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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

東日本大震災・原発事故6年 被災地から① 被災者医療 「命」を差別しないで

2017-03-15 14:39:48 | 震災・災害・復興・地震&災害対策など
東日本大震災・原発事故6年 被災地から① 被災者医療 「命」を差別しないで

東日本大震災と東京電力福島第1原発事故から11日で6年たちました。避難者はいまだ12万3168人、「震災関連死」を合わせると死者、不明者は12都道府県の2万1000人を越えます。災害公営住宅への入居が進みますが、プレハブ仮設住宅に住む被災者も3県合わせて3万5503人います。福島県では政府が避難指示を帰還困難区域を除き春に解除する予定。住民からは放射線やライフラインの不備に不安が出ています。被災地の今を追いました。
被災者にとって医療費免除は“命綱”といえるものです。しかし、2012年の国負担10割から8割への切り下げを機に、免除対象は狭められ、県が負担を行わない宮城では市町村格差も出ています(別表)。岩手県では県と市町村が折半し、全域で免除を継続しているのと対照をなしています。
仙台市は国民健康保険(国保)の被災者への免除も打ち切っています。一方、15年度の同市の国保財政収支をみると27億円の余剰金が出ています。
同市若林区の貴田喜一さん(71)は昨年、心筋梗塞で倒れて手術、今年も再手術の予定です。昨年の手術は7万円かかりました。持病のリウマチも震災後に悪化し、1週間に1本、高額の注射が必要です。高額医療制度の対象になり、払い戻しはありますが、重い負担が残ります。
「津波ですべて失った。財源もあるのになぜ、仙台市は免除しないのか。なぜ弱者の味方をしないのか。悔しい」と貴田さんはいいます。
石巻市で被災し妻を亡くした山村幸男さん(61)=仮名=は16年5月に仙台市泉区の災害公営住宅に入居。住民票も仙台にあります。高血圧、強度の肩こり、不眠、メンタルで四つの病院に通っています。



被災地「荒浜再生を願う会」の事務所前に立つ貴田さん=3月4日、仙台市

宮城県の被災者医療負担免除の経緯
 11年3月~12年4月~12年10月~13年4月~14年4月~16年4月~
社会保険(協会けんぽ)××××
社会保険(その他)×××××
国民健康保険×
後期高齢者××
○=窓口負担免除×一免除打ち切り△=住民税非課税世帯に限定して免除▲=9市町のみで
住民税非課税世帯に限定して免除(県保険医協会まとめなどをもとに作成)


被災者医療費窓口負担の免除
現在は国が8割負担、自治体が2割負担。宮城県では県が財源負担しない中、2016年度は自治体負担2割を市町村が担い、9市町のみが制度を継続しました。
岩手県では自治体負担分を県と市町村が折半し、全域で国保加入者、後期高齢者について免除(大規模半壊以上・当面17年末まで)続けています。
福島県では原発事故への対応として18歳以下については全県で免除。18歳以上では避難状況に応じて施策にばらつきがあります。


国の責任で
昨年7月のこと。ある総合病院窓口の支払いで、山村さんの前の2人が「あなたは石巻市の人だから払わなくていいです」「多賀城市の人だからいいです」と説明されるのが耳に入りました。山村さんの支払いは5000円。
「同じ被災者なのにやりきれない気持ち。自治体格差は差別だ。精神的におかしくなる。市町村任せではだめだ。
国の責任で制度を続けてほしい」
勤めていた水産加工会社は倒産し、年金の出る年齢でもなく、現在の収入はゼロ。貯金を取り崩す生活です。山村一さんの医療費は月約2万5千円、1カ月の食費に相当するといいます。
山村さんは言います。
「震災からやっと助かった命。なんで生かすようにもっていけないのか。憲法も調べた。最低限度の生活を営む、基本的人権が保障されていないじゃないか」(つづく)


「しんぶん赤旗」日刊紙 2017年3月11日付掲載


同じ病院を受診しても、居住地によって、医療費の負担が変わって来るというのは、被災者の分断を招くことになります。
国や県が責任をもって支援すべきです。
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