kaeruのつぶやき

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明日からの(らんまん) 「牧野富太郎本」

2023-04-02 20:46:04 | どこまで続くかこのブログ

朝ドラ「らんまん」のスタートに向けて「しんぶん赤旗」(3月26日)の書評頁で関連本の紹介です、

本文の文字写しをしておきます。

 

 4月からのNHK連続テレビ小説 「らんまん」の主人公は植物学者の槙野万太郎。 モデルとなったのは、自らを「草木の精かも知れん」、「草木は私の命」と言い、学名を付けて発表した植物が約1500種にものぼる牧野富太郎(1862〜1957)です。
 清水洋美著『牧野富太郎 日本植物学の父』(汐文社・1600円)は、わかりやすい文章で書かれた伝記です。 富太郎は幕末の時代、高知県佐川村(現・佐川町)の裕福な商家に生まれました。 父母は幼いうちに亡くなり、祖母に大切に育てられます。 もの心つく前からごく自然に花や木が好きだったそうです。
 寺子屋や私塾で儒学や英語などを学んだので、小学校ができて通い始めても飽き足らず、2年ほどでやめました。それからは大人が読む本を買ってもらったり、高知市内の学校の先生に教えを乞うたりして独自に植物学を勉強しました。
   名声と生活苦
 22歳で上京した時に東京帝国大学(現・東京大学)植物学教室へ出入りを許されます。植物を観察すると、 言葉で説明するばかりか精密な絵も描きました。 それらは図鑑や雑誌に掲載されて富太郎の名声を高めました。 コロナ・ブックス編集部編『牧野富太郎 植物博士の人生図鑑』(平凡社・1600円)は、そうした植物画や生前の写真が数多く収められ、植物へのあふれる愛が伝わってきます。
 順調な研究生活を始め富太郎でしたが、二度も教室から排除される苦
労も味わいました。。さらに祖母が亡くなって郷里からの資金援助が尽き
ると、暮らしは苦しくなっていきます。 植物採集の旅費や高価な学術書や
絵の道具の購入にはお金を惜しみませんでしたから、なおさらです。
 火の車となった生活を支え続けたのが妻の寿衛(すえ)でした。13人の子ども(7人は早くに亡くなる)を育てながら、暮らしを立て直すため料理屋を営み、郊外に土地を買って家まで建てたのです。また苦しい生活を送っていると、借財を返済して標本の保管場所まで提供してくれた池長孟(はじめ)のような援助者がいつも現れました。 それだけ富太郎が人間的魅力にあふれ、価値の高い研究をしていたことの証しなのでしょう。
  面白さ伝える
 最晩年にまとめられた『草木とともに 牧野富太郎自伝』(角川ソフィア文庫・800円)には、早くに亡くなった妻への感謝や、良き友人・知人を失った後の悲しみなどもつづられています。富太郎は観察会へ出かけたり、牧野富太郎著『植物一日一題』(ちくま学芸文庫・1000円)に収められているような随筆を書いたりして、一般の人々に植物の面白さを伝える活動に熱心でした。そこには歯に衣着せぬ書きぶりの文章もありますが、それもまた天真な富太郎らしい味わいになっています。  

              (さとの・まもる サイエンスライラー)

 

コメント (2)
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