感染症診療の原則

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日本の医師が知らない話

2007-08-04 | 毎日いんふぇくしょん(編集部)


ブログ編集部です。夏休みネタを続けます。

夏休み明けに若年層の中絶や性感染症が多いことをご存知でしょうか。
知恵と技術は不足していますが機会は増えます。アルコールやドラッグもからんでいてやっかいです。医療機関への相談も当然増えるわけです。

日本のドクターとの雑談のなかで気づくのですが、なんでこんなに皆知らないんだろう?と思うのがEmergency Contraceptionです。

日本語では「緊急避妊」ですが、ちまたの女性雑誌では「モーニングアフターピル」などと書かれていることもあります。

リスク行為から72時間以内(薬剤によっては120時間以内)に内服、妊娠経験があればIUDも選択肢になります(120時間以内)。

コンドームが破けた!とあわてて連絡してくる場合夜間だったりしますので当直のときに相談されることもあるかもしれません。
産婦人科医でなくても出せますのでいちどぜひ勉強をしておいてください。
(そんなの日本にはない!といわれたり、間違った処方をされることがとても
多いのです)

フランス・カナダはじめ多くの先進国&途上国ではすでに処方箋なしで買え、米国もトレーニングを受けた薬剤師が医師の処方箋なく出せるようになりました。
イギリスでは学校の保健室のナースも出せます(14歳以上)。

日本には専用薬剤(PlanB:レボノルゲストレル単独)がないため、中用量ピル(プラノバールかドオルトン)で代用しています。すぐに2錠、12時間後に2錠、計4錠を処方します。服用してから21日以内に出血がおこるのを待ちます。

自由診療のため値段がついておらず病院によってまちまちで、私が知る範囲で、都内で一番やすいのは500円、一番高いのが30000円です(これはボッタクリな気がしますが)。

妊娠を希望していないのに、避妊をしない性行為は女性にとっては妊娠リスクが生じます。諸外国では傷害罪として扱われることもありますし、東京都のDV調査ではパートナーが避