初心者の老人です

75才になって初めてVISTAを始めました。

映画の「五社協定」

2010年08月31日 19時13分51秒 | Weblog



戦後,映画興行から映画制作を考えていた日活は、

多摩川撮影所を建設して、映画各社の

監督や俳優などを引き抜こうとします.

1.各社専属の監督、俳優の引き抜きを禁止する。

2.監督、俳優の貸し出しの特例も、この際廃止する。

という協定を 松竹、東宝、大映、新東宝、東映の五社は

日活を標的に「五社協定」を結びます.





日活は,この協定に縛られて,しばらく苦戦します.

やがて、新人スター・石原裕次郎を得て,

青春路線で次々に大ヒットを飛ばしていきます.

映画会社各社の「五社協定」もテレビの台頭で

映画会社各社の協定の相手がテレビに向けられます.

そして映画俳優のテレビへの出演を禁止します.

テレビのドラマ,テレビ映画の俳優は劇団俳優さん

「五社協定」に触れない新人俳優さんで作られていました.

テレビの出現で,映画会社の制作本数は,激減します.

映画会社もテレビの影響を無視できなくなります.

映画会社も設備を改造して、

テレビ映画,テレビドラマ,子供向け番組などを

作るようになります。

映画会社は専属スターを解雇します.

「五社協定」の終焉です。






NHK「大河ドラマ」、花の生涯」、に

歌舞伎スター尾上松緑が井伊直弼役で

高視聴率を稼ぎ,

次の「赤穂浪士」で大スター長谷川一夫が

大石内蔵助役で山田五十鈴,林与一、尾上梅幸

滝沢修、志村喬など大スターが共演しています.







テレビ映画⑦

2010年08月30日 21時52分46秒 | Weblog



アメリカのテレビ映画は,広大なアメリカのテレビ局で

放映された後、輸入されたはずですから,

放映権とか契約の費用は高くなかったはずです.

アメリカのテレビ映画は,ハリウッドの本編映画並みの

設備で作られていました。

テレビ映画の制作と思わなければ,

劇場映画制作の雰囲気のままだったはずです.





テレビ映画のセットの撮影で

『サンセット77』、『ハワイアン・アイ』

『ベン・ケーシー』など俳優さんのバストショットを見ると

ライティングは極端に強いキーライトを避けて,

キャメラサイドから当てる

フィルインライトを強くして、テレビでキレイに見えるように

コントラストを下げたライティングでした.

                    … … …

ときどき,キャメラサイドの

フィルインライト(アーク灯が使用された?)が

俳優さんの後のセットに影が出ていることがありました。





この豪華な設備で制作されるアメリカテレビ映画は

比較的安価な契約料でした。

日本国内で次々にテレビ局が開局されます。

この安いアメリカのテレビ映画の契約料も

高くなっていきます.

新しいテレビの開局に伴い

日本製のテレビ映画が制作されます.

日本製テレビ映画の予算はアメリカの

テレビ映画の安い契約料に比較されます.






ハリウッド製テレビ映画が

35ミリBNCミッチェルキャメラですが

日本では,最初から,予算に縛られて

16ミリキャメラで制作されました.

                   … … …

日本の劇場用映画制作のキャメラは,

1000フィートマガジンを乗せた

NCミッチェルで撮影されていました.

キャメラのまわりには、

ディレクターチェアに座った監督さん,

大勢の助監督さん、

キャメラマン,キャメラ助手が集まっての

撮影がスタンダードでした.

                    … … …

日本のテレビ映画の現場は

小さな16ミリキャメラを中心に,

少数のスタッフでこぢんまりと制作されました.









テレビ映画⑥

2010年08月29日 23時49分56秒 | Weblog



映画館で何百人の観客の前の大きなスクリーンに

投影する映画は観客の後の映写室の

35ミリのシネサイズ,(ライカハーフ判、

ペンサイズ)映写機(プロジェクター)から

投影されます.

                       … … …

家庭に置いてあるテレビ受像機は,

映画館のスクリーンよりはるかに小さい

14吋のブラウン管(標準)で

映像を見ます.

                      … … …

映画館のスクリーンと家庭のテレビのブラウン管を比較して,

映画館が35㍉フィルムならば、テレビで使用するフィルムサイズは

16ミリフィルムで充分だろうと考えられたのでしょう.




テレビ局でテレビ映画,ニュース,ドキュメンタリー映画を

放映する映写機(プロジェクター)は16ミリです。

報道局で使用するニュースカメラは,

16ミリフィルモがスタンダードでした.

