録画ドラマで撮り直し

ビデオレコーダーは映像信号を

磁気録画するのですから

録画したテープを巻き戻せば

すぐ再生することができます

ラジオで活躍する音声テープも

すぐ再生出来ます

…　…　…

テレビドラマに出演する

映画俳優さんにとつて新しい

体験でした…

あるテレビドラマにテレビ界の

ベテラン女優さんと映画出身の

これもベテラン女優さんが

共演する作品がありました






このテレビ界の女優さんと映画界の

女優さんの火の出るような場面の

リハーサルがありました

私は横でスゴいなあと

見ていました…

いよいよビデオ録画本番になりました

本番でテレビ界の女優さんは

演技の間の取り方を意識的にか？少し変えました

結果、相手役の映画界の女優さんは

演技に隙がでたのでした…

…　…　…

本番終了後、さっそく「プレビュー」します

ディレクターは「プレビューＯＫです…」と

トークバックで云うのですが

演技にぐらついた？映画界の女優さんは

「もう一度、撮り直してくれ…」と

ディレクターに頼んでいました

録画テレビドラマの「プレビュー」

テレビドラマに出演される映画俳優さんの

録画本番でカチンコを使ってくれという

注文は、東京のキー局でもあったようです

結局、どのテレビ局でもカチンコに

戸惑ったようでした…






テレビドラマの制作は、その場面(シーン)を

数台のテレビカメラで俳優さんを撮りながら

数台のテレビカメラの映像を

映像スイッチャーはリハーサル通り切り替えて

いきます。

場面を撮り終えるとＯＫです…




スタジオサブのディレクターは

「シーン××はＯＫです…」と

トークバックでスタジオ内に告げます

つぎは、録り終わった録画シーンのプレビューです

ディレクターの「プレビューをおこないます 」で

スタジオ内、数台の大きなテレビモニターに録り終わった

ばかりの録画シーンが映し出されます

…　…　…

テレビドラマ、初出演の映画俳優さんは

ここで、「オー…！」と感激します

映画スタジオでは撮り終わった本番は

数日後の「ラッシュプリント」上映まで

見ることができないからです

テレビドラマとカチンコ

テレビドラマに初出演の

映画俳優さんが、録画ドラマ本番で

何とかカチンコを使ってもらえないか

といわれたので、兎に角

テレビの小道具係さんがどこかから

映画のカチンコを探してきました

添付写真はカチンコです





カチンコにはシーンナンバー(場面番号)や

カットナンバーを白墨で描きます

本番でカメラ前に差し出しで

カメラスタートともに「カチン…」と

音を鳴らして引っ込めます

映画撮影は、場面を撮影するカメラと

場面の音声を録音する音声テープか

フィルム録音機との同期をとらなくては

なりません

映画制作の編集の段階ではこの

カチンコの映像がどうしても必要なのです






録画テレビ番組は、録画するビデオテープに

映像トラックと音声トラックがありますから

カチンコは最初から必要がありません

テレビスタジオの若いＡＤさんには

カチンコは始めてで珍しく

使い方も知りません…

結局、その映画俳優さんは本番頭で

せめて音だけでも聞かせてくれないかに

なりました…






本番でＡＤさんは

「用意…５秒前、４、３、２…」と叫んで

カチンコを手許で「カチン…！」と打ちました

そして、いろいろ試行錯誤しましたが

どうもカチンコはテレビドラマに馴染みません

その映画俳優さんに「５、４、３、２…」の

テレビスタイルに馴染んで貰いました

テレビドラマ録画録りでもカチンコを

テレビドラマがビデオテープレコーダーで

録画するようになって

部分撮りになりました…

ワンカット撮りに慣れた映画俳優さんも

テレビドラマに出演されるように

なりました…





映画俳優さんにとって

１番戸惑ったのは本番撮りの

切っ掛けでした…

…　…　…

映画撮影では、監督さんの

「本番いきます用意ハイ…」の号令で

俳優さんの前に助監督(または録音部さん)が

手に持ったカチンコが出されます。そして

「カチン…！」と打ち鳴らします

俳優さんはカチンコの音を聞いて

一拍おいて演技を始めます




テレビドラマの録画撮りでは

サブのディレクターがスタジオのスピーカーを

通して「本番いきます…」と叫びます

その声を聞いてスタジオ内のＡＤさんは

「本番いきます…１０秒前」

「５秒前…４、３、２…！」と叫んで

手をサーッと振ります

それが録画本番の切っ掛けでテレビドラマの

ビデオ撮りが始まります…

…　…　…

映画のカチンコの「カチン…」でスタートする

方法と、

テレビドラマの「本番５秒前…４、３、２」の

方法があまりにも違いすぎるので

初めてテレビドラマに出演される映画俳優さんは

すっかり戸惑ってしまい

なんとかテレビドラマでもカチンコを使って

貰えないかと云いだしました

