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B型肝炎ウイルス での 劇症肝炎

2012-03-14 | 毎日いんふぇくしょん(編集部)
劇症肝炎はいろいろな原因でおこります。原因不明の場合もあります。

ネットで買ったあやしげな「やせぐすり」「サプリメント」などで死亡する事例はなくなりませんん。

正式に、研究者や製薬会社が動物実験から臨床試験をし(時間とお金をかけて)、その国の政府に認可されたもの以外は、何が入っていて、それをどれくらいの量とると何がどうなるのかは誰にもわかりません。



B型肝炎ワクチンのユニバーサル化がすすめば、後の人生でこのようなリスクを減らすことができます。


3月13日の読売新聞に、乳がんで抗がん剤投与後にB型肝炎が劇症化して女性が死亡した事例についての和解の話が掲載されていました。

遺族が求めた損害賠償請求は7900万円。地方裁判所での和解金額は6280万円とのことです。

新聞によると、女性はHBVキャリアで、2008年に外科手術、2009年に抗がん剤とステロイド剤投与。そのあと劇症化。


昨年9月の読売新聞では、「治癒B型肝炎、新薬治療で劇症化…18人死亡」という記事が掲載されていました。


どの治療も必要があって検討/開始されるわけで、軽度のアレルギー反応から死亡まで、様々な有害事象が発生するリスクがあります。
同じ病名でも患者さんによって部位や病気の進行状況、他の合併症があるのかどうかや年齢や性別まで個別の話になります。
皆が同じような反応、経過ということにはなりません。

判決文を読まないと何が問題点だったのかはわからないのでこれ以上のことをかけませんが、新聞記事は「医療過誤」という扱いになっています。

(医療関連の裁判に関心を持ったら、こちらのサイトで過去の様々な事例を勉強してみてください。治療もそうですが、事例ベースが理解しやすいです~)


皆さんはこの問題をいつから知っていましたか?
一応、いつ頃どんな情報があったのかみてみましょう。

専門誌の特集記事 「B型肝炎ー病態解明と治療の最前線」

2009年 「免疫抑制・化学療法により発症する B 型肝炎対策 ―厚生労働省「難治性の肝・胆道疾患に関する調査研究」班 劇症肝炎分科会および「肝硬変を含めたウイルス性肝疾患の 治療の標準化に関する研究」班合同報告」
「肝臓」に掲載

2009年 日本肝臓学会 からの情報 (医療従事者の皆様へ)
「免疫抑制・化学療法により発症するB型肝炎対策ガイドライン」

日本リウマチ学会 からの情報 「B 型肝炎ウイルス感染リウマチ性疾患患者への免疫抑制療法に関する提言」

2010年 日本での劇症化、さらに家庭内水平感染の事例
「Fulminant hepatitis B and acute hepatitis B due to intrafamilial transmission of HBV after chemotherapy for non-Hodgkin's lymphoma in an HBV carrier.」


ワクチン情報をみるかぎり、B型肝炎情報が、学校時代からさっぱりUpdateされていない医療者が一定数いますよね。

まずUpdate情報をみておかねば。 Treatment of Special Populations With Chronic Hepatitis B Infection
Medscape 2011年

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