松井ゆみ子のアイルランド・キッチン・ダイアリー「グルメジャム」

　アイルランドでいちばんおいしいホームメイドジャム、と思い切りエコヒイキしているのが、アビーリークスにあるメーカー「グルメジャム」。

グルメジャムの商品あれこれ。ファーマーズマーケットでは味見ができます。

　おっとりと、やさしいお母さんヘレンが、自宅のキッチンで昔ながらのジャムづくりを続け、ご主人で根っからのファーマー、シリルが各地のファーマーズマーケットで売るうちに、すっかりアイルランド代表格のジャムメーカーに育ちました。

　ＥＵに入ってから衛生法がきびしくなり、自宅で手づくりしていたジャムメーカーが、ビジネスを拡張できないまま廃業していくケースも多い中で、グルメジャムは自家製の素朴さを残しながら、それなりにたくさんの数をつくって商売していくことに成功した貴重なケースです。

　なんといっても、やっぱり味のよさ。ジャムなんて、カンタンにつくれるって思っていましたけど、ようく煮つめないと、すぐにカビるし、水っぽくなるし、なかなか修練が要ります。

　本来は庭などで採れた果物でつくる保存食ですが、町に暮らす身では、果実は買うことになるわけで、かえって高くつくことがほとんど。ジャムは、ちょびっとつくろうとすると、とてもやっかいで、おいしいのを選んで買うようになりました。

　で、グルメジャム。
　できれば数種類のジャムを常備したいところですが、ふたり暮しでは消費量も知れたもの。340グラム入りのビンでも、食べきるのに２ヵ月はかかっちゃいます。

　ギフト用に240グラム入りを増やす予定というので期待している今日この頃。
　アイルランドでも核家族化が進んでいて、シリルいわく「昔は、ジャムっていったらもっともっと大きなビンの方が需要が高かったもんなんだがね」。

　ポピュラーなジャムのビンの大きさは、以前に比べてずいぶん小さくなっているのですって。気づかなかった。

　確かに、今ほどいろんな種類はなくて、いちごジャムがどーんって感じで台所にあったなー。ペンキの入れ物みたいなのに入ったオレンジマーマレードとか。

　彼らの比較的新作で、甘いジャムではなくHot Pepper Relishというのがあるのですが、今これがいちばん気に入っています。

　赤ピーマンとトマトのレリッシュで、ピリ甘辛の、でもさっぱり味のおかず用ジャム。鶏肉、豚肉によく合うし、トーストにぬったりして、あっという間にひとビン空いてしまいます。皮肉なことに、これは240グラム入りしかないのだけど、大きなビンでも、すぐに食べきれるなぁ。

　ファーマーズマーケット以外でも、ずいぶん置いている店があるので、アイルランドにいらしたら、おみやげにしてね。


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