テレビドラマに映画俳優さんが

テレビドラマは最初は生放送でした

ドラマには劇団の俳優さん

ラジオ局の声優さんが出演されていました

映画俳優さんは映画の五社協定の壁で

出演できません

…　…　…

もっとも、テレビドラマは放送時間

いっぱいを連続した演技で制作します

映画制作は演技をぶつ切りにして撮影します

そして編集で連続した演技に組み立てます

映画俳優さんは、テレビ生ドラマに

不向きだったかも知れません




テレビ生ドラマもビデオテープレコーダーの

出現とテープを切断することなく「電子編集」

の出現で、テレビドラマもシーン毎に

分割して演技を録画するようになりました

映画俳優さんも、テレビドラマに出演されるように

なりました…

田村高廣さん、小林桂樹さん、宇津井健さん

勝新太郎さん、中村玉緒さん、有馬稲子さん…

テレビ局のドラマに出演されるように

なりました…

テレビドラマに「電子編集」が登場

ビデオテープの編集で

高価なビデオテープを切断すること

なく、「電子編集」という方法が

現れました

いままでの、テープの切り編は

なくなりました。

もう、編成局長の許可を得ないで、自由に

テープの編集ができるようになりました




出演の俳優さんのスケジュールに従って

また、セットの都合、俳優さんの衣装替え

などを考えて自由に、ビデオ撮りができるように

なりました

ワンカットずつ撮影していく映画制作に近づいた

ことになりました

もっとも、テレビドラマの場合は３台から４台の

テレビカメラで、ワンシーンから数シーンを

まとめて撮れるようになりました…

…　…　…

テレビドラマの制作が分割撮りの方法が

とられるようになって、映画俳優さんが

出演されるようになりました…

ビデオテープの切り編から「電子編集」へ

録画したビデオテープもラジオ番組で

使用する音声テープのように

切断して編集出来るようになりました




しかし、安価な音声テープと違って

ビデオテープは非常に高価だったので

番組のためとはいえ簡単に切り編(きりへん)

できませんでした。

なにか特別なイベントの録画番組か

毎年秋の芸術祭参加の録画ドラマ番組

でなければ編集、つまりテープを切断する

切り編の許可が下りませんでした





普通の録画番組で、どうしても切り編

するときは、編成局長の許可が必要でした

新しく、ビデオテープの編集で

テープを切断することなく

ダビングで編集できる「電子編集」という

新しい方法が誕生しました

ビデオテープの編集が

ビデオテープは、番組をノンストップで

録画するだけということで始まりました

一方、ラジオで活躍している

音声のテープレコーダーでは

録音したテープの不用の部分を

ハサミで切断してスプライシングテープで

貼り合わせて使用していました。





ビデオテープレコーダーで録画した

映像テープを、ラジオの音声テープのように

不用な部分を切断して編集できる方法が

見つかりました

録画したビデオテープは磁気録画ですから

そのテープに特殊な液を塗ると映像信号と

同期信号のパターンが浮かび上がってきます

そして同期信号の切れ目に定規を当てて

安全剃刀の刃でテープを切断して

スプライシングテープでつなぐことで

映像が乱れることなくビデオテープの

編集ができるようになりました。

テレビドラマは録画テープに

テレビドラマが生番組から

ビデオレコーダーに録画して

放送する録画ドラマが主流に

なってきました






テレビ放送の先輩でもある

ラジオ放送では

テープレコーダー(音声の)が大活躍で

ラジオ公開録音番組がよく

つくられていました

…　…　…

ラジオ公開番組では

放送時間より少し長めに収録した

音声テープを編集で

放送時間に収まるように不用な

部分をハサミで切断して

長さを調節していました




テレビドラマもビデオレコーダーで

録画しますが

テレビドラマのビデオテープには

映像信号に加えて同期信号も

録画されますので、音声テープのように

不要な部分をハサミで切断することは

できません

録画番組が増えたために

テレビドラマに限らず

ビデオレコーダーに録画する

録画番組が徐々に増えてきました

出演する俳優さん、コメンテーターの

スケジュール調整などで、放送日時に

縛られることなく番組を録画で

制作できるようになりました






録画ドラマ、録画番組は放送時間に

縛られることなく番組制作ができるので

録画開始時間が自由に選べるようになりました

生放送番組では放送時間が過ぎれば

番組も終わりました。

仕事が終わる時間は正確に予測できます

しかし、録画番組は何時終わるかハッキリ

わかりません…どうしても残業になる

傾向にありました


…　…　…

テレビ局の上層部は、高価なビデオレコーダーを

導入したら、どうして局員の残業が増えるのかと

悩んでいました…