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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

安倍成長戦略と労働問題① リストラと労働の無権利化すすむ

2013-08-17 09:01:10 | 働く権利・賃金・雇用問題について
安倍成長戦略と労働問題① リストラと労働の無権利化すすむ
全労連・井上久事務局次長に聞く


安倍晋三首相は、「秋の臨時国会は成長戦略実現国会だ」と述べ、6月に策定した「成長戦略(日本再興戦略)」の具体化を狙っています。
「成長戦略」の焦点となっているのが、「雇用制度改革」です。「成長戦略」と労働問題について、全労連の井上久事務局次長に聞きました。
(聞き手・柳沢哲哉)

■雇用を崩す
安倍政権の「成長戦略」は、日本の労働者全体を踏み台にして、ごく一握りの多国籍企業の利益追求に奉仕するものです。そのために、「雇用改革」を最大の標的に据えたというのが「成長戦略」の中身です。
世界の国々が最低賃金の引き上げや公契約法の制定などいろいろなことをやってグローバル化(地球規模化)の弊害を除こうとしているのに、日本だけが労働者を犠牲にしてグローバル展開を推し進めています。労働者保護法制を骨抜きにして雇用をどんどん崩そうとしています。
「成長戦略」に盛り込まれた「雇用改革」は、雇用維持型から労働移動型への転換を掲げ、産業や企業の新陳代謝に合わせて「人が動く」ことを眼目にしています。そのため、正社員「改革」に焦点をあて、限定正社員制度といった正社員の首を切りやすい仕組みをつくろうとしています。
1995年に日経連が出した提言「新時代の日本的経営」は、一定の長期継続雇用を残すという考えがありましたが、それすらも投げ捨てるものです。企業の再編に合わせたリストラがさらに加速していく危険があります。

■選択を強制
同時に、こうした制度を脅しに使った働き方の無限定化が進むという懸念があります。
「成長戦略」は、「世界に勝てる真のグローバル人材を育てる」とうたっています。しかし、財界・大企業が想定している「グローバル人材」というのは、世界中どこでも飛び回り、24時間開いている世界の市場に対応できる、そういうごく一握りの人材です。
それが嫌ならば、賃金が3~4割下がることを受け入れ、解雇が容易な限定正社員に甘んじなければなりません。
ワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)に反し、仕事か生活か、どちらを取るのかの選択の強制です。
「グローバル人材」もうまくいっているうちはいいでしょうが、多国籍企業にとっては「消耗品」
です。稼げなくなった途端に年収減など使い捨てにされてしまいます。

■競争の道具
また、限定正社員制度でいうと、多国籍企業は新規採用から、有期のお試し雇用といった形で、がんばれば限定正社員、その次は正社員になれるという競争の道具に使っていくと思います。限定から正社員になりたいとか、正社員のままでいようとすれば、ますますモノが言えなくなり、無権利な働き方を強要されます。
中高年の正社員をリストラし、若者を限定正社員に変えていきながら、労働時間規制の緩和で一層の長時間過密労働を押し付け、派遣労働の一層の拡大で無権利な働き方を強要するのです。安倍政権の「成長戦略」によって、企業のブラック化がますます進んでいくと思います。
(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2013年8月14日付掲載


限定正社員なら不安定な身分で働かされ、正社員になったらなったらで、また長時間過密労働においこまれる。
労働者にとっては、どちらも受け入れられるものではありません。とんでもない安倍内閣の「成長戦略」です。


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