ドキュメンタリー番組も16ミリでした。

テレビ局のプロジェクターが16ミリでしたから、

ハリウッドのテレビ映画が

劇場用の35ミリキャメラを

使用した本格的な映画機材で制作されても、

テレビ局用に16ミリに縮小プリントされました。



アメリカのテレビ映画の原板が35ミリで

作られた映像を16ミリに縮小プリントされても、

ノイズ(キズ)の少ない鮮鋭な映像を保っていました.

最初から16ミリのネガで作られる国産のテレビ映画は

そのまま同寸法の16ミリポジにプリントしても,

ハリウッドの35ミリネガの縮小焼き付けのテレビ映画に

比べてかなりの見劣りがしました.




安い価格で輸入されるアメリカテレビ映画に

対抗するのには、予算の掛からない

小型の16ミリキャメラで,

撮影しなくてはならなかったのでしょう.










隠密剣士

2010年08月28日 23時50分40秒 | Weblog


『月光仮面』が大ヒットを飛ばしました,

この『月光仮面』のスタッフは次に時代劇を

企画します.

『月光仮面』で主演の大瀬康一と、船床定男監督で

『隠密剣士』です。

新機軸として忍者との戦いを押し出した第2部から人気が上昇。

子供のみならず大人にも人気を博しました。




あらすじは、第11代将軍家斉の腹違いの兄である松平信千代が、

秋草新太郎と名乗って公儀隠密として日本各地を旅する。

第1部は蝦夷篇で第2部から忍者との戦いを繰り広げます。

時代劇なのに潜水艦が出るなどの奇抜なアイディアが見どころ。

最盛期には40%近い視聴率を取ったとあります。

                    … … …

あまりのヒットなので,テレビ映画から逆に 東映で劇場用映画として

2本映画化されました。

本編映画も、テレビと同じ大瀬康一主演、船床定男監督でした。




『ザ・サムライ』というタイトルで海外でもヒット。

「オーストラリアや東南アジアで絶大な人気を集めました。

東南アジアではどこの国でも放映していましたよ」とのこと

                     … … …

『月光仮面』、『隠密剣士』も放映当時(48年ほど前)確かに,

見ているのですが,

すっかり忘れています。

インターネットから引用しました.

                   … … …

その後『七色仮面』『水戸黄門』『暴れん坊将軍』『ガードマン』

などが作られます.









月光仮面

2010年08月28日 00時01分43秒 | Weblog


日本でもテレビ映画か作られるようになります

『月光仮面』は広告代理店の宣弘社が自社制作した低予算番組でした。

これが大ヒット番組となり、これに続く子供向けヒーロー番組を生みます.

監督は新人の船床定男、主演はこれも新人の大瀬庚一です。

キャメラは,フィルモ16ミリが使われていたようです.

スタジオのセット撮影はなく、オールロケで、

自宅の居間や、ガレージが使われていたそうです.






ストーリーは毎回、大瀬庚一が扮する白装束に

サングラスをかけた『月光仮面』が,オートバイで、

事件現場に駆けつける話でした。

毎回,高い視聴率で好調な番組でした.

その勢いでわがテレビ局に怪盗が忍び込んで

それを『月光仮面』が追いつめるという

ストーリーで『月光仮面』撮影隊が、

わがテレビ局にやってきました。

局内のスタッフがスタジオに集められます

,あり合わせのセットを並べて

,適当に照明を当て,そのなかを

『月光仮面』が怪盗を追いつめ乱闘の場面でした。

テレビ局のスタッフも面白がって,撮影に協力しました.




『月光仮面』スタッフはテレビスタジオでの

乱闘シーンを考えたのでしょう

また、テレビ局のスタジオや副調整室を

使用する交渉をしたのでしょう。

テレビ局のスタジオ使用料、

テレビ局側のスタッフの人件費などはゼロのはずです.

                    … … …

小さな三脚にフィルモ16ミリカメラを乗せて,

映画本編のスタッフよりはるかに少ない人数で

現場をこなしていました.

スタジオのセット撮影のないオールロケですから、

音声の同時録音はできません.

すべて音声は,アフレコで処理されます.

                   … … …

初めてのテレビ映画制作に

監督の船床定男氏は新人、

主演の大瀬庚一も新人です,

その他、撮影スタッフも若い新人でした。




超低予算のテレビ映画の現場は,

情熱と熱気にあふれた雰囲気でした.










日曜洋画劇場

2010年08月26日 21時39分52秒 | Weblog



『0011ナポレオン・ソロ』がありました、

スパイもののテレビ映画(メトロ・ゴールドウィン・メイヤー製作)でした。

出演はナポレオン・ソロ:ロバート・ヴォーン (声優:矢島正明)

イリヤ・クリヤキン:デヴィッド・マッカラム (声:野沢那智)

                    … … …

『刑事・コジャック』のテリー・サバラス(声優・森山周一郎)



これらのテレビ映画を毎週欠かさず見ていましたが、

日本語吹き替えのアメリカテレビ映画は,

最初は少し,抵抗がありました.

