松井ゆみ子のアイルランド・キッチン・ダイアリー「バーバーズタウンのお城に泊まる」

　「お城に泊まるのだけど、一緒に行く？」と誘ってくださったのは、なかよしの池田真紀さん。彼女は、クッキングリンクという、アイルランドの食文化を日本に紹介するグループを主幹して、現地からトップシェフたちを招き、日本で料理レッスンを開催してきた、がんばり屋さんです。アイルランドでの生活経験も豊富で、特においしいものを食べられるとこに関しての知識は、現地の人もかないません。

バーバーズタウン・キャッスルの庭。午後のひととき、ここでお茶を飲んで過ごす。

バーバーズタウンのお城。

　 真紀さんについて行けば、きっとおいしい料理に出会えるはず。それに私はまだ、お城に泊まったことはありませんので、すぐさま「行く、行く」と返事をしました。

　へぇ、こんな近くにお城があったんだ。と、びっくり。カウンティ・キルデアとダブリンの境に位置するバーバーズタウンは、私の住んでいるニューブリッジからは車で３０分足らず。ダブリン空港からも同じくらいの所要時間で来られます。

　まわりは牧草地が広がり、カントリーサイドらしさたっぷり。とてもダブリンの近くという気がしません。ゆったりと乗馬を楽しむ人の姿もあります。

　13世紀に建てられたときのまま保存されているのが、レストランの部分。石づくりの、中世の雰囲気そのままの部屋でディナーを楽しむことができます。しかし、サッカー好きな真紀さんは「ＴＶが見たいので、部屋で食べるのでもいい？」というので、ディナーはルームサーヴィスとあいなりました。

　 そういえば私、部屋でディナーを食べたことってないな。私はメインにソテーしたホタテを選び、真紀さんはラム。どちらもたっぷりの温野菜がつき、ボリュームまんてん。でも味はなかなか繊細です。ルームサーヴィスのいいところは、もうだめ、おなかいっぱい、となっても少し時間をあけた後にデザートをお願いできるとこかも。

　部屋ごとにコンセプトが異なるそうで、私たちが泊まった部屋は、赤やピンクを基調にした女性らしい、カントリースタイルの邸宅風。見学させてもらった他の部屋は、紳士向きで、濃紺を基調にしたシックなインテリア。天蓋つきのベッドは、ゆったりしたシングル仕様。こんな部屋がしっくりくるようなジェントルマンに、お目にかかってみたい気がします。

　今年、ライダーズカップが開催される、アイルランドきってのゴルフコースを持つＫ－Clubがすぐ近くにあり、この９月はきっと予約がいっぱいでしょうけど、静けさが戻ったあたりで、ぜひ滞在してみてほしい宿です。スタッフが、とっても気持ちのいい人たちだったことも、おすすめのひとつです。

　ホームメイドのバナナケーキがすっごくおいしいのだそうで、お茶だけ訪れる方も多いとか。緑豊かなお庭で、ティータイムを楽しむのもいいかも。


■Barberstown Castle，
Straffan，Co．Kildare．
URL:http://www.barberstowncastle.ie


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