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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

排斥と分断に抗して 移民国家に生きる⑤ 米国 立ち上がった若者

2018-01-09 14:55:25 | 国際政治
排斥と分断に抗して 移民国家に生きる⑤ 米国 立ち上がった若者

「ドリーマーズ(夢見る人たち)」1親に連れられて米国に渡った不法移民の子どもです。米国内に現在約80万人いるといわれ、オバマ前政権が始めた制度(DACA)で米国滞在が認められ、就労、就学してきました。ところが昨年9月、トランプ政権がこの制度の廃止を発表。制度の維持を求めて、ドリーマーズが立ち上がりました。(ワシントン=遠藤誠二 写真も)

「ドリーマーズ法制化を」「歴史の正しい側にいてほしい」―昨年12月7日、ワシントンの連邦議会、野党民主党の有力議員、チャック・シューマー上院院内総務の事務所に、韓国系米国人ら数十人の若者が横断幕を手につめかけ、願いを聞いてほしいと面会を求めました。その中にヌリマロ・バクさん(26)の姿がありました。
韓国生まれのバクさんは17年前、同国の通貨危機を受けた経済的困窮で、家族で米国に渡りました。両親をはじめ一家は、長期滞在ビザやグリーンカード(永住権証明)などを持たない「アンドキュメント(滞在許可証不所持者)」、いわゆる「不法移民」です。バクさんもドリーマーズの1人となりました。



連邦議会で「ドリーマーズ保護」の法制化を求める人たち=2017年12月7日

突然の打ち切り
自分の意思で「不法」になったわけではなく、生活基盤を米国に置くドリーマーズは、条件を満たせば、2年ごとにDACA更新が可能。しかしこの制度がトランプ政権による移民いじめ政策の一環で今年3月、廃止されます。議会がDACAにかわる制度を法制化しない限り、ドリーマーズは路頭に迷うことになります。すでに毎日120人以上が更新できなくなっています。
DACA打ち切りは、共和党内でも異論が噴出。昨年9月の打ち切り発表の際に、ライアン下院議長は、「彼らは親に連れてこられ、米国以外の国、家を知らない」「打ち切るべきでない」と主張。同党下院議員有志は年末、ドリーマーズ保護の法制化を直ちに行うよう要請する書簡を同議長に提出しました。
バクさんは昨年5月にDACAの期限切れを迎えましたが、更新料約500ドル(約5万6000円)がすぐには工面できず、ルールに基づき更新を遅らせました。その後のDACA打ち切り決定で、突然、滞在許可がなくなりました。
他のドリーマーズとともに、政権に決定取り消しを求め連邦地裁に訴訟を起こしているバクさんはいいます。
「私は小学校の時から米国で暮らしていて、大学も出て、就職もここでしています」「DACAは3月までですが、私を含めすでに期限切れの人がかなりいるのです。すぐにわれわれを守る法律をつくってほしい」

排外政策の数々
DACA廃止のほか、災害被災者の滞在許可制度の打ち切りや聖域都市(移民保護自治体)への補助金カット、イスラム諸国などからの入国禁止令、メキシコ国境との壁建設―。世界最大の移民国家である米国では、昨年1月のトランプ政権発足後、移民や特定の国からの出身者を排除する施策が相次いでいます。米国で暮らす青年の夢を壊すDACA廃止は、無慈悲で排他的なトランプ政権の性格を象徴しています。
(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2018年1月9日付掲載


移民といっても、米国で働いて税金も納めている。そんな人々を追い出すなんて人道的にも許されない。
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