しかし毎回,色々見ていくうちに、

画面の俳優さんと日本語吹き替えの声優の声が,

一緒になった、イメージとなりました.

                   … … …

たまにテレビ映画で俳優さんの声優が交代すると、

しばらくその俳優さんのイメージが変わってしまいました。

そのテレビ映画が,別の放送局から,もとの俳優さんの台詞入りで,

画面の下か右にスーパーインポーズされたものを見ると、

異質に感じました.

慣れとは恐ろしいものです.





東京に新しいテレビ局ができました.

NETテレビ(NETとはNippon Educational Terevision=日本教育テレビの略)

という名前の放送局です.しばらくしてテレビ朝日になりました。

NETで始まった、劇場用映画をテレビで放送する番組です.

『日曜洋画劇場』でした。

この番組で放映する映画は吹き替え放送でした.

番組の頭に淀川長治さんの名解説がついていました。

この解説がこの番組の売りになったようでした。

淀川さんはどんな映画も大好き人間だったようです。

ストーリーが優れているとストーリーの解説を前面に押し出し,

ストーリーの面白くない映画のときは、監督の略歴スタッフ出演者の

エピソードを交えていました.

映画が終わると,

「ソー・イン・ラヴ(コール・ポーター曲)」のバック・ミュージックに乗って

淀川長治さんのワンショットになります。

簡単な結びのコメントの後

手を振りながら

「さいなら、さいなら、さいなら」

は淀川さんの名物エンディングでした。
















テレビ映画⑤

2010年08月25日 22時18分30秒 | Weblog



テレビ映画、医学もの(脳外科)『ベン・ケーシー』が

驚異的な視聴率をかせぎます。

柳の下の2匹目の泥鰌を狙ったわけでもないでしょうが

総合病院のインターン生が患者の病気を治し,

院内のトラブルを解決して

人間的に成長していく『ドクター・キルディア』が放映されます.

俳優はリチャード・チェンバレンで

誰が吹き替え声優だったのか。

ストーリーも思いだしません.




『アンタッチャブル』は

アメリカの1920年代の禁酒時代をテーマに

FBIとシカゴギャングとの闘いを描いたものでした。

隊長のネスを演じたロバ-ト・スタックは

カッコよくクールに演じていました.

吹き替えの声優は、日下武史でした。





『逃亡者』も大ヒットしたテレビ映画でした.

妻殺しという無実の罪を着た青年医師(リチャード・キンブル)が、

真犯人を追って逃亡流転を続けるスト-リ-。

リチャード・キンブル(デビッド・ジャンセン)の

吹き替えの声優は睦五郎でした。

リチャード・キンブルを執拗に追いかける警部と

間一髪ですれ違う物語でした。





『スパイ大作戦』というスパイものがあります.

タイトルが済むと,画面に小型の

オープンリールレコーダーが回転しています.

テープレコーダーから

「おはようフェルプス君…」(声優…大平透)

が聞こえてきます.指令が済むとレコーダーは

自動的に煙をはいて燃え尽きます.

このテープレコーダーを聞いている

リーダー・フェルプスはピーター・グレイブス

で、吹き替えの声優は若山玄蔵でした。
















テレビ映画④

2010年08月24日 21時59分15秒 | Weblog



テレビ映画で印象に残っているものを…

『ローハイド』…何千頭の牛が大平原を移動する

フル・ショットのタイトルバックに

フランキー・レーンの「ローレン・ローレン・ローレン」の唄が

流れます.

牛を連れて長旅をするカウボーイの物語.

格好のいいカウボーイ姿のクリント・イーストウッドが

ここから売り出します.

マカロニウェスタンのガンマンで主役、

現代刑事物でダーティ・ハリー役。いまは、大監督です。




西部劇テレビ映画として『ララミー牧場』がありました。

主演のロバート・フラー、日本語声優は久松保夫でした。

ロバート・フラーが日本に来たときには、

久松保夫も挨拶の舞台に一緒に上がって

大変でした.

                    … … …

ミステリー『サンセット・77』…

ハリウッドのサンセット77に事務所を構える二人の私立探偵

ベイリー、エフレム・ジンパリストJR(彼の父親は名バイオリニスト)

吹き替え黒沢良、とスペンサー、吹き替え園井啓介の物語。

「セブニセブン・サンセットストリップ・・・・」の テ-マ音楽で始まる

「サンセット・77」を毎週わくわくして見ました.

