YouTubeで公開された「ここにいる理由」のMVを見ましたが、なんでしょうこれは(笑)。
食事をする場面があっても全然良いけど、アンダー曲MV最大の楽しみであるダンスシーンがないんですが。
伊藤万理華をセンターにしておいて、ダンスシーンをMVに入れないなんて、ちょっと考えられない話です。
ただ、表題曲「夏のFree&Easy」でも感じたことですが、これは制作スタッフの問題ではなく、MVを作る時間が十分に確保出来なかったんじゃないでしょうか。
ひょっとすると、MVを撮影する時点で、まだ歌詞もメロディも出来ていなくて、取り敢えず映像だけを撮り、あとから曲を載せたようにすら思えます。
だとすれば、9枚目発売を急ぎ過ぎた運営トップの問題ということになります。
「ここにいる理由」のMV(YouTube)
クリックするとすぐに動画が始まります。音声などにご注意下さい
アレチの素敵な乃木坂業務連絡 24Jun14 ~ シングル収録全曲の簡易ハンドブック
いずれにせよ、9枚目シングルは、制作スケジュールがあまりにタイトなので、MVなどは大丈夫なのかと思っていたんですが、蓋を開けてみると、クオリティに疑問を感じる部分が多くて、心配していた通りの展開になってしまっています。
乃木坂は楽曲が良く、MVも作り込んでいる、というのが「46」の大きな魅力であったと思うんですが、シングルのクオリティを低下させてしまったら、本格的にファンが離れてしまいます。
私が、「組閣」や「総選挙」を通して、乃木坂がAKB48グループに巻き込まれていくことに大反対なのは、単にメンバーが兼任するだけでなく、「48」流のイベント主義が楽曲主義を駆逐して、作品のクオリティを考えない、無茶苦茶な制作スケジュールを現場に要求するようになるからです。
曲にせよ、MVにせよ、良いものを作るためには、それなりに時間が必要です。
もし、どんな内容のシングルであれ、結局は握手の魅力でどんどん売れるから、時間なんか要らないと運営が考えているのなら、乃木坂というグループに未来はないでしょう。
BABYMETALが魅力的なグループコンセプトと秀でたパフォーマンスで、ヨーロッパツアーを実現した上、レディー・ガガの全米ツアー公演に招かれるなど、世界の音楽シーンで大活躍しているのを見ていると、「柵越し握手」「お話し会」「作り込みの薄いMV」など、乃木坂の現状は、ファンとして残念に感じることが多く、溜め息が出てきます。
しかし、悪いことばかりではなく、未来へつながる可能性のある出来事もあります。
ということで、今日は、どうすれば乃木坂がヒットを飛ばせるのか、あれこれ考えてみます。
9枚目シングルは乃木坂史上初の「前倒し」発売、過酷な制作スケジュールとなる可能性 [06May14]
アンダーライブから全国ツアーへの流れは秀逸なスケジュール
まずは、アンダーライブ、大評判で本当に良かったですね。
研究生も自分たちだけでパフォーマンスするステージを貰ったようで、ようやくスタートラインに立つ感じが出てきました。
ライブの日程を、終わった土曜日曜を含めて書き出してみると、
六本木ブルーシアター
6月28日(土) 昼公演(開演12:00)、夜公演(開演17:00)
6月29日(日) 昼公演(開演12:00)、夜公演(開演17:00)
7月11日(金) 夜公演(開演18:00)
7月12日(土) 昼公演(開演12:00)、夜公演(開演17:00)
渋谷AiiAシアター
7月25日(金) 夜公演(開演18:00)
7月26日(土) 昼公演(開演12:00)、夜公演(開演17:00)
と、2週間おきの週末ライブが10公演あります。
また、アンダーライブの終了後、3週間ほどしか間を空けず、今度は「真夏の全国ツアー2014」の9公演が以下のように始まります。
大阪市中央体育館
8月16日(土) 昼公演(開演11:00)、夜公演(開演17:30)
福岡国際センター
8月21日(木) 昼公演(開演11:30)、夜公演(開演18:00)
仙台ゼビオアリーナ
8月24日(日) 昼公演(開演11:00)、夜公演(開演17:30)
日本ガイシホール (愛知)
8月26日(火) 昼公演(開演11:30)、夜公演(開演18:00)
明治神宮野球場 (東京)
8月30日(土) 夜公演(開演17:00)
アンダーメンバーとおそらく研究生は、8月終わりまでに全部で19公演をこなすことになり、レッスンとライブを繰り返して、相当なスキルアップと経験を積むことになるでしょう。
私は、こういう連続ライブによって、乃木坂のパフォーマンスを鍛え上げることをずっと期待していたので、スケジュールを書いているだけで、嬉しくてしょうがないです(笑)。
出演したメンバーも大きなやりがいを感じているようで、中元日芽香はブログに、
私にとってアンダーライブは
特別かわいい、
特別愛おしい存在です(*^ω^*)
と綴っていて、さらに
ああー私、
歌うの好きだわって
改めて感じた2日間でした☆
また、中田花奈は、
アイドルはパフォーマンスしてなんぼでしょ!まじで!
