蕎麦善 四谷

暗くなってからの時刻に、急に雨脚が強くなった。駅前の商店街の中程にあるお店だが、気をつけないと結構濡れてしまうほどの降りだ。狭い通りの十字路に立つ信号を律義に守って、お店に入った。


気温は低いし、別に喉がひどく渇いているわけでもないので、いきなり日本酒で始めることにした。日本酒には、ほんの一口蕎麦味噌が付く。
酒器も、そうとうこだわったものを使われているように感じる。


まあ、それではいかにも足りないので、別におつまみで注文した。お味噌に練りこんである柚子と思われる柑橘系の香りが、また堪らない。どうしても、ペースは速めになって、お酒をどんどん行ってしまう。


そこへ登場した桜海老のかき揚げ。パリパリ、かつ香りが高い。
生しらすのかき揚げも、ぜひ次回には試してみたい。


この日は結構、お店が混みあっていたのだが、お酒をゆるりといかれる方が多く、幸いにも限定の生粉打ちがまだ注文できた。
蕎麦は艶のある姿。お江戸らしく細打ち。


大都会の中心だというのに、歩道から少しだけ引いたこの入口に、何か店主の心の余裕のようなものを感じた。