助手格の駐車場番のク-キ-(エド・バ-ンズ)。

がいつも櫛を手にして髪を梳かしていました。





大病院を舞台にした医師ドラマがありました。

『ベン・ケーシー』です。脳外科医ベン・ケ-シ-と

同僚医師・患者達との間にくりひろげられる

人生縮図を描いたドラマ。

タイトルバックはベン・ケーシーが

救急患者をストレッチャーに乗せて,

病院の廊下を速いスピードで押していきます。

それをカメラはローアングルでドリーバックしながら

ベン・ケーシーをとらえます。

ベン・ケーシーのバックの天井のライトが画面の前から後へ

サーッ、サーッと

流れて何とも格好のよい画面でした.

ベン・ケーシーはビンセント・エドワーズで声優は滝田祐介です。

毎週このテレビ映画を見ながらアメリカにはなんと

脳腫瘍の患者が多いんだなあと思いながら

見ていました.














刑事コロンボ

2010年08月23日 20時07分44秒 | Weblog



テレビ映画も最初のころは、

どこのテレビ局も局内の「映画部」で翻訳して

声優さんの絶妙なタイミングで,

映画の俳優さんの台詞とあわせています.

英語の口の動きは、日本語は違うはずですが,

英語の台詞の間にキチッと日本語が納まりますと、

不思議にリップシンクして見えました.

                    … … …

テレビ映画「刑事コロンボ」の

よれよれのレンコート姿で登場する

ピーターフォークの吹き替えの

声優、小池朝雄が「ウチのカミさんが…」の

アテレコは実にピッタリした台詞でした。

翻訳の額田やえ子氏の名訳でした。






テレビ局内「映画部」での吹き替えの

仕事(アテレコ)は、外部のプロダクションに

移っていきます.

                   … … …

最初は,テレビ映画の画面の音を全部作っていました.

間もなく、マイナス・ワンといって、

映画の効果音、ブリッジの音楽など全部入っていて、

ただ俳優の台詞だけ入っていない

テープが来るようになりました。

俳優の台詞だけを外したという意味で

マイナス・ワンと言うのでしょう.

SOF(ソフ=サウンド・オブ・フィルム)とも

呼ばれていました.

このテープを普通に再生すれば,

アメリカの台詞入りの音声になり,

台詞のトラックを再生しなければ,

マイナス・ワンになります.

台詞のトラックを日本語の台詞のトラックに

差し替えるだけで、

日本語吹き替えのテレビ映画が出来ました。




やがて、テレビでアメリカのテレビ映画が

花盛りとなります.

テレビ映画の俳優さんと,

その吹き替えの日本の声優さんに

人気が出ます.










名犬リンチンチン

2010年08月22日 19時35分36秒 | Weblog



テレビ局には、アメリカテレビ映画を

日本語に吹き替え作業を担当する映画部という

セクションがありました。

吹き替え録音用にテレビ局内のスタジオの

スケジュール調整をしておさえます.

小さな第4スタジオがいつものスタジオでした.

声優さんに仕事の発注。

音響効果団と連絡・発注などをします.

映画部の敏腕ブロデューサー女史は

あだ名を「リンチン」と呼ばれていました.

彼女がテレビ映画の俳優の

台詞も翻訳していたようです。

テレビ映画の名作の大ヒット作品。

「名犬リンチンチン」を担当していたので

そのあだ名がついたのでしょう.

ストリーリーは西部の砦に駐屯する騎兵隊で、


リップ中尉に育てられる孤児の少年と、

その愛犬リンチンチンの活躍を描く西部劇。

少年と愛犬が活躍する子供向きの西部劇でした。

テレビ映画の最初のころは,映画画面以外の、

音声関係は全部手作りでした





テレビ映画「秘密指令」の吹き替えスタジオでは,

16ミリのプロジェクターがテレビ映画を

スタジオ内のスクリーンに投射しています.

自動車の走るシーンでは,まず、

自動車のドアを閉める音は

効果団がスタジオに持ち込んだ,冷蔵庫のドアを

「ダン…」と閉めます.

ドアの閉まった自動車が白い排気ガスを吐いて走り出します.

その効果音は,レコードかテープレコーダーから出していました.





伴奏音楽(ブリッジ)は、斉藤××氏が、

スタジオに持ち込んだハモンドオルガンで

演奏していました.

ラジオの放送劇団の声優さんが、

画面の俳優の動きにそっくり合わせて,

台詞を読み上げています。

                    … … …

私は,仕事がないときは,よく,テレビ映画吹き替えの

スタジオに遊びに出かけていました

たのしい雰囲気と仕事ぶりが面白いからでした。