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松井ゆみ子のアイルランド・キッチン・ダイアリー「アイスクリーム」

2006-09-04 00:25:20 | 松井ゆみ子のキッチン・ダイアリー
 日本に持ち帰れなくて残念! と思うもののひとつが、アイルランドのアイスクリーム。もう、めちゃめちゃ、おいしい!

ブレイの海岸沿いで思わず買っちゃったカワイイデコレーションのアイスクリーム。
 こっくりした牛乳の甘さは、濃厚なのにくどくなく、誰もをしあわせな気分にしてくれます。初夏になれば、まだどんなに肌寒くても、ソフトクリームの看板があちこちに登場し、ちょっと日差しが強くなると、待ってましたとばかり、大人もこどももソフトクリームを手にします。

 ソフトクリームタイプは、たいていバニラ一色。これにフレークスというほろほろとデリケートな歯ざわりのチョコレートをぷすっとさした、99(ナインティナイン)がポピュラー。ベリー系のシロップをかけてくれることも多いです。

 家の近所にも、アイスクリーム売りの車がやってきます。
 ポパイのテーマを鳴らしながら。こどもたちにまざって、小銭を握りしめて買いに走ります。自分ちの庭でソフトクリームをなめるのは、なんだか贅沢な気分。

 酪農のさかんなアイルランドは、ヨーロッパのなかでも牛乳の品質がバツグンです。EUが始まる当初、寄り集まる農業国には一種の危機感がありました。いずれEU内での競争が高まり、品質のいいものしか残れなくなる。たとえば、チーズならフランス、チョコレートならベルギーといったように、共同体の中で産物のすみわけが進むのでは、といった危機感です。

 確かに、ある意味正しく、農業ではありませんが、航空会社が限りなくEU内一本化に向かっているような図式が、見られるようになりました。

 アイルランドは早くから「わが国で死守すべきは乳製品!」と、特に流通しやすいバターを筆頭にしてきました。酪農王国としての誇りが、あらわれてれています。

 EU圏で、酪農のさかんな国はたくさんありますが、フランスなど大きな国では北と南でばらつきがありますし、アイルランドのように全土にわたって品質のいい牛乳がとれる国は、少ないでしょう。

 国自体が、ちょうど冷蔵庫くらいの気温で、必要以上に殺菌にめくじらたてずにすむことや、牧草に恵まれて丈夫な牛が育つことなど、理由はたくさんありますし。

 テレビのCMで、乳牛をいかに大事に育てているかをとりあげたものがありました。牛舎でもゆったりしたクラシック音楽が流れ、牛たちが気持ちよさそうに乳搾りをしてもらっています。でね、ひとりのファーマーの合図で、牧場のスタッフが一斉に手で牛の目をかくすの。そうすると、牧場の外の道を肉屋の自動車が通りすぎるっていう、ちょっとシュールなものなのですが。

 そんなふうにして育てられた牛たちからうまれるアイスクリームが、おいしいのは当然なのです。

 そろそろ秋風も冷たくなる季節ですが、10月くらいまでソフトクリームの販売は続けられます。冬もののコートが目立つ、シーズン終わり頃のカラ競馬場にもまだ、アイスクリーム屋さんのヴァンが来ていて驚いたことがありました。

 さらに驚いたのは、帽子も飛んでいきそうな寒風のなかでも、ソフトクリームを買う人たちが列をつくっていたこと!
 アイルランド人のアイスクリーム好きは、寒い季節にこそ証明されるのです。


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