私はズームレンズのメンテナンスに
よく立ち会いました…
別にどうしても立ち会わなくても
いいのでしたが。巨大な光学硝子の
塊のような、そして超高価な
ズームレンズの分解が見られるのですから
私はよく立ち会いました…
… … …
机の上にズームレンズを置いて
手際よくネジを外してどんどん分解して
いきます。レンズ群のネジ部分にけがき針で
印を付けていきます…
素人にはわかりませんが
分解していく手順がきまっているのでしょう…
ズームレンズはズーミングにつれて、
摺動(しゅうどう)レンズが鏡胴(きょうどう)内を
複雑に動きます。摺動レンズはワイヤーにつながれています
そのワイヤーを交換するのもメンテナンスのうちです
摺動レンズのまわりのグリース交換して一応メンテナンスは
終わります。
摺動レンズの表面のほこりを掃除するためにレンズクリーナーが
使われます。レンズクリーナー液は刺激臭が強いので
私はその場から離れることにしていました
再びレンズの組立が始まります。測定器もなく
分解時に、けがき針で印したマークを頼りに
仕上げるのですから、すごい技術です…
メンテナンスの技術さんは、組み上がった
ズームレンズを示しながら、レンズの中から
出てきましたと、二、三匹の蠅(はえ)を
見せてくれました
ズームレンズはズーミングでズームシャフトを
動かします。鏡胴内を摺動レンズがピストンのように
前後に動きます。
急激にズームシャフトを動かしたときに、レンズの
排気口の近くを飛んでいた不運な蠅が、吸い込まれて
しまったのでした…