ジャン・アレチボルトの冒険

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「ルビコン」を渡った乃木坂、生駒里奈大握手会参加で危惧される若手の成長とグループの独自性 [08May14]

2014-05-08 16:30:00 | 芸能
サンマリノの北西、アドリア海に注ぐルビコーネという川がある。

共和政末期のローマでは、その南側こそローマの聖域と見なされ、武装したまま川を渡ることは、元老院への反逆だった。

しかし、紀元前49年1月10日、ユリウス・カエサルは「賽は投げられた」の言葉とともに、ガリア派遣軍を率いて川を渡り、帝政ローマが幕を開けることとなった。

当時「ルビコン」と呼ばれたこの川は、それ以来、「一線を越える」ことの譬えとして使われている。


とうとう、生駒里奈が、AKB48の大握手会に参加することになりました。

8月9日(土)の幕張メッセ、36枚目「ラブラドール・レトリバー」個別握手会の第3部、4部、5部で、握手会を行うようです。

メンバーが指定された握手券ではなく、会場で相手を決める「当日メンバー指名参加券」という方式での握手会で、完売表に生駒里奈の名前が載るような方式ではありません。

しかし、乃木坂メンバーがAKB48の握手会に参加して、キングレコーズのCDを売ることは、果てしなく大きな出来事で、乃木坂のソニー離れが、決定的になったと見ていいでしょう。

これによって、今後、他の乃木坂メンバーが大握手会に参加する可能性が、飛躍的に高まったと言わざるを得なくて、

まさに、「ルビコン」を渡ったということです。


AKB48は、年間5枚のシングルを出し、その度に、4日か5日の大握手会を開催しているので、もし、乃木坂がフルに参加すると、1ヶ月に平均2日のペースで個別握手会が増えることになります。

そうなると、SKE48やNMB48と同じく、土曜日曜がほとんど握手会で埋まるので、グループとメンバーの活動は大きな制約を受けてしまいます。

また、握手会以外の活動を平日に行わざるを得なくなるため、中学高校生メンバーの選抜入りが一層困難になって、1期内での年長組と年少組の人気格差が今以上に広がる危険があります。

さらに深刻なのは、ほとんどが高校生以下である二期生で、これ以上、活動のチャンスを削られると、アイドルを目指して乃木坂に入った意味がなくなってしまいます。


AKB48は、前田敦子、板野友美、篠田麻理、大島優子など、人気のある初期メンバーが卒業した後、穴を埋める有力新人が現れず、最新の日経タレントパワーランキングでは3位となり、1位Perfume、2位ももいろクローバーZに点差を開けられるなど、じりじりとした人気低迷に苦しんでいます。

乃木坂も、今ですら、握手会人気の高い特定の年長メンバーが優先されているのに、大握手会参加によって、平日の活動が多くなると、その傾向はさらに強まっていき、未来を担う筈の年少メンバーが育たなくなってしまいます。

まだ大きなヒットがなく、知名度の低い乃木坂の場合、人気を上げていくためには、現在の中軸メンバーの人気、もちろん握手会人気ではなく一般人気ですが(笑)、を上回るメンバーが何人も出てくることが不可欠です。

しかし、休日を握手会で埋め尽くして、若いメンバーが育つ、その芽を摘んでしまっては、人気低迷どころか、グループとして、お茶の間にほとんど認識されないまま終わってしまう危険すらあります。

何としても、AKB48の大握手会への参加は止めて欲しいのですが、業績を何度も下方修正しているソニーを見ていると、ちょっと望み薄なのかという気になってきます。


生駒里奈の大握手会参加の発表と時を同じくして、9th選抜を発表する5月11日(日)深夜の「乃木坂って、どこ?」に、松井玲奈が出演することが判明しました。

SKE48の公式サイトに載った情報で、そのページをよく見ると、翌週5月18日(日)の「乃木どこ?」にも出演すると書かれていて、もう、何が起こるのか、嫌でも思い浮かぶようになってきました(笑)。

つまり、11日放送回で松井玲奈が9th選抜に入り、次回18日に、その一員として、新選抜の紹介企画に参加する流れだと思います。

あるいは、18日は、松井玲奈のフィーチャー回となるかもしれません。

松井玲奈の選抜入りは予想していたことですが、生駒里奈の大握手会参加と一緒に、目の前に突きつけられると、少なからぬショックを受けます。


話は違うのですが、現在、プロ野球の巨人戦は、地上波ではなかなか見られなくなってきました。

巨人に限らず、日本のプロ野球は、キー局のゴールデンタイムから姿を消し、1時間近くその日の試合を振り返っていたようなニュース番組もなくなり、お茶の間の話題に上らなくなっています。

原因の一つとして、FAによって、他チームのスター選手を引き抜いたり、即戦力の外国人選手を連れてきて、チームの中核を作ってしまっている現状があると思います。

ある年に大活躍した、他チームの四番とエースを引き抜いて、翌年、あるチームが優勝しても、多くの視聴者は「う~ん、まあ」という感じになってしまいます(笑)。

そして、こういうことを繰り返していると、チームの若手は出場回数が激減して、成長する機会を大きく奪われてしまい、生え抜きの選手が少数しかいない「借り物」チームになって、ファンはチームへの愛着を持ちづらくなっていきます。

AKB48は、今まさに、この状態になりつつあって、「支店」のスターがずらりと並んでいるものの、人気が回復する兆しは見えてきません。


一方、松井玲奈の乃木坂「兼任」も、まさに他チームの四番打者を連れてくるようなものです。

松井玲奈の参加で枠が減るのはショックが大きいので、9th選抜は定員を17人にする可能性もありますが、もし枠を増やすのであれば、そこに一人でも多く、選抜回数の少ない1期や二期生を入れるべきだと思います。

