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ジェイエスピー社員が綴る日替わりブログ

名曲アルバム

2015-04-09 09:25:34 | 日記
序章 Hotel California
夜11時頃仕事を終えて職場から歩いて2,3分のホテルに戻る。フロントでビールを3本買う。ちょっと割高だが、少なくともこのホテルでは酒が買える。
「チャージする?」
「いや、チャージしない。今、現金で払う」
フロントの女の子と毎晩繰り返されるそんなやり取り。
フロントとは別の棟にある自分の部屋に向かい、シャワーを浴びてから1本目のビールを開け、ようやく一息つく。
サンノゼの郊外のホテルの1室でそんな時間を過ごすようになって数日が経った。
3週間の予定の海外出張、朝から晩まで働いてもなかなか進展しない仕事のことを考えながら2本目のビールを開ける。TVを付けると、明るい海の上に架かるゴールデンゲートブリッジが写し出された。思わず部屋の中を見回してみる。ここは本当にカルフォルニアなのか?空になった瓶を置いて3本目のビールを開ける。
何を言っているのかさっぱり分からないTVをぼんやりと眺めていると、いつの間にか頭の中に悲しげなギターのイントロが繰り返し流れ始める。
ダメだ、もう寝よう、明日も仕事だ。

第1章 Eight Days a Week
ホテルのだだっ広い駐車場の一角に星条旗とクマさんマークの旗が掲揚されている。間違いない、ここはカルフォルニアだ。
見回すと、両側にIT関連企業が軒を並べる広い道路と、青い空の遥か彼方に山の稜線が見える。なるほど、ここがシリコンバレーか。鎌倉の谷(この場合ヤトとかヤツと読む)に比べると脅威的な広さだ。
そんな景色を横目に職場に向かい、窓一つない作業場所へ入る。相変わらず作業の進展は遅い。ラン・プレーだけのアメフトみたいだ。それでも士気は下がらない。せっかく来たのだ。何が何でも結果を出して帰ろうという思いが一緒に渡米したメンバーからひしひしと伝わってくる。よし頑張ろう、1週間に8日働くつもりで頑張ろう、そんな歌を歌っていたイギリスの4人組がいたじゃないか。自分を鼓舞して日々を何とか乗り切っていく。先はまだ長い。
ん?日本にはもっとすごい歌があったような気がしてきた、なんだっけ?
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・思い出した。五月みどりの「1週間に10日来い」だ。

第二章 California Dreamin'
目的は仕事だ。そんなことは分かっている。けれども、人生初の海外だ。飛行機に乗る恐怖にも耐えたじゃないか。ホテルと職場とドライブインを行ったり来たりするだけで終わるわけにはいかない。そんな野望に燃える私は、みんなでサンフランシスコに遊びに行こうという提案に迷うことなく飛びついた。
電車を乗り継ぐこと2時間弱、週休1日の体にはかなり過酷なプランだ。だが、がそんなことは気にしない。車窓からは49ersのLevi’s Stadiumが見える、アメリカだ。NASAの施設も見える、アメリカだ。
サンフランシスコに着いたらバスでゴールデンゲートブリッジへ、フルハウスだ。サンフランシスコ湾にはアルカトラズ島、クリント・イーストウッドが脱出した島だ。太陽はあくまで明るく暖かい。ロサンジェルスである必要はない、満足だ。パパもママも満足するはずだ。
フィッシャーマンズワーフで食事をして、散歩がてら市街地まで歩く。そして、見えてきたのは夕日に輝く(ほんとか?)AT&T Park、サンフランシスコジャイアンツの本拠地。メジャーリーグのことはあまり詳しくはないが、本場のBaseball Parkを見た感動は言葉にし難い。
そういえば、帰国した一週間後には次男と横浜スタジアムに行くって約束したな。日本のプロ野球は3月末には開幕だ。横浜ベイスターズも筒香、グリエルを中心に躍進してくれるはず。楽しみだ。あと何日だ?頑張ろう、それを励みに頑張ろう。
明日も仕事だ。サンノゼまで、帰りも2時間弱だ。

第三章 Have You Ever Seen the Rain?
出張期間が1週間延長されることが決まった。十数日ぶりに妻に連絡を取り、そのことを告げる。こっちに来て初めて家族がどう過ごしているか気になった。
サンノゼに雨が降るのは珍しい、と誰かに聞いた。日本では、晴れ、雨を繰り返しながら少しずつ春が色濃くなっている頃か。長男の卒業式はどんな天気だったか、少年野球チームに所属する次男は雨の中も練習をしているのか、家で絵を描いているのが好きな長女は天候に一切左右されずいつも通り過ごしているのか、その子たちを妻がどう支えているのか。サンノゼの乾いた空を見上げてみる。
雨を見たかい?その問いかけも答えも今はどこにも届かない。

1週間延長って事は、帰国の次の日に横浜スタジアムだな。正直、きついな。

第四章 Good Night
1週間延長になったことで、買い忘れていた家族への土産を買う時間ができた。危ないところだった。1周するのに30分以上かかるでっかいショッピングモールに出かけて、何を買うか頭を抱えた。3周くらい歩いてようやく全て買い揃えた。家族を呼びつけて100ドルずつ渡して「好きなもの買ってこい!」と言ってやれたらどんなに楽だろう。
電車で15分くらいのところにある日本人街にも行くことができた。日本のビールの味が言いようのない安堵を与えてくれる。
もちろん、延長期間に遊び歩いていたばかりじゃない。体に鞭打ち馬車馬のように働いた。結果、仕事はどうなったか?野暮なことは聞くものじゃない。ただ、ジョン万次郎にはかなわないだろうが、貴重な体験をしたことだけは間違いない。

作業をすべて終えた帰国の前日、みんなで最後に美味いものでも食べに行こうと言い出す奴がいた。何を言うか、先週も先々週も週末は旨いものを食べに行ったじゃないか。仕方がないか、それくらいしか楽しみがないのだから。
結局みんなでサンノゼ市街へ出かけて行き、しゃれたステーキハウスに入り、分厚い肉を食べ、うまい酒を飲み、最後の夜を満喫してホテルの部屋に戻った。いったんソファーに身を沈めたが、いい気分だからなんとなくもう少し飲みたくなった。
フロントまで行って、ビールを3本買う。
「チャージする?」
「いや、チャージしない。今、現金で払う」
フロントの女の子と毎晩繰り返されたそんなやり取りも今夜が最後だ。金を払い、ビールを左手に持ち、右手を軽く上げる。
「Good Night」
照れくさくて、どうしても言えなかったその一言が、いつの間にか言えるようになっていた。明日、家に帰る。それだけを考えながら3本のビールを一気に飲み干した。

終章 YOKOHAMA STADIUM
俺が帰ってきたのにグリエルが帰って来てない?
なんでだ?

そっか、家がいいよな。

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株式会社ジェイエスピー
  横浜に拠点を置くソフトウェア開発・システム開発・
  製品開発(monipet)、それに農業も手がけるIT企業
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