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安全保障関連法案閣議決定

2015-05-16 12:52:20 | ②一市民運動
安倍内閣は14日、自衛隊の海外活動を広げ、武力行使にも道を開く
新たな安全保障関連法案を閣議決定した。15日には11法案を国会に提出した。
14日に行った安倍首相の記者会見を聞いていると、私には姑息(その場のがれ)と
思われる発言が目立った。また重箱の隅をほじくるような、言葉の微妙な違いの
巧みな使い分けが気になった。
気になる事柄を5つピックアップします。

(1)米国の戦争に巻き込まれると不安をお持ちの方に申し上げる。絶対にありえない。
   日本が武力を行使するのは、日本国民を守るためだ。

日本国民を守るための武力行使は、今ある個別的自衛権に保障されています。
集団的自衛権を持ち出したのは、日本が直接攻撃されていなくとも、
日本と密接な関係にある他国が武力攻撃され、
「日本の存立が脅かされ、国民の権利が根底から覆される明白な危険がある」と
【政府が判断すれば】海外での武力行使ができるようするためではなかったのか。
【武力攻撃事態法改正案】

(2)自衛隊がかつての湾岸戦争やイラク戦争での戦闘に参加するようなことは
   今後とも決してない。
   PKO協力法制定時も、「戦争にまきこまれる」との批判が噴出した。
   しかし、まったく的外れだったことは歴史が証明している。

「日米防衛協力のための指針」(ガイドライン)に、日本が集団的自衛権を使うことを
盛り込み、米軍への後方支援の地理的制限もなくした。
また、自衛隊の米軍への協力を地球規模に拡大する
内容で、自衛隊のあり方が根本から変わる。このことと、自衛隊が湾岸戦争や
イラク戦争での戦闘に参加することは今後ともないと言うこととは、
整合性がないのではないか。

また、2014年7月6日の私のブログ「集団的自衛権 閣議決定への疑問 
『報道特集』」に、次のように引用しました。
「イラク戦争に自衛隊を派遣する際、人道支援だけと報道されていましたが、
 実際は武装したアメリカ兵を毎日、前線まで飛行機で輸送していた。
 また派遣するのは非武装地域のみと報道されていましたが、アメリカの要請で
 これも解除された。」(引用ここまで)

また、2014年4月17日の私のブログ「PTSD( 心的外傷後ストレス障害 ) 」に、
「クローズアップ現代」(2014年4月16日放送)の番組内容を引用しています。
再度、その内容を載せます。
       ↓
http://www.nhk.or.jp/gendai/articles/3485/1.html

「死傷者は出なかったものの、自衛隊の車両が攻撃を受けたという事実、
 そして自衛隊幹部が語った 「 いざという時のために棺まで用意した 」 という
 言葉に衝撃を受ける。
 また、以前、イラクに派遣された自衛隊上官のインタビューを読んだことがある。
 サマーワで死者が出なかったのは奇跡に近いという話だった。」(引用ここまで)

これでも「戦争にまきこまれる」という批判は、的外れだったと言えるのでしょうか。
アメリカに要請されればどんなことでも、日本は断れないのではないかという懸念を抱きます。

そして「補給などの後方支援」は戦闘行為ではない、とこれまでも言っていますが、
補給任務は戦闘行為です。2014年12月29日の私のブログ「後方支援は安全か」に
引用しました泥憲和さんの言葉を、再度、引用させて頂きます。

「泥憲和氏は『護憲派・泥の軍事政治戦略 安倍首相から「日本」を取り戻せ!!』の中で、
 集団的自衛権の危険性を、ご自分の体験から論理的に分りやすく、何度も述べている。
 泥氏は自衛隊の「ホーク地対空ミサイル部隊」に所属していた方だ。
 この本を読むと安倍首相が、いかに現実の戦争や、集団的自衛権の本質を知らないかが解る。

 集団的自衛権で危険にさらされる
 安倍さんの空論
「安倍さんはいう。集団的自衛権を行使するにしても、自衛隊を直接的な
 戦闘行為に参加させることはないと。自衛隊を海外に派遣しても補給行為など
 後方支援に留めるし、『攻撃を受けたら撤退させる』と答弁している。
 その方針で「日本の安全が確保できるなら」「平和主義が崩れないのなら」
「自衛隊が危険な任務から免れてしかも外国の人を傷つけずにすむのなら、それでいい」と
 思っている人がいるかもしれないが、それは実に甘いと思う。
 安倍さんのいい分がどこまで信用できるものか、具体的に考えてみよう。