松井玲奈は、人気があって、歌やダンスのレベルも高いのでしょう。

しかし、松井玲奈とは比べようもないほど下手であっても、佐々木琴子や渡辺みり愛がステージで頑張っている姿を見たいと思うのが、乃木坂ファンの一つの気持ちであって、だからこそファンがメンバーを育てるわけです。

そういうファンの思いが、将来に渡って長く活躍出来る乃木坂を生み出す原動力で、それを分かっているから、少なからぬファンが「交換留学」に反対しているのだと思います。


生駒里奈は、AKB48から色々学んでくると発言していますが、AKB48で学べるものは、AKB48の輝きであって、乃木坂46の輝きではないと思います。

AKB48は、AKB48にしかないカラーがあるから、面白くて魅力的なのであって、それを乃木坂が取り入れても、本家を越えることは出来ないでしょう。

乃木坂46が、乃木坂46にしかないカラーを出すには、自分たちであれこれもがきながら、自分たちにしか出来ないことを見つけるしか方法はありません。

生駒ちゃんには、生田絵梨花がブログでよく報告しているように、舞台演劇を観たり、あるいは、バレエ、オペラ、ミュージカルなど、さまざまなジャンルのエンターテイメントにもっと触れて欲しいと、個人的に考えています。

彼女は、明らかにダンスの素質を持っているので、多様な身体表現に出会うことで、大きな刺激を受けて、自身のパフォーマンスに還元する能力があると思います。

もちろん、AKB48のステージも一つの参考ですが、メンバーの一人になってしまうと、AKB48のやり方が基準になってしまって、AKB48流から抜け出られなくなり、自分の中にあるオリジナリティをかえって見つけづらくなる危険がある。

むしろ、観客として、AKB48のステージを研究して、それ以外にも、日本には、多くの優れたアーティストがいるので、どんどんステージを鑑賞してみれば、学ぶべきものが色々見えてくるんじゃないでしょうか。

私が先日行った家入レオのライブは、シンプルで素朴なステージが魅力で、歌がびっくりするほど上手いだけでなく、観客の「煽り」など、凄いなと思わせられる部分が多く、お薦めですよ(笑)。


1996年に「アジアの純真」でメジャーデビューしたPUFFYは、当時、飛ぶ鳥を落とす勢いだった小室ファミリーとは全く異なる、果てしなくユルい脱力系の歌とダンスが評判となり、スターの階段を駆け上っていきました。

その時代に大きな人気を博しているアーティストのやり方を真似るのではなく、別の発想で新しいものを出した方が、かえってヒットが出る可能性は高くなるという典型例です。

PUFFYのあのダンスは、振り付けを担当した南流石が、渋谷をダラダラ歩く女子高生を見て思いついたという話を聞いたことがあります。

まあ、乃木坂のオリジナリティを確立するには、杉山勝彦や南流石のような優れたクリエイターに、連続して何シングルか担当してもらう必要があって、もちろん、メンバーが頑張っても、限界があるのは勿論です。

ただ、例えば、武道館コンサートで、二期生が「制服のマネキン」のダンスに付いていけず、かなりグズグズになっていたとき(笑)、逆に、そういう「下手さ」の中に面白い動きがあったりして、それに気づいて拾えるのはメンバーだけだと思います。

優れたショーを数多く見ながら、一方で、日常にある「下手さ」や「遊び」に目を向けて、色んなものを自分たちの「独自性」だと捉えて大事にしていけば、乃木坂のカラーを出す確率は高まっていくんじゃないでしょうか。

白石麻衣の「まいやん、まいやん、まいやん!」が受けるのは、あんな動きを見たことがなくて、オリジナリティが高いからですよね(笑)。

生駒里奈の大握手会参加で、乃木坂の「48」化は一線を越えて、ますます勢いを増してきました。

しかし、AKB48とは異なる、乃木坂独自のカラーを、自分たちの手で作るという気持ちは、持ち続けていて欲しいと願っています。


カエサルがルビコンを渡ってから22年後、姪の子どもであるオクタビアヌスがローマの初代皇帝となり、帝政ローマが始まります。

多くの属州を従え、地中海の大帝国となり、「パックス・ロマーナ」を実現したローマは、やがて、経済的にも、軍事的にも、属州への依存度を強めていき、本体は弱体化していきます。

何だか、AKB48が辿っている道と似ているような気もしますが(笑)、ローマ帝国は、オクタビアヌス即位の400年後に、東西に分裂して、一つの終焉を迎えます。

AKB48が今後どうなっていくのか、属州化(笑)、いや「支店」化しつつある乃木坂はどこまで坂を上れるのか。

2002年「ハロマゲドン」のように、結局、じっと見守るしかないんでしょうね。


ところで、昨日、「E☆EVERYSTAR YEAR BOOK 2013-2014」が届きました(笑)。

うん、みなみ、これは素晴らしい!

表情豊かな知的グラビアというテイストで、不安、微笑み、好奇心など多彩な感情が静かな透明感で包み込まれた傑作だと思います。

ナタリーのグラビアもそうだけど、星野みなみのグラビアは、フェルメールの絵画を彷彿とさせるような、グラビアというより、美術作品に近い気がする。

こういう雰囲気は、まさに乃木坂の「独自性」の一つだと思うので、大切にして欲しいです。


関連サイト

KING RECORDS 公式サイトの生駒里奈大握手会参加に関するページ

SKE48公式サイトの5月スケジュールに関するページ

ナタリー「星野みなみグラビア特集」


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# 記事中の青字部分は、テレビ番組、公式サイト、書籍、歌の歌詞などに、掲載されたものを、そのまま抜粋引用したことを表しています


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