感染症診療の原則

研修医&指導医、感染症loveコメディカルのための感染症情報交差点
(リンクはご自由にどうぞ)

風疹 非常事態宣言(by神奈川)

2013-04-16 | 毎日いんふぇくしょん(編集部)
本来流行するはずでない感染症がそこにあったら、1例でもアウトブレイクというのだ、ということを初期に学びました。

そして、疫学的リンクのある複数症例があったらすぐに対策を講じなさい、と。
それは医療関連感染症での学びでしたが。

麻疹では「一人出たらすぐ対応」が徹底されていますが、麻疹風疹対策ではなく麻疹対策はすすめられたものの、風疹対策が遅れてしまいました。

そして、地域で、ヒト-ヒト-ヒト-ヒト-ヒト感染がおきていて、母子を脅かすというもっとも優先度の高い軸をもつ風疹について(インフルエンザとは別の軸)、「いやー増えているねえ」と眺めるのはおかしなことになっています(世界的には)。

妊婦さん気を付けてね!というずれた他人事の掛け声ではだめらしいと気づいた自治体が対応を始めていますが、昨日の相模原、川崎、横浜のワクチン接種費用の助成の影響があったかなかったのかは確認していないのでわかりませんが、今日は神奈川県が緊急事態宣言をしました。

「風疹流行 神奈川県が非常事態宣言 患者数503人に」

東京はとっくに非常事態でしたので、神奈川都民、千葉都民(寝るときや住民票は県にあるけど活動している時間帯の多くは東京都の人)が多い地域でひろがらないわけがない。

20-40代の働く男性が多い、満員電車に乗る、窓のあかない(喚気の悪い)ビルのなかで仕事をいているような条件が整えば、広がることはわかっていたわけです。

503人のインパクトが分からない方もいるでしょう。おおざっぱにいうと感染症はすそ野が大きく、把握されている数字は「過小評価」になりがちです。



できることを今しましょう。

「今でしょ!」とアピールしている先生方の取り組みは、今日の9時からのNHKみるかことができます。
キャスターの大越さんは小児科でMRワクチンを接種したそうですね。

「小児科にて」4月3日
以下は一部抜粋:
------------------------------
番組では、風疹の抗体を持たないまま妊娠、感染し、出産したさいたま市の女性を取材した。4か月の息子は両耳が聞こえにくい「先天性風疹症候群」と診断された。女性は、予防接種を受けていなかった自分を責め続けている。

「予防接種を打っておいた方がいい。というくらいの認識で、風疹になったらどんなことになるのかという事実を知らないまま妊娠してしまいました。たった1本のワクチンを打っていたら・・・」。
風疹は患者の咳やくしゃみを通じて感染するが、この女性の場合、身近に風疹の感染者はいなかった。通勤電車の中で感染したのではないかと考えているという。

そのリポートを放送した責任者でもあるぼくとしては、万が一にも自分が感染者になるわけにはいかないと思った。
-------------------------------

以前ブログを紹介させていただいたカニママさんもニュースに協力をされたそうです。

ぜひその活動をご支援ください。
この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 妊娠と安全な感染症治療薬 | トップ | 旧式DVDプレーヤーを簡単なCD... »
最新の画像もっと見る

毎日いんふぇくしょん(編集部)」カテゴリの最新記事