28日付掲載



 僕の場合はもともと電波障害で、ケーブルテレビが無料でアナログと地デジを配信してくれています。
 パソコンの方はやっと地デジ対応のチューナーを購入しました。セットアップは来年になります。
 テレビの方はどれほどの機能が必要なものかと悩んでいます。録画機能のないものなら比較的安く買えます。
 パソコンのチューナはダブル録画ですので録画はそちらで充分な気がしています。パソコンのチューナを使い込んでみてテレビの方は決めます・・・


それにしても、高齢者などよく分からない人に高価なテレビやチューナ、アンテナを売りつける輩って許せませんね!

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