 まず、補給を止めれば前線部隊は戦えなくなるから、補給部隊を攻撃するのは
 作戦の常道であることを知ってほしい。
 さて、ここに二つの補給部隊がいる。攻撃すれば撤退するとわかっている自衛隊と、
 攻撃しても頑強に戦い続ける部隊である。あなたが武装勢力ならどうするだろう。
 攻撃すれば撤退する部隊を狙うのではないだろうか。私なら、そうする。
 つまり、いの一番に狙われるのは自衛隊である。自衛隊の視点に立てば、
 攻撃されて死ぬのを待つわけにはいかないので、当然反撃する。
 反撃したら戦闘行為である。
 補給任務だから戦闘行為ではないとか、攻撃されれば撤退するから戦闘にならないなど、
 机上の空論なのである。」(引用ここまで)

(3)PKO活動を自衛隊がしていて、近くの日本人NGO(非政府組織)から救出を要請
   された場合、救出できる。

この言葉も、ブックマークに入れた「マガジン9 この人に聞きたい 中村哲氏」を
ご覧になれば、現実とかけ離れていることが解ると思います。
医師の中村さんは「ペシャワール会」の代表として、パキスタン、アフガニスタンで、
さまざまな活動に携わっておられます。  
中村氏の言葉を引用させて頂きます。

「僕は憲法9条なんて、特に意識したことはなかった。でもね、向こうに行って、
 9条がバックボーンとして僕らの活動を支えていてくれる、これが我々を
 守ってきてくれたんだな、という実感がありますよ。体で感じた想いですよ。
  武器など絶対に使用しないで、平和を具現化する。
 それが具体的な形として存在しているのが日本という国の平和憲法、9条ですよ。それを、
 現地の人たちも分かってくれているんです。だから、政府側も反政府側も、タリバンだって
 我々には手を出さない。むしろ、守ってくれているんです。
 9条があるから、海外ではこれまで絶対に銃を撃たなかった日本。それが、
 ほんとうの日本の強味なんですよ。

 具体的に、リアルに、何よりも物理的に、僕らを守ってくれているものを、
 なんで手放す必要が
 あるんでしょうか。危険だと言われる地域で活動していると、
 その9条のありがたさをつくづく感じるんです。
 日本は、その9条にのっとった行動をしてきた。だから、アフガンでも中東でも、
 いまでも親近感を持たれている。これを外交の基礎にするべきだと、僕は強く思います。」
 (引用ここまで)
救出などいいから、今のこの状況を変えないでくれというのが切実な思い
なのではないでしょうか。

※限度数の関係で、ブックマークに入れました「マガジン9 この人に聞きたい 中村哲氏」を
 削除させて頂きました。下のURLをコピペし、Googleで検索して頂ければ一番上に出ます。

http://www.magazine9.jp/interv/tetsu/tetsu.php">http://www.magazine9.jp/interv/tetsu/tetsu.php

(2015年8月25日 記)

(4)今までも自衛隊は危険な任務を担っており、発足以来1800人が殉職した。
   殉職者が全く出ない状況を実現したいし、一人でも少ない方がいいが、災害においても
   危険が伴う。隊員の安全確保は当然で、リスク軽減は今後も変わらない。

少し前まで安倍首相は、「1人の自衛隊員も犠牲になることはありません」と言っていました。
ところがここに来て、1800人が殉職されたことを持ち出すようになりました。
自衛隊員はその覚悟で入隊したのだからと。
現在の自衛隊員が入隊する時には、集団的自衛権の行使についての説明はもちろん無かった。
これは契約違反になりませんか。
それと1800人は殺害されたのではなく、事故で犠牲になったのではないでしょうか。
事故と戦闘に巻き込まれて亡くなるのとでは、任務の中身が全く違います。
これまでは、戦闘で亡くなった自衛隊員はいないのです。

しかし余り報道はされませんでしたが、次の事実があります。
上に引用したブログ「PTSD( 心的外傷後ストレス障害 ) 」の内容を、再度、載せます。

「イラク戦争に派遣された1万人の自衛隊員のうち、帰国後にPTSDにより
 自死した隊員が、28名にのぼる。
 イラクでの任務中も、1~3割の隊員が心身の不調を訴えていた。」(引用ここまで)