ふはは
うん、本当に楽しかった(*°-°*)
とストレートに喜びを表しています。
「アイドルはパフォーマンスしてなんぼでしょ!まじで!」の部分は、中田さんにしては珍しい、大文字色付きだったりします(笑)。
中元日芽香の2014/06/30_00:30ブログ
中田花奈の2014/06/29_23:24ブログ
やはりメンバーも、ステージに立ってライブをやりかたったんだなと、つくづく感じます。
まあ、そのために乃木坂に入ったわけで、握手がしたくてアイドルになった人はいないので、当たり前なんですが、メンバーが心を躍らせている様子を見ていると、彼女たちはみんなに向かって、歌やダンスを披露することが大好きなんだなあと、こちらまでワクワクした気分になってきます。
本格的ヒットが出ない乃木坂
上に挙げた10公演に及ぶアンダーライブと、その後の全国ツアー9公演を見ていると、そこに一つの意図があるような気がしてきます。
これだけ多くのステージをこなせば、歌とダンスが間違いなくレベルアップする上に、研究生の中から、新たに頭角を現すメンバーを期待出来ます。
また、現在のアンダーには、しなやかなダンスと豊かな表情で抜群のオーラを放つ伊藤万理華、乃木坂No.1の歌唱力とダンスの川村真洋、魅力的な歌声を持つ中元日芽香など、パフォーマンスの若き実力派が揃っている。
パフォーマンス選抜を組むとすれば、確実に中核となるメンバーで、彼女たちが重点的にライブ経験を積むことは、乃木坂全体にとって大きな意味を持っています。
とくに伊藤万理華は9枚目でも選抜入りせず、連続でアンダーとなり、しかもアンダーライブが8枚目から始まり、その中心に常にまりっかがいることを考えると、運営は意図的に彼女をアンダーに据え置いて、パフォーマンス力を向上させようとしている気がします。
というのも、伊藤万理華の実力からすれば、9枚目で選抜に選ばれない方が不思議だけど、かりに3列目に入っても出番は少ないので、アンダーセンターとして、より多くライブに出た方が、遥かにスキルアップ出来るのは確かです。
そうなると、アンダーライブは、そもそも伊藤万理華を鍛えることを念頭に考案されたのではないかとすら思いたくなります(笑)。
しかし、単なる冗談だとも言い切れない事情が、今の乃木坂にはあります。
その事情とは、2012年早春のCDデビューから3年目、乃木坂46には未だに本格的なヒット曲がないことです。
振り返ってみると、デビューシングルから生駒里奈のセンターが続く中、4枚目表題曲「制服のマネキン」がBase Ball Bear の小出祐介氏に賞賛され、ベッキーがこの曲について発言するなど、2012年末、乃木坂は、明らかに一般アピール力を持った音楽を生み出しました。
そして、2013年春の5枚目表題曲「君の名は希望」は、著名な音楽プロデューサーである故佐久間正英氏が評価して、親戚である生田絵梨花によるピアノ弾き歌いのプロデュースが実現、その様子が、昨年末、佐久間氏の業績を紹介するNHKの特集番組で流されることになります。
また、AKB48の紅白歌合戦では、渡辺麻友が、自身の強い要望で、生田絵梨花のピアノ伴奏とバックコーラスで「君の名は希望」をソロで歌い、審査員やファンから高い評価を受けました。
こうして、4枚目、5枚目と、J-popの音楽シーンで注目を集めた乃木坂は、いよいよ本格的なヒットを期待されます。
しかし、6枚目「ガールズルール」以降、オリコンの数字は右肩上がりを続けるものの、「制服のマネキン」「君の名は希望」を越えるほど話題となる曲を出せずに、現在、9枚目「夏のFree&Easy」まで来ています。
実際、歴代シングル収録曲の中で、YouTube公開MVの再生回数は「制服のマネキン」が断然のトップで、それを抜く曲は、今のところ現れる気配がありません。
「制服のマネキン」700万回突破!乃木坂MV再生回数ランキングと9枚目表題曲公開スケジュール [22May14]
ヒットに必要な「自分の歌」
5枚目までフロントを担ってきた生田絵梨花、生駒里奈、星野みなみが6枚目で後列に下げられ、このシングルで初めて、個別握手会の成績トップ3である松村沙友理、白石麻衣、橋本奈々未が1列目を担当します。
そして、握手会での売り上げが高い人を、選抜でより前に抜擢するやり方が、7枚目、8枚目、9枚目と徹底されたため、握手会人気のある年長メンバーが1列目、2列目のほとんどを占めることになり、乃木坂は、生駒里奈が不動のセンターだった時代のあと、「握手会主義年長型選抜」の時代に突入、それが1年以上続いています。
そして、4枚目、5枚目で音楽グループとして注目されたにも関わらず、6枚目以降、本格的なヒットが出てこないのは、この「年長型選抜」に原因があると思います。
というのは、20歳以上のメンバーが、自分のことを歌っていると思えるような、大人用の「アイドル」ソングが少ないからです。
6枚目表題曲「ガールズルール」は、高校三年生の女の子たちが、卒業して就職したり大学に進んだり、それぞれが大人への階段を上っていく前に、思い出作りのため、みんなで海に遊びに行くという内容の歌です。
いわば子ども時代最後の楽しいイベントであって、そのため、ダンスも、乃木坂の曲の中で、とりわけ可愛い部類に入るような振り付けになっています。
ところが、6th選抜フロントの三人は、6枚目発売時点でいずれも20歳で、白石と松村は翌月21歳になる年齢でした。
当然、「子ども時代の最後」というよりは、高校を卒業してかなり時間が経ち、芸能界で日々奮闘する「大人時代の始め」にいて、「ガールズルール」を「自分の歌」と捉えることは難しかったと思います。
歌い手が「自分の歌」をうたっているときは、歌に勢いが出て、聴く人の心を動かす可能性が高くなります。
1985年に発売された「セーラー服を脱がさないで」は、「おニャン子クラブ」が最初に出した曲ですが、メンバーのほとんどが女子高校生だったからこそ、歌詞にも登場するその言葉にインパクトがあって注目を集めたわけで、歌い手の年齢がもっと上であれば「もう着てないじゃん」ということで(笑)、歌そのものが成り立ちません。
「セーラー服を脱がさないで」が楽曲として優れているかどうかはともかく、少なくとも、歌と歌い手のイメージが一致していたことが、強みになったのは間違いない。
とくにアイドルの場合、歌やダンスのスキルが十分でないことが多いので、「自分の歌」をうたうことがヒットを飛ばすために、非常に重要なポイントになってくると思います。
ちなみに、「セーラー服を脱がさないで」の作詞は秋元康氏で、当時「おニャン子クラブ」の初期メンバーだった方が、今の奥様ですね。
「個」を発揮するソロが相応しい成人メンバー
つまり、「ガールズルール」が高校生の歌であるなら、高校生が歌うのが一番ということです。
では、年長メンバーに合った歌を作ればいいじゃないか、という話になりますが、実は、これが簡単ではない。
高校卒業から20代前半は、専門教育、就職、恋愛、結婚など、他人とは違う「個」を確立しようともがく時期で、直面する問題も、人によってそれぞれ違ってきます。
高校時代までであれば、家庭の事情は様々でも、同じ制服を着て、同じ教室で、同じ授業を受け、同じ学校行事に参加し、同じようなクラブ活動を行うという同一性が確かに存在して、経験する悩みや感動にも共通項がある。
そのため、メンバーが高校生以下のアイドルグループであれば、「セーラー服を脱がさないで」と同じように、ほぼ全員のイメージに合うような曲を、比較的容易に作ることが出来ます。
学校生活という「括り」があるので、テーマが絞りやすく、シチュエーションも「学校の図書室」「校庭のグラウンド」「部活の合宿」など設定しやすいわけです。
一方、「個」の確立期にいる年長メンバーが選抜のほとんどを占めるとなると、共通項が乏しく、全員のイメージに合う曲は、なかなか書くのが難しい。
例えば、「私がオバさんになっても」(1992)は、心に決めた相手のいる20代の女性が、将来、自分が年をとったとき、彼は今と同じように自分を愛してくれるだろうかという、ちょっと現実的でちょっと切ない女心を、当時23歳の森高千里がうたったヒット曲で、乃木坂の成人メンバーが歌っても違和感はないと思います。
しかし、こういう結婚や家庭生活といった「個」の確立に絡むテーマや心情は、ソロで歌うから良いのであって、多人数で制服を着て歌うとなると、何かしっくりこないものがある。
つまり、「個」としての存在がとくに重要視され始める成人メンバーが、ソロではなく、グループで歌うという設定そのものに無理があって、適切な楽曲と巡り会うことを難しくしていると思います。
乃木坂はよく「私立の女子校」に喩えられますが、全員が同じ制服を身につけて、一つの歌をうたうのは、高校生活の空気感を「再現」している意味合いが強く、グループは学園生活の比喩的表現、一種のメタファーになっています。
つまり、設定自体が、もともと高校生以下の年少メンバー向きなんですね。
そのため、提供される楽曲も登場人物が高校生くらいのイメージで作られているものが多く、高校生以下のメンバーか、せめて高校を出てまだ時間が経っていないメンバーを前面に出した選抜にしないと、どうしても歌と歌い手のイメージが乖離していきます。
年長メンバー中心の選抜だと、一人一人のイメージに合った曲を作ることは出来るけど、成長して「個」が強くなっている分、扱うテーマも様々で、グループ全員で歌うのにそぐわないケースが多い。
6枚目以降続いている「年長型選抜」は、多人数で歌ってぴったりフィットする楽曲をなかなか持てず、そのためヒットが出にくい状況に陥っているのだと思います。
8枚目「気づいたら片想い」初回限定盤TypeB収録の「孤独兄弟」は、白石麻衣と橋本奈々未の曲で、MVでも、二人が主役の物語が展開します。
運営は、乃木坂という学園生活のメタファーに埋没して、見えにくくなっている大人としての個性を、二人から引き出したいと考えたのかもしれません。
前田敦子が紡いだAKB48の「学園物語」
2008年に発売された「大声ダイヤモンド」は、AKB48が人気街道を驀進する最初の切っ掛けとなった曲で、センターであった前田敦子は当時17歳でした。
この後、2010年、彼女が18歳の終わりから19歳の始めに「ポニーテールとシュシュ」「ヘビーローテーション」が出て、AKB48は本格的なヒットを飛ばすことに成功、そして、20歳で卒業を宣言して、21歳になったばかりでグループを去っていきました。
前田敦子が高校生の年齢でAKB48がブレイク、20代に入ってほどなくグループを卒業したことには、意味があると思います。
AKB48こそ学園生活の「再現」を強く打ち出したグループで、「大声ダイヤモンド」MVは女子高の文化祭が舞台、「10年桜」(2009)は高校の卒業がテーマ、「ポニーテールとシュシュ」は、メンバーが高校のバスケット部に所属している設定になっていて、「対立」「友情」「結束」「別れ」といったテーマがそこで取り上げられています。
このようにAKB48のコンセプトには、学園生活のエッセンスが随所に散りばめられ、高校時代の持つパワフルでありながらどこか切ない雰囲気をメインイメージに据え、それを原動力に、国民的アイドルと呼ばれるまでに人気を上昇させた。
そして、学園イメージを中心となって担ってきたのが、不動のセンターだった前田敦子で、17歳から20歳までの時期、彼女が、数々の曲に、「自分の歌」としての生命を吹き込んでいった。
しかし、21歳になって前田敦子が卒業したとき、AKB48というグループも高校イメージを卒業することになり、大人になったAKB48には、ぴったりとフィットする曲が見つからず、グループコンセプトも定まらず、人気の低落時代に入ったのだと思います。
そんな中、32枚目表題曲「恋するフォーチュンクッキー」(2013/08/21)は、久しぶりのヒット、ロングヒットとなりました。
何となく色んなことが上手くいかなくて、しょっちゅう失敗や挫折はあるのだけど、案外、元気に楽しくやっている。
こういった歌の雰囲気や主人公を「地味な花」と表現しているあたり(笑)、この曲は、センターである指原莉乃をイメージして作られていて、AKB48の歌という以上に、さっしーにとっての「自分の歌」、あるいは「テーマ曲」であるようにすら感じます(笑)。
指原莉乃に対する秋元康氏の強い思い入れが、こういった曲を生んだのかもしれません。
ただ、指原莉乃の強烈な個性に依存しているためか、曲のヒットで、彼女の人気は上がったと思うけど、AKB48全体を浮上させる牽引車にはならなかったように見えます。
実際、その後にリリースされた33枚目「ハート・エレキ」、34枚目「鈴懸の木の道で(以下略)」、35枚目「前しか向かねえ」は、AKB48の総選挙サイクルに従って、これまで通りにCDセールスが続落、「恋するフォーチュンクッキー」を境にした低落傾向のストップといった現象は見られませんでした。
学園生活というコンセプトを離れて、誰かの「個」に特化した楽曲を作ると、その人物にとっては「自分の歌」であっても、全員にとっての「みんなの歌」にはならず、グループ全体の人気を上げるには至らないのかもしれません。
乃木坂の風 16Mar14 ~ AKB48の2103年度総選挙サイクル、高まる握手会依存と異変が起こった一般人気
乃木坂はどこに行くべきか
AKB48襲撃事件以降、握手会商法を巡る状況は厳しさを増していて、乃木坂を長く存続させるためにも、本当の意味での楽曲的成功、つまり本格的なヒットがぜひ欲しいところです。
個人的には、その切り札は、伊藤万理華だと考えています。
まりっかのダンスは、しなやかで美しいだけでなく、自身の内面が投影されているような高いオリジナリティを持っていて、見ていて釘付けになるほど魅力的です。
実際、5枚目「君の名は希望」に収録された個人PV「まりっか'17(セブンのティーン)」は、彼女のコミカルなダンスが煌めいた秀逸な作品で、YouTube公開の予告編が再生回数トップになるなど、大きな反響を呼びました。
また、8枚目「気づいたら片想い」初回限定盤TypeC収録のアンダー曲「生まれたままで」では、豊かな表情とチャーミングな動きで、傑出したMVを作り出すことに成功しています。
これほどの表現力と雰囲気を持った人は、そうはいないので、ヒットを呼び寄せるためにも、まずは伊藤万理華を乃木坂のセンターに据えるべきだと思います。
さらに、生田絵梨花、星野みなみ、川村真洋、中元日芽香、齋藤飛鳥といった歌あるいはダンスに秀でた年少メンバーを1列目、2列目に配して、パフォーマンス力をアップすると同時に、6枚目以降途絶えてしまった、乃木坂の「学園物語」を復活させる。
そうすれば、歌と歌い手のイメージ乖離を心配することなく、高校生が主人公の可愛い曲も正面からこなせて、多人数制服アイドルの強みを生かせます。
一方、20歳を越える年長メンバーは、AKB48の小嶋陽菜や篠田麻里子のように、ポジション的に少し下がった2列目3列目でチームを支えるか、あるいは、チーム制でもう一つグループを作るのがいいと思います。
「世界で一番 孤独なLover」が橋本奈々未のイメージにフィットしたり、「恋するフォーチュンクッキー」が指原莉乃のテーマソングだったように、誰かの個性と共鳴すれば、そこを突破口にして、大人メンバーによるグループソングを成立させることは可能じゃないでしょうか。
ただ、年長メンバーに関しては、音楽にしても、他の仕事にしても、「ソロ活動」に徐々に重点を移し、乃木坂メンバーという以上に、個人のタレントとして名前とイメージを広めていくべきだと思います。
前田敦子のように、多人数グループに長くいると、センターであっても「個」が埋没しやすく、将来卒業したときに、タレントとしての個人イメージを確立するのに苦労する場合があります。
グループにいるときから、「ソロ活動」を重視していれば、独立後も成功する確率が高くなるんじゃないでしょうか。
『乃木坂9枚目個別握手会は再び長期販売も、9th選抜は「連続応募」と「紅白」で短期の可能性 [10May14]』に書いたように、10枚目シングルの選抜発表は、8月前半にも行われる可能性があります。
6枚目から始まり、7枚目、8枚目、9枚目と続いた「握手会主義年長型選抜」が10枚目でも行われるのか、それとも、何か新しい発想で選考するのか。
10th選抜は、NHK紅白歌合戦が絡むチームでもあるので、その内容が気になるところです。
8枚目、9枚目で、かなりの分量のアンダーライブを組み、しかも伊藤万理華を連続でその中心に据えていることから、運営の中にも、乃木坂のパフォーマンスを向上させて、本格的にヒットを目指そうという考え方があるんじゃないでしょうか。
もともとアンダーに関しては、誰をセンターに抜擢するのか、どういうダンスにするのか、どういうMVにするのかなど、かなりセンスの良いスタッフが仕切っている節があって、8枚目からのアンダーライブも、そういった人たちの発案という気がします。
出来れば、本丸である選抜にも、歌やダンスを第一に考える姿勢が及んで、10枚目は、「握手会主義年長型選抜」から「パフォーマンス重視年少型選抜」に一歩でも移行して欲しい。
淡い期待ではありますが(笑)。
ただ、8枚目、9枚目と2作連続で乃木坂全体の握手会人気が落ち、ファンの総数が減っている可能性があって、そろそろ思い切った手を打たないと、本格的な人気低迷期に入ってしまう危険があって、最近の売り上げ状況を見ているとマジでヤバいです。
さらに、襲撃事件の影響はこれからも長く続き、握手会への依存度を下げざるを得ないことを考えると、実は、10枚目こそ、乃木坂大改変のチャンスだと思います。
チーム制にするのか、選抜大幅入れ替えか、方法は様々ですが、10枚目で、運営が握手会主義から楽曲主義へ、大胆な決断をすることを願っています。
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# 記事中の青字部分は、テレビ番組、公式サイト、書籍、歌の歌詞などに、掲載されたものを、そのまま抜粋引用したことを表しています
食事をする場面があっても全然良いけど、アンダー曲MV最大の楽しみであるダンスシーンがないんですが。
伊藤万理華をセンターにしておいて、ダンスシーンをMVに入れないなんて、ちょっと考えられない話です。
ただ、表題曲「夏のFree&Easy」でも感じたことですが、これは制作スタッフの問題ではなく、MVを作る時間が十分に確保出来なかったんじゃないでしょうか。
ひょっとすると、MVを撮影する時点で、まだ歌詞もメロディも出来ていなくて、取り敢えず映像だけを撮り、あとから曲を載せたようにすら思えます。
だとすれば、9枚目発売を急ぎ過ぎた運営トップの問題ということになります。
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アレチの素敵な乃木坂業務連絡 24Jun14 ~ シングル収録全曲の簡易ハンドブック
いずれにせよ、9枚目シングルは、制作スケジュールがあまりにタイトなので、MVなどは大丈夫なのかと思っていたんですが、蓋を開けてみると、クオリティに疑問を感じる部分が多くて、心配していた通りの展開になってしまっています。
乃木坂は楽曲が良く、MVも作り込んでいる、というのが「46」の大きな魅力であったと思うんですが、シングルのクオリティを低下させてしまったら、本格的にファンが離れてしまいます。
私が、「組閣」や「総選挙」を通して、乃木坂がAKB48グループに巻き込まれていくことに大反対なのは、単にメンバーが兼任するだけでなく、「48」流のイベント主義が楽曲主義を駆逐して、作品のクオリティを考えない、無茶苦茶な制作スケジュールを現場に要求するようになるからです。
曲にせよ、MVにせよ、良いものを作るためには、それなりに時間が必要です。
もし、どんな内容のシングルであれ、結局は握手の魅力でどんどん売れるから、時間なんか要らないと運営が考えているのなら、乃木坂というグループに未来はないでしょう。
BABYMETALが魅力的なグループコンセプトと秀でたパフォーマンスで、ヨーロッパツアーを実現した上、レディー・ガガの全米ツアー公演に招かれるなど、世界の音楽シーンで大活躍しているのを見ていると、「柵越し握手」「お話し会」「作り込みの薄いMV」など、乃木坂の現状は、ファンとして残念に感じることが多く、溜め息が出てきます。
しかし、悪いことばかりではなく、未来へつながる可能性のある出来事もあります。
ということで、今日は、どうすれば乃木坂がヒットを飛ばせるのか、あれこれ考えてみます。
9枚目シングルは乃木坂史上初の「前倒し」発売、過酷な制作スケジュールとなる可能性 [06May14]
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まずは、アンダーライブ、大評判で本当に良かったですね。
研究生も自分たちだけでパフォーマンスするステージを貰ったようで、ようやくスタートラインに立つ感じが出てきました。
ライブの日程を、終わった土曜日曜を含めて書き出してみると、
六本木ブルーシアター
6月28日(土) 昼公演(開演12:00)、夜公演(開演17:00)
6月29日(日) 昼公演(開演12:00)、夜公演(開演17:00)
7月11日(金) 夜公演(開演18:00)
7月12日(土) 昼公演(開演12:00)、夜公演(開演17:00)
渋谷AiiAシアター
7月25日(金) 夜公演(開演18:00)
7月26日(土) 昼公演(開演12:00)、夜公演(開演17:00)
と、2週間おきの週末ライブが10公演あります。
また、アンダーライブの終了後、3週間ほどしか間を空けず、今度は「真夏の全国ツアー2014」の9公演が以下のように始まります。
大阪市中央体育館
8月16日(土) 昼公演(開演11:00)、夜公演(開演17:30)
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8月26日(火) 昼公演(開演11:30)、夜公演(開演18:00)
明治神宮野球場 (東京)
8月30日(土) 夜公演(開演17:00)
アンダーメンバーとおそらく研究生は、8月終わりまでに全部で19公演をこなすことになり、レッスンとライブを繰り返して、相当なスキルアップと経験を積むことになるでしょう。
私は、こういう連続ライブによって、乃木坂のパフォーマンスを鍛え上げることをずっと期待していたので、スケジュールを書いているだけで、嬉しくてしょうがないです(笑)。
出演したメンバーも大きなやりがいを感じているようで、中元日芽香はブログに、
私にとってアンダーライブは
特別かわいい、
特別愛おしい存在です(*^ω^*)
と綴っていて、さらに
ああー私、
歌うの好きだわって
改めて感じた2日間でした☆
また、中田花奈は、
アイドルはパフォーマンスしてなんぼでしょ!まじで!
ふはは
うん、本当に楽しかった(*°-°*)
とストレートに喜びを表しています。
「アイドルはパフォーマンスしてなんぼでしょ!まじで!」の部分は、中田さんにしては珍しい、大文字色付きだったりします(笑)。
中元日芽香の2014/06/30_00:30ブログ
中田花奈の2014/06/29_23:24ブログ
やはりメンバーも、ステージに立ってライブをやりかたったんだなと、つくづく感じます。
まあ、そのために乃木坂に入ったわけで、握手がしたくてアイドルになった人はいないので、当たり前なんですが、メンバーが心を躍らせている様子を見ていると、彼女たちはみんなに向かって、歌やダンスを披露することが大好きなんだなあと、こちらまでワクワクした気分になってきます。
本格的ヒットが出ない乃木坂
上に挙げた10公演に及ぶアンダーライブと、その後の全国ツアー9公演を見ていると、そこに一つの意図があるような気がしてきます。
これだけ多くのステージをこなせば、歌とダンスが間違いなくレベルアップする上に、研究生の中から、新たに頭角を現すメンバーを期待出来ます。
また、現在のアンダーには、しなやかなダンスと豊かな表情で抜群のオーラを放つ伊藤万理華、乃木坂No.1の歌唱力とダンスの川村真洋、魅力的な歌声を持つ中元日芽香など、パフォーマンスの若き実力派が揃っている。
パフォーマンス選抜を組むとすれば、確実に中核となるメンバーで、彼女たちが重点的にライブ経験を積むことは、乃木坂全体にとって大きな意味を持っています。
とくに伊藤万理華は9枚目でも選抜入りせず、連続でアンダーとなり、しかもアンダーライブが8枚目から始まり、その中心に常にまりっかがいることを考えると、運営は意図的に彼女をアンダーに据え置いて、パフォーマンス力を向上させようとしている気がします。
というのも、伊藤万理華の実力からすれば、9枚目で選抜に選ばれない方が不思議だけど、かりに3列目に入っても出番は少ないので、アンダーセンターとして、より多くライブに出た方が、遥かにスキルアップ出来るのは確かです。
そうなると、アンダーライブは、そもそも伊藤万理華を鍛えることを念頭に考案されたのではないかとすら思いたくなります(笑)。
しかし、単なる冗談だとも言い切れない事情が、今の乃木坂にはあります。
その事情とは、2012年早春のCDデビューから3年目、乃木坂46には未だに本格的なヒット曲がないことです。
振り返ってみると、デビューシングルから生駒里奈のセンターが続く中、4枚目表題曲「制服のマネキン」がBase Ball Bear の小出祐介氏に賞賛され、ベッキーがこの曲について発言するなど、2012年末、乃木坂は、明らかに一般アピール力を持った音楽を生み出しました。
そして、2013年春の5枚目表題曲「君の名は希望」は、著名な音楽プロデューサーである故佐久間正英氏が評価して、親戚である生田絵梨花によるピアノ弾き歌いのプロデュースが実現、その様子が、昨年末、佐久間氏の業績を紹介するNHKの特集番組で流されることになります。
また、AKB48の紅白歌合戦では、渡辺麻友が、自身の強い要望で、生田絵梨花のピアノ伴奏とバックコーラスで「君の名は希望」をソロで歌い、審査員やファンから高い評価を受けました。
こうして、4枚目、5枚目と、J-popの音楽シーンで注目を集めた乃木坂は、いよいよ本格的なヒットを期待されます。
しかし、6枚目「ガールズルール」以降、オリコンの数字は右肩上がりを続けるものの、「制服のマネキン」「君の名は希望」を越えるほど話題となる曲を出せずに、現在、9枚目「夏のFree&Easy」まで来ています。
実際、歴代シングル収録曲の中で、YouTube公開MVの再生回数は「制服のマネキン」が断然のトップで、それを抜く曲は、今のところ現れる気配がありません。
「制服のマネキン」700万回突破!乃木坂MV再生回数ランキングと9枚目表題曲公開スケジュール [22May14]
ヒットに必要な「自分の歌」
5枚目までフロントを担ってきた生田絵梨花、生駒里奈、星野みなみが6枚目で後列に下げられ、このシングルで初めて、個別握手会の成績トップ3である松村沙友理、白石麻衣、橋本奈々未が1列目を担当します。
そして、握手会での売り上げが高い人を、選抜でより前に抜擢するやり方が、7枚目、8枚目、9枚目と徹底されたため、握手会人気のある年長メンバーが1列目、2列目のほとんどを占めることになり、乃木坂は、生駒里奈が不動のセンターだった時代のあと、「握手会主義年長型選抜」の時代に突入、それが1年以上続いています。
そして、4枚目、5枚目で音楽グループとして注目されたにも関わらず、6枚目以降、本格的なヒットが出てこないのは、この「年長型選抜」に原因があると思います。
というのは、20歳以上のメンバーが、自分のことを歌っていると思えるような、大人用の「アイドル」ソングが少ないからです。
6枚目表題曲「ガールズルール」は、高校三年生の女の子たちが、卒業して就職したり大学に進んだり、それぞれが大人への階段を上っていく前に、思い出作りのため、みんなで海に遊びに行くという内容の歌です。
いわば子ども時代最後の楽しいイベントであって、そのため、ダンスも、乃木坂の曲の中で、とりわけ可愛い部類に入るような振り付けになっています。
ところが、6th選抜フロントの三人は、6枚目発売時点でいずれも20歳で、白石と松村は翌月21歳になる年齢でした。
当然、「子ども時代の最後」というよりは、高校を卒業してかなり時間が経ち、芸能界で日々奮闘する「大人時代の始め」にいて、「ガールズルール」を「自分の歌」と捉えることは難しかったと思います。
歌い手が「自分の歌」をうたっているときは、歌に勢いが出て、聴く人の心を動かす可能性が高くなります。
1985年に発売された「セーラー服を脱がさないで」は、「おニャン子クラブ」が最初に出した曲ですが、メンバーのほとんどが女子高校生だったからこそ、歌詞にも登場するその言葉にインパクトがあって注目を集めたわけで、歌い手の年齢がもっと上であれば「もう着てないじゃん」ということで(笑)、歌そのものが成り立ちません。
「セーラー服を脱がさないで」が楽曲として優れているかどうかはともかく、少なくとも、歌と歌い手のイメージが一致していたことが、強みになったのは間違いない。
とくにアイドルの場合、歌やダンスのスキルが十分でないことが多いので、「自分の歌」をうたうことがヒットを飛ばすために、非常に重要なポイントになってくると思います。
ちなみに、「セーラー服を脱がさないで」の作詞は秋元康氏で、当時「おニャン子クラブ」の初期メンバーだった方が、今の奥様ですね。
「個」を発揮するソロが相応しい成人メンバー
つまり、「ガールズルール」が高校生の歌であるなら、高校生が歌うのが一番ということです。
では、年長メンバーに合った歌を作ればいいじゃないか、という話になりますが、実は、これが簡単ではない。
高校卒業から20代前半は、専門教育、就職、恋愛、結婚など、他人とは違う「個」を確立しようともがく時期で、直面する問題も、人によってそれぞれ違ってきます。
高校時代までであれば、家庭の事情は様々でも、同じ制服を着て、同じ教室で、同じ授業を受け、同じ学校行事に参加し、同じようなクラブ活動を行うという同一性が確かに存在して、経験する悩みや感動にも共通項がある。
そのため、メンバーが高校生以下のアイドルグループであれば、「セーラー服を脱がさないで」と同じように、ほぼ全員のイメージに合うような曲を、比較的容易に作ることが出来ます。
学校生活という「括り」があるので、テーマが絞りやすく、シチュエーションも「学校の図書室」「校庭のグラウンド」「部活の合宿」など設定しやすいわけです。
一方、「個」の確立期にいる年長メンバーが選抜のほとんどを占めるとなると、共通項が乏しく、全員のイメージに合う曲は、なかなか書くのが難しい。
例えば、「私がオバさんになっても」(1992)は、心に決めた相手のいる20代の女性が、将来、自分が年をとったとき、彼は今と同じように自分を愛してくれるだろうかという、ちょっと現実的でちょっと切ない女心を、当時23歳の森高千里がうたったヒット曲で、乃木坂の成人メンバーが歌っても違和感はないと思います。
しかし、こういう結婚や家庭生活といった「個」の確立に絡むテーマや心情は、ソロで歌うから良いのであって、多人数で制服を着て歌うとなると、何かしっくりこないものがある。
つまり、「個」としての存在がとくに重要視され始める成人メンバーが、ソロではなく、グループで歌うという設定そのものに無理があって、適切な楽曲と巡り会うことを難しくしていると思います。
乃木坂はよく「私立の女子校」に喩えられますが、全員が同じ制服を身につけて、一つの歌をうたうのは、高校生活の空気感を「再現」している意味合いが強く、グループは学園生活の比喩的表現、一種のメタファーになっています。
つまり、設定自体が、もともと高校生以下の年少メンバー向きなんですね。
そのため、提供される楽曲も登場人物が高校生くらいのイメージで作られているものが多く、高校生以下のメンバーか、せめて高校を出てまだ時間が経っていないメンバーを前面に出した選抜にしないと、どうしても歌と歌い手のイメージが乖離していきます。
年長メンバー中心の選抜だと、一人一人のイメージに合った曲を作ることは出来るけど、成長して「個」が強くなっている分、扱うテーマも様々で、グループ全員で歌うのにそぐわないケースが多い。
6枚目以降続いている「年長型選抜」は、多人数で歌ってぴったりフィットする楽曲をなかなか持てず、そのためヒットが出にくい状況に陥っているのだと思います。
8枚目「気づいたら片想い」初回限定盤TypeB収録の「孤独兄弟」は、白石麻衣と橋本奈々未の曲で、MVでも、二人が主役の物語が展開します。
運営は、乃木坂という学園生活のメタファーに埋没して、見えにくくなっている大人としての個性を、二人から引き出したいと考えたのかもしれません。
前田敦子が紡いだAKB48の「学園物語」
2008年に発売された「大声ダイヤモンド」は、AKB48が人気街道を驀進する最初の切っ掛けとなった曲で、センターであった前田敦子は当時17歳でした。
この後、2010年、彼女が18歳の終わりから19歳の始めに「ポニーテールとシュシュ」「ヘビーローテーション」が出て、AKB48は本格的なヒットを飛ばすことに成功、そして、20歳で卒業を宣言して、21歳になったばかりでグループを去っていきました。
前田敦子が高校生の年齢でAKB48がブレイク、20代に入ってほどなくグループを卒業したことには、意味があると思います。
AKB48こそ学園生活の「再現」を強く打ち出したグループで、「大声ダイヤモンド」MVは女子高の文化祭が舞台、「10年桜」(2009)は高校の卒業がテーマ、「ポニーテールとシュシュ」は、メンバーが高校のバスケット部に所属している設定になっていて、「対立」「友情」「結束」「別れ」といったテーマがそこで取り上げられています。
このようにAKB48のコンセプトには、学園生活のエッセンスが随所に散りばめられ、高校時代の持つパワフルでありながらどこか切ない雰囲気をメインイメージに据え、それを原動力に、国民的アイドルと呼ばれるまでに人気を上昇させた。
そして、学園イメージを中心となって担ってきたのが、不動のセンターだった前田敦子で、17歳から20歳までの時期、彼女が、数々の曲に、「自分の歌」としての生命を吹き込んでいった。
しかし、21歳になって前田敦子が卒業したとき、AKB48というグループも高校イメージを卒業することになり、大人になったAKB48には、ぴったりとフィットする曲が見つからず、グループコンセプトも定まらず、人気の低落時代に入ったのだと思います。
そんな中、32枚目表題曲「恋するフォーチュンクッキー」(2013/08/21)は、久しぶりのヒット、ロングヒットとなりました。
何となく色んなことが上手くいかなくて、しょっちゅう失敗や挫折はあるのだけど、案外、元気に楽しくやっている。
こういった歌の雰囲気や主人公を「地味な花」と表現しているあたり(笑)、この曲は、センターである指原莉乃をイメージして作られていて、AKB48の歌という以上に、さっしーにとっての「自分の歌」、あるいは「テーマ曲」であるようにすら感じます(笑)。
指原莉乃に対する秋元康氏の強い思い入れが、こういった曲を生んだのかもしれません。
ただ、指原莉乃の強烈な個性に依存しているためか、曲のヒットで、彼女の人気は上がったと思うけど、AKB48全体を浮上させる牽引車にはならなかったように見えます。
実際、その後にリリースされた33枚目「ハート・エレキ」、34枚目「鈴懸の木の道で(以下略)」、35枚目「前しか向かねえ」は、AKB48の総選挙サイクルに従って、これまで通りにCDセールスが続落、「恋するフォーチュンクッキー」を境にした低落傾向のストップといった現象は見られませんでした。
学園生活というコンセプトを離れて、誰かの「個」に特化した楽曲を作ると、その人物にとっては「自分の歌」であっても、全員にとっての「みんなの歌」にはならず、グループ全体の人気を上げるには至らないのかもしれません。
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乃木坂はどこに行くべきか
AKB48襲撃事件以降、握手会商法を巡る状況は厳しさを増していて、乃木坂を長く存続させるためにも、本当の意味での楽曲的成功、つまり本格的なヒットがぜひ欲しいところです。
個人的には、その切り札は、伊藤万理華だと考えています。
まりっかのダンスは、しなやかで美しいだけでなく、自身の内面が投影されているような高いオリジナリティを持っていて、見ていて釘付けになるほど魅力的です。
実際、5枚目「君の名は希望」に収録された個人PV「まりっか'17(セブンのティーン)」は、彼女のコミカルなダンスが煌めいた秀逸な作品で、YouTube公開の予告編が再生回数トップになるなど、大きな反響を呼びました。
また、8枚目「気づいたら片想い」初回限定盤TypeC収録のアンダー曲「生まれたままで」では、豊かな表情とチャーミングな動きで、傑出したMVを作り出すことに成功しています。
これほどの表現力と雰囲気を持った人は、そうはいないので、ヒットを呼び寄せるためにも、まずは伊藤万理華を乃木坂のセンターに据えるべきだと思います。
さらに、生田絵梨花、星野みなみ、川村真洋、中元日芽香、齋藤飛鳥といった歌あるいはダンスに秀でた年少メンバーを1列目、2列目に配して、パフォーマンス力をアップすると同時に、6枚目以降途絶えてしまった、乃木坂の「学園物語」を復活させる。
そうすれば、歌と歌い手のイメージ乖離を心配することなく、高校生が主人公の可愛い曲も正面からこなせて、多人数制服アイドルの強みを生かせます。
一方、20歳を越える年長メンバーは、AKB48の小嶋陽菜や篠田麻里子のように、ポジション的に少し下がった2列目3列目でチームを支えるか、あるいは、チーム制でもう一つグループを作るのがいいと思います。
「世界で一番 孤独なLover」が橋本奈々未のイメージにフィットしたり、「恋するフォーチュンクッキー」が指原莉乃のテーマソングだったように、誰かの個性と共鳴すれば、そこを突破口にして、大人メンバーによるグループソングを成立させることは可能じゃないでしょうか。
ただ、年長メンバーに関しては、音楽にしても、他の仕事にしても、「ソロ活動」に徐々に重点を移し、乃木坂メンバーという以上に、個人のタレントとして名前とイメージを広めていくべきだと思います。
前田敦子のように、多人数グループに長くいると、センターであっても「個」が埋没しやすく、将来卒業したときに、タレントとしての個人イメージを確立するのに苦労する場合があります。
グループにいるときから、「ソロ活動」を重視していれば、独立後も成功する確率が高くなるんじゃないでしょうか。
『乃木坂9枚目個別握手会は再び長期販売も、9th選抜は「連続応募」と「紅白」で短期の可能性 [10May14]』に書いたように、10枚目シングルの選抜発表は、8月前半にも行われる可能性があります。
6枚目から始まり、7枚目、8枚目、9枚目と続いた「握手会主義年長型選抜」が10枚目でも行われるのか、それとも、何か新しい発想で選考するのか。
10th選抜は、NHK紅白歌合戦が絡むチームでもあるので、その内容が気になるところです。
8枚目、9枚目で、かなりの分量のアンダーライブを組み、しかも伊藤万理華を連続でその中心に据えていることから、運営の中にも、乃木坂のパフォーマンスを向上させて、本格的にヒットを目指そうという考え方があるんじゃないでしょうか。
もともとアンダーに関しては、誰をセンターに抜擢するのか、どういうダンスにするのか、どういうMVにするのかなど、かなりセンスの良いスタッフが仕切っている節があって、8枚目からのアンダーライブも、そういった人たちの発案という気がします。
出来れば、本丸である選抜にも、歌やダンスを第一に考える姿勢が及んで、10枚目は、「握手会主義年長型選抜」から「パフォーマンス重視年少型選抜」に一歩でも移行して欲しい。
淡い期待ではありますが(笑)。
ただ、8枚目、9枚目と2作連続で乃木坂全体の握手会人気が落ち、ファンの総数が減っている可能性があって、そろそろ思い切った手を打たないと、本格的な人気低迷期に入ってしまう危険があって、最近の売り上げ状況を見ているとマジでヤバいです。
さらに、襲撃事件の影響はこれからも長く続き、握手会への依存度を下げざるを得ないことを考えると、実は、10枚目こそ、乃木坂大改変のチャンスだと思います。
チーム制にするのか、選抜大幅入れ替えか、方法は様々ですが、10枚目で、運営が握手会主義から楽曲主義へ、大胆な決断をすることを願っています。
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