きんちゃんのぷらっとドライブ&写真撮影

「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

酷暑の祭典 東京五輪・パラリンピック① マラソン 高温多湿 生命の危険も

2017-08-19 08:15:07 | スポーツ・運動について
酷暑の祭典 東京五輪・パラリンピック① マラソン 高温多湿 生命の危険も

史上最も過酷な大会になるといわれる3年後の東京五輪・パラリンピック。真夏の酷暑・東京が競技にどのような影響を与えるのか。選手や観客のスポーツの健康と生命は大丈夫なのか。探りました。

9日午前7時半。東京都千代田区にある皇居周辺の気温は30度になろうとしていました。湿度は70%を超えました。
3年後の同日同時刻に、オリンピックの花形競技の一つである男子マラソンがスタートします。マラソンコースになる予定の皇居前は道路からの反射熱もあり、目もくらむような暑さです。国土交通省によると、炎天下の道路の表面温度は50~60度にまで達します。
過去10年、8月9日は猛暑に見舞われてきました。この10年の平均を見ると午前7時の時点で約27度になり、10時には約30度に。今年は10時で34度に達しました。
この日の午前、皇居周辺を走る市民ランナーに話を聞くと―。
新宿区の堀口卓裕さん(59)は「競技者は大変。真夏はあまりよくない」と話し、水道水を頭からかけて体を冷やしました。
埼玉県吉川市の男性(43)は不安を募らせます。
「この暑さでは生命の危険があります。この日のために4年間、約1460日をかけて練習してきたランナーたちは、簡単にレースをあきらめることができないだけに、なおさらです。東京の暑さを知ったら、出場を断念する選手も出てくるかもしれない」



高温多湿下のレースで3割超の選手が途中棄権した2007年陸上世界選手権(大阪)の男子マラソン

3割超が棄権
思い出すのが、10年前の07年8月下旬から大阪で開かれた陸上の世界選手権です。
男子マラソンの日は気温30度、湿度70%を超え、出場85人中、3割超の28人が途中棄権する事態に。優勝タイムは2時間15分59秒と低調でした。
そもそも、マラソンに適している季節は晩秋から早春にかけて。真夏の猛暑下のフルマラソンは異例中の異例です。
長距離ランナーとして3度の五輪に出場した弘山晴美さんは、この時期の体調管理の難しさをあげます。
「真夏のトレーニングは疲労度も大きく、コンディションの調整が難しい。夏場は睡眠も浅くなる。いかに万全な状態でスタートラインに立てるかが大事」
体調に不安を抱えたままの選手が高温多湿下のレースにのぞめば、変調をきたす確率はぐっと高まります。「選手はどうしても無理をするので、熱中症から生命の危険に至るケースがある」と警告する研究者もいます。沿道で長時間応援する観客にとっても危険です。

測れない“熱”
日本体育協会が定める「暑さ指数」によると、35度以上は「運動は原則中止」。31~35度は「厳重警戒(激しい運動は中止)」です。しかし、気温と湿度、日差しの強さなどをもとに算出する「暑さ指数」だけでは測れない“熱”もあります。
最近の研究では、厳しい暑さのもとで選手がさまざまな熱負荷(熱ストレス)にさらされることがわかっています。激しい運動をすると大量の熱が体内に発生して放熱するほか、地面や周辺の建物からの放射熱なども出ます。
そのうえ、運動の強度や着衣の量なども考慮する必要があります。選手が受ける熱負荷をより正確に測ることは、熱中症対策のうえで急務です。
弘山さんは「せめて早朝や夜など、少しでも涼しい時間帯にスタートさせてほしい」と話します。医科学面の支援の充実と、緑化による走りやすい環境づくりも求めます。
最高の舞台で、最高の力を発揮できるために。主催者に課せられた責任は重大です。
(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2017年8月18日付掲載


1964年の東京オリンピック。夏季大会と言われますが、実際の開催時期は10月。秋だったのです。
2020年は真夏。屋外競技の場合は、開催時刻などの配慮が必要ですね。
コメント
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