一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

田中女流2級、初優勝

2022-04-11 00:26:31 | LPSAイベント
世間ではどのくらい注目されていたか知らないが、先月13日は、東京・府中市にて「第15回武蔵国府中けやきカップ・将棋女流棋士1dayトーナメント」が行われた。
今年の目玉は解説者で、いつもの中座真七段ではなく、羽生善治九段と谷合廣紀四段だった。
若手の谷合四段はともかく、羽生九段がゲストとは驚きで、そういえば以前もLPSAのイベントで森内俊之九段がゲスト出演したことがあったが、今回もよく羽生九段を呼ぶ予算があったものだと思う。
私も見に行きたいが、このコロナ禍で人数制限があり、気が付いたときは募集を締め切っていた。まあ、そうであろう。
そういえば今月16日に天童市で行われる「人間将棋」も、藤井聡太竜王見たさに17倍を超える観戦希望があったという。すまんが私は抽選に参加するほど、羽生九段や藤井竜王を見たいとは思わない。
話を戻して、女流棋士側の目玉は、けやきカップ初参戦の田中沙紀女流2級である。
田中女流2級は1月30日に行われた第77回1dayトーナメント「Minervaカップ」で決勝に進み、渡部愛女流三段に必勝の局面を作りながら、敗れた。田中女流2級に今度こそはの思いがあったことは想像に難くないが、それより自分の将棋を羽生九段に解説していただく栄誉のほうが大きかろう。私には田中女流2級がLPSAに入会したことの成否は分からないが、少なくとも女流棋士会にいたら、今回のような機会はなかった。
今回は中倉宏美女流二段、島井咲緒里女流二段、礒谷真帆女流初段、堀彩乃女流1級、田中女流2級と、5名によるトーナメント。まず島井女流二段が礒谷女流初段に勝ち、その島井女流二段を宏美女流二段が破り決勝進出。反対の山では田中女流2級が堀女流1級を破り、宏美女流二段-田中女流2級の決勝戦となった。
第1回から出場している宏美女流二段は何回目の決勝進出か分からないが、不思議と優勝がない。しかし今回は相手がはるかな後輩であり、さすがに優勝を意識しただろう。
決勝戦開始。なお今回はいつものネット中継のほかに、YouTubeでの中継もあったようだ。
田中女流2級の先手で▲2六歩△3四歩▲2五歩△3三角▲4八銀△8四歩▲7六歩。いままでは飛車先の歩を突かず角道も開けない変態的な将棋が多かったが、ここまでで大駒二枚を働かせ、言うことはない。これだけでも、田中女流2級が大野八一雄七段門下になった意味があった。
将棋は田中女流2級得意の底矢倉に、宏美女流二段の雁木。角を換わったあと、▲8二角(第1図)が、羽生九段が「視野が広いですね」と褒めた好手。以下△6二金▲4二歩△同飛▲9一角成と進み、先手が一本取った。

そこから数手進み、田中女流2級▲4四香(第2図)。

これには羽生九段が「△5二飛▲4六銀△4三歩という感じでしょうか」と解説する。
しかし宏美女流二段は△4四同飛。それは▲6二馬と金を取り、田中女流2級優勢である。以下も田中女流2級が手堅く指し、うれしい初優勝となった。
田中女流2級は女流3級からなかなか上がれなかった苦い過去があるが、最近の将棋を見るに、よく読みが入っていて、ひ弱な面がまったくない。
田中女流2級は女流順位戦D級でも、3勝1敗と健闘している。田中女流2級は今後も勉強あるのみである。そして勝つことしか、他者を見返す手段はないのだ。頑張ってください。
コメント (4)
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