年明け、1月2日の胡四王神社から始まった、今年の蘇民祭は岩手県南を中心に各地で行われ、3月17日(9:00~)大迫町の蘇民祭で 今シーズンは終了する。
裸の男衆が、激しくぶつかり合う、豪快な蘇民祭は和賀町の作家、菊池敬一氏の目にはこう映ります。
「北の魔性たち」から 早池峰蘇民祭 1
早池峰人は神様だ。
手ジメ口ジメ、シャンシャンすれば、死んでも生ぎでも文句はねぇ。
早池峰八劫(ごう)八億五十七年三月十七日。早池峰裾(すそ)の奥谷の、岳の谷間でシャンシャン鳴った。
イヨー
手ジメ口ジメ三拍子、何がおぎよとアトクサレねぇ。御神事(おんかみごと)どシメていただきますうべー。
シャンシャンの シャンとせ
オシャシャのシャンとせ
ヨイヨイ ヨイトせ
ヨイヨイの ヨイとせ
早池峰人は石だべがー。
ハガネの氷の上を、何十人も肉玉になってどどーと下った。石段の角ぁぶっつけて、鉈(なだ)の刃になって光ったぁー。
肉玉ぁ岳の沢さ突っ込んだ。赤い臀(けつ)ど白い腹ど黒い頭のうごめく肉の玉だぁー。
早池峰人はオロヂになった。手と足ど頭ど胴んづらぁ、固ぇとぐろのオロヂになって、早池峰川さ突んもぐった。
川の雪ぁびっくりして、ジョロリど崩れで堤になった。堤ぁ煮えたぎって湯気たでできたどき、オロジの上さ五色の虹ぁ燃えだ。
「イヨー。下の奴ぁ生きでらが死んでらがー」
「死んでも生きでもいねー。 蘇民袋ばぎっちら抱いでだー」
七日七晩ゴマ油で煮で煮づめ、エトの駒詰めだ蘇民袋ぁ神様の生ぎ肝だべが。
太陽の汗のかだまりだべが。月の涙の結晶だべが。 んにゃ、地球の芯(しん)コだべ。
以下、次回に続きます・・・・
⇒ 令和2年 3月17日に予定されていた早池峰神社蘇民祭は中止になりました。