忍之閻魔帳

ゲームと映画が好きなジジィの雑記帳(不定期)。
*当サイトは商品やサービスへのリンクにアフィリエイトを使用しています。

語りかけるような優しさが光る「妖怪大戦争」

2005年08月03日 | 作品紹介(映画・ドラマ)


角川エンタテインメント
妖怪大戦争 DTSコレクターズ・エディション (初回限定生産)

それにしても公開を目前に控えた神木隆之介君は忙しそうだ。
学校が夏休みに入ったということもあるのだろう。
毎日どこかで1回は顔を見掛けるほどの露出ぶりである。

さて、そんな神木君が主演を務める
角川グループの創立60周年記念映画が、今回紹介する「妖怪大戦争」である。
水木しげる、荒俣宏、宮部みゆき、京極夏彦の4名が
「チーム怪」なるプロデュースチームを結成し、
キャスティングから脚本、出演までこなす大活躍を見せている他、
監督の三池崇史、主題歌の忌野清志郎&井上陽水など、
角川グループの還暦祝いらしく、豪華メンバーが顔を揃えている。

先日、「爆笑問題のススメ」に京極夏彦が出演していた時、

「妖怪というのは日本独自の文化なんです。
 お化けは世界中にいるが、妖怪は日本だけ。
 だから、妖怪の意味を表す英語は存在しないんです。」

と言っていた。
なるほど、言われてみれば確かにそうかも知れない。
「お化け」は「ただ恐ろしい存在」だが、
「妖怪」は「恐いけどマヌケ」「見た目は恐いけど気は優しい」など、
(中には本当に恐ろしい妖怪がいるにも関わらず一般的には、という意味で)
「ただ恐ろしい、だけじゃない存在」として認識されている気がする。
もちろんこれは、水木しげるの「ゲゲゲの鬼太郎」の影響が大きいのだろう。

そんな妖怪達が多数出演する映画「妖怪大戦争」は、
主人公タダシを自分の子、孫に見立てた制作者達が
「親の視点」から語りかけるような、優しさに満ちた作品に仕上がっている。
子供が泣き出さない程度の恐さもスパイスに散らしてあるが、
基本的には笑って感動出来る、ファミリー向け映画の王道だ。
吉本所属のタレントが随分と出演しているので、
寒いギャグが連発される笑えない映画になるのではという危惧も
若干あったのだが、嬉しいことに裏切ってくれた。
笑いの部分を川太郎役の阿部サダヲと小豆洗い役の岡村隆史が引き受け、
お父さん向けのサービスカットは
妖女アギ役の栗山千明と川姫役の高橋真唯が担当し、
押し付けがましくならない程度の教訓を、
タダシの祖父・俊太郎役の菅原文太や妖怪達がそっと教えてくれる。

そして、これらの豪華出演者の頂点に立つ神木隆之介が
主役としてきちんと存在していることの凄さ、これが一番驚いた。
同級生などとの掛け合いでは実力差があり過ぎてバランスが悪いのだが、
菅原文太や豊川悦司あたりとの掛け合いでは全く違和感がないのだ。
神木隆之介、1993年生まれ。この子こそ「妖怪」である。
神木君に近い役者をハリウッドで探してみると、、、
1992年生まれのフレディ・ハイモア君あたりか。
(「トゥーブラザーズ」「ネバーランド」に出演していた天才子役。
 秋公開の「チョコレート工場の秘密」でもジョニー・デップと共演)
変声期を越えてどうなっているかは不安だが、
2005年現在で言えば日本一の子役ではないかと思う。

劇中に登場する台詞にもある通り、
これは角川60周年を記念した「でっかい祭り」なのだ。
チラシを観て「恐い」と拒絶反応を起こす子供なら無理強いは禁物だが、
「観たい」と言ったなら是非親子で御覧頂きたい。
笑いに関してはかなり「ベタ」なので、子供の目線になって付き合うべし。
小学生ぐらいの子供ならバカウケ確実だ。



角川エンタテインメント
妖怪大戦争 DTSスペシャル・エディション (初回限定生産)

★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
  タイトル:妖怪大戦争
    配給:松竹
   公開日:2005年8月6日
    監督:三池崇史
    出演:神木隆之介、豊川悦司、菅原文太、栗山千明、他
 公式サイト:http://yokai-movie.com/index.html
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
コメント (18)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 「たまごっち」がほとんど何... | トップ | 石を投げればエロに当たる »

18 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (teke@メガテンヲタ)
2005-08-04 09:56:26
あれ?一番乗りかな?



>妖怪の意味を表す英語は存在しない

外国の「妖精」が日本の妖怪に該当するんじゃないでしょか



妖精というとメルヘンちっくというか綺麗(なだけ)なイメージですけど

実際は結構おまぬけだったり怖いことしたりしますよ



(不可解な、)(自然)現象の擬人化というか

小さな(身近な)神様、という意味でも一致しているのでは
返信する
う~ん (がっど)
2005-08-04 10:38:20
妖怪と幽霊との境目も曖昧な部分多い感じしますが。泥田坊とかたんころりんとか。



北欧のほうには

妖怪と似たような扱いの存在は多そうですよね。

自然信仰が盛んだった所には妖怪に近い表現の

言葉があるんじゃないでしょうかね。

返信する
Unknown (YAN)
2005-08-04 10:55:52
EXCITEの和英辞典では



ようかい1 妖怪



a monstrous being [creature]; a monster.



という感じでモンスター,オバケとかを区別していないようですね。



アフリカとかニューギニアなどの未開民族の人たちが

神とも悪魔ともいえる存在として精霊というものの存在を信じていますがこれなども妖怪の一種ともいえるとも思います。



水木しげる先生は軍隊時代に駐留していた

ニューギニアのジャングルでの体験がその後の作品世界に大きく影響されていることを常々語っておられます,昔は日本にもそれらがいたんだと言うことも言われてますね。
返信する
む、 ()
2005-08-05 00:36:36
>teke殿



映画はだいたいいつもこんな感じなのだ。

のんびりできる上に本当に好きそうな方が

来られるのでとても楽しい。



「妖精」か、ううむ。

私もそれは一瞬考えたのだが、

やはり日本においては「妖精」は「ゼルダの伝説」の泉に

フワフワ浮いているあのイメージが強い気がするのだな。



>がっど殿



日本も昔は自然信仰の強い国であったはずなのだが、

いつの間にかそういった文化そのものが

薄れてきている気がする。勿体ないことだ。

「ゴジラ」に出て来る怪獣なども、

自然信仰の表れのようなエピソードの物が多い気がする。



>YAN殿



なるほど、水木翁はそういった経験をお持ちなのだな。

京極夏彦の「姑獲鳥の夏」には、



「私は豊臣秀吉を直接知らない。

 しかし秀吉のことは良く知っている。

 それは残された書物などから形成されたイメージ像なのだ。

 実際に会ったことはないが、よく知っているというのはそういうことだ。

 妖怪についても多くの書物が残されている。

 直接知らないという点では秀吉も妖怪も同じだ。

 ならば、同じように文献が残っているなら、

 妖怪も居て当たり前ということになる。」



というような台詞(うろ覚え)が出てくるのだが、

それを聞いてなるほどと思った。

あの映画での見所はそこぐらいしか無いのだが。
返信する
初めまして♪ (ユウ)
2005-08-05 05:52:12
妖怪は学問として扱っている大学もあって僕もちょこっと講義受けました♪



その受け売りですが日本における幽霊と妖怪にはおおまかには違いがあって、時間帯、目撃者などがポイントです。

まず時間帯、妖怪はトワイライト、幽霊はミッドナイトに出現する。

目撃者、幽霊は怨みをぶつける対象にしか見えない、妖怪はいろんな人が目撃する。

例えば夕暮れ時の色々見間違いやすそうな時間帯に川を通りかかった人が連れている馬が足を滑らせ溺れた時に、人々は川の中に河童を見たって感じです。

どこでも川はあるから印刷技術もない昔から全国各地で色々な呼び名はあれど河童とほぼ近い存在が語り継がれてるワケですね。

これは一例で色んな身近な現象に日本の人々は妖怪を感じたのですね。

雷や台風などの災害に神を見る自然信仰に似てますが、題材が身近なためかなりバラエティーに富んだラインナップになり、また親しみ易い、馴染み深いという事でしょう。



まぁ日本だけと言うと語弊が多少あって世界各地に妖怪に似た存在はあったと思います(中国は西遊記を読むだけでも似てる、と思う所はあるはず)

ただ西洋と東洋では文化的に違いが大きく、例えば竜は西洋では魔術師の操る悪魔的な怪物ですが、東洋では水神様だったり天の使いだったりします。

なんでこんな違いが出たかと言うと、実は西洋でも自然信仰や妖怪的存在も昔は沢山あったケド、主以外の神を認めない某宗教が自然現象のほとんどを神の奇跡、または神から与えられた克服すべき試練≒悪魔などに置き換えたんじゃないかなとも思ったりします。

それでも人気の強いギリシャ神話やケルト神話の怪物、妖精達が我々の目にも入ってるワケですが、日本の妖怪ほど生活臭は感じないかと。



日本には神話時代からの祟り信仰などもあって言い尽くせない感じですが長くなりましたのでこれにて。



とりあえず妖怪大戦争、楽しみです☆
返信する
ちょと補足で (ユウ)
2005-08-05 06:10:00
日本の妖怪は生活臭、てのを簡単にイメージして頂くために例をば。

行灯の油の減りがいつもより速いと、ろくろっ首が舐めてるんじゃねぇか?とか

起きた時、枕が縁起の悪い北枕の位置になってたら、枕返しの仕業だとか

とてもくだらないケドなんかかわいらしい理由から妖怪は生まれてたりするんですよね♪

勿論全部とは言いませんが(^_^;)
返信する
Unknown (teke)
2005-08-05 10:09:32
掲示板の書き込みやら「なぜ少年は犯罪を~」のニュースやらを見ても感じるのですが

必ずどこかには、起こった出来事に何か理由を(作ってでも)付けて(無理にでも)納得したい人がいるんだな~ と思います



「神話がスキ☆」というと胡散臭がる歴史好きな人がいるんですが

そこから当事の生活とか風習とか(他いろいろ)が伺い知れて面白いと思うんですけどねー



>日本の妖怪ほど生活臭は感じないかと。

いや、生活臭い妖精の話もありますよ…

それともそういう話も知った上で「日本の洗濯物が干してあるのは生活臭いけどヨーロッパの洗濯物はオシャレなかんじ☆」

みたいなイメージをお持ちなのでしょうか
返信する
Unknown (ユウ)
2005-08-05 16:11:49
レス有難う御座います☆

僕は日本人にある程度一般的に知られている怪物や妖怪について受け売りも踏まえてお話したつもりでした。

西洋に妖怪的存在が全くいないと思わせるような感じを与えてしまったのなら申\し訳ありませんι



勿論西洋でもいたずら好きな妖精の伝承や靴屋のおじさんを手伝う小人さんの童話とか生活臭のするのも沢山ありますよね♪

ただ日本でポピュラーな神話におけるエルフやユニコーン、キマイラなどのおおまかなイメージに対して生活臭は感じないと言ったのです。

それに僕は神話がかなり好きですし、神話が生まれる背景にはたいてい事件や出来事、習慣が裏にあると思っています☆

ギリシャ神話もゼウスの浮気や妻との痴話喧嘩の話など、実に人間臭いエピソ\ードが満載ですしね♪

パンみたいに妖怪みたいに愉快で変な格好の神様もいますし。



探せばアフリカや南米とか世界中にも色々いそうですよね♪

ちょっと言いたかったのは西洋的な合理的な思想とか科学の発達がそういう存在達を消して来たんじゃないかなぁって所でして(^_^;)

そういう個人的な考えに西洋に対する辛い口調が出てしまいました。

決して西洋の靴屋がオシャレそうだから生活臭を感じないと言ったワケではないですよ(^_^;)
返信する
文化の違いは面白い。。 (椎名@)
2005-08-05 22:37:50
15年ぐらい前に、何かの本で読んだ記憶があるのが、エスキモー達の言葉には、「雪」を意味する言葉がたくさんあるとの事。。

柔らかい雪、積もった雪、凍った雪・・・・・他にも色々あったような気がしますが、それぞれ、別の単語が用意されている、といった内容でした。。

なにぶん昔の記憶の為、細部はきっと違うでしょうが。。



それと同じく、日本では「人外のもの。特におどろおどろしいもの」を様々に区別する言葉がいくつも生まれた、という事ではなかろうか・・・と。。



多少飛躍した妄想(笑)なのは自覚していますが(笑)、それを「日本の文化なんだねぇ」とか思うのも、なかなか楽しいものです。



あぁまとまりがない(笑)
返信する
む、 ()
2005-08-06 21:09:02
>ユウ殿、teke殿、椎名殿



読み物として楽しめる書き込みが多く、とても嬉しい。



サンタの正体を幼稚園で知ってしまった私としては

事実かどうかを問うのではなく

「いないよりはいたほうが面白いよね」という視点で

こうした話や映画を楽しみたい。

返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

作品紹介(映画・ドラマ)」カテゴリの最新記事