(5)日米同盟にすきがあると思われると、攻撃を受ける危険性は増す。法整備で、
   紛争に巻き込まれたり、日本が攻撃を受けたり、日本人の命が危うくなったりする
   リスクは減少する。

本当にそうでしょうか。力が落ちてきたアメリカにとって日本からの申し出は、渡りに船
だったのではないでしょうか。安倍首相のアメリカでの異例の歓待ぶりを見れば、
それが分ります。日本がこれだけするのだから、いざという時はアメリカも・・・と
期待するのはどうなのでしょう。
2015年5月15日朝日新聞の「耕論」に、植木千可子さんが次のように語っています。

「北東アジアではいまだに古典的な形の戦争、つまり国家対国家の戦争を
 イメージしていますが、世界全体では対テロや感染症、温暖化といった
 国際安全保障の責任をどうとるかが課題です。
 日本政府は『積極的平和主義』という今風の言葉を使っていますが、一昔前の問題が
 関心の中心のようです。
 新たな安保法制によって日米同盟は強化されるのでしょうか。米国の求めに
 応じやすくすることで、より守ってくれるようになる、という考えだと思います。
 でも同盟相手に【「ツケ」はききません。】
 これをやったから次はよろしくというのは期待できない。米国はそのつど判断します。
 むしろ米国に対して日本が「出来ない」と答えると、これまで以上に米国は失望し、
 同盟が一致していないと見せるリスクがあります。

 日本が安全保障面で新しい一歩を踏み出すのなら、さきの戦争を自分たちで総括することが
 必要です。当時の日本社会のどの仕組みが機能しなかった結果、あの戦争が拡大し、多くの
 命が奪われたのか。誰がではなく、どういう制度があったら、あそこまでひどくならなかった
 のかを知り、今後に生かすためです。」(引用ここまで)

日本がこれだけしたのだから、いざという時にアメリカは全面的に守ってくれるはずだ、
とは限りません。あくまでもアメリカは、その時のアメリカの現状と世論を
最優先するでしょう。

広辞苑によると、「戦争とは武力による国家間の闘争」とあります。
「紛争とはもつれてあらそうこと。たとえば国際間の紛争」とあります。
これからは国家対国家の戦争より、国際間の紛争の方が多くなるのではないでしょうか。
たとえば、「イスラム国」は正式な国家ではありません。この場合に「テロとの戦い」とは
言っていますが、「戦争」と言うのでしょうか。

安倍首相は、「米国の戦争に巻き込まれるのではないか、はっきり申し上げます。
絶対にありえません」と断言しています。
私の杞憂だとは思いますが、何か起きた場合には、次のような発言は考えられないでしょうか。
「私は米国の戦争と言ったまでで、米国が主導する国際間の紛争解決のための後方支援で、
 巻き込まれることがないと言った覚えはありません。」
安倍首相には優秀なブレーンがいるようで、めくらましのように言葉を駆使します。
そのために私が神経質になっているのかもしれません。
取り越し苦労であることを祈っています。

それにしても安倍首相は、いとも簡単に物事を断定し、都合が悪くなると
覆(くつがえ)してしまう。
今の私の気持ちを代弁してくれる川柳が、2015年5月16日の
「朝日川柳」に載っていました。
「お見事!」と手をたたいてしまいました。引用させて頂きます。

 信じないアンダーコントロールから    武井和絵さん

追記1
今朝の「サンデーモーニング」に出演されたフォト・ジャーナリストの安田菜津紀さんが、
次のように言っていました。

「無関心が人の命を奪うこともある」、と。

心に深く刻みました。
(2015年5月17日 記)

追記2
2015年5月27日の衆院の特別委員会で、新たに自衛隊員の自死が明らかになった。
これは志位和夫氏の質問に、防衛省の真部人事教育局長が答えたもの。

2003年~2009年にイラクに派遣された自衛隊員は約9310人。
そのうち自死した隊員は29人。

2001年~2007年にテロ特別措置法にもとづく、インド洋での給油活動に派遣された
海空の自衛隊員はのべ約1万3800人。
そのうち自死した隊員は25人。(※2015年6月5日、安倍政権は自死した隊員は
従来の公表数より2人増えて、27人とする答弁書を閣議決定した)
これまでのところ、54人の自衛隊員が自死している。(※56人になる)
志位氏は次のように指摘している。
「自衛隊員の戦死者が出ていないものの、犠牲者が出ていないわけではない」
(2015年5月28日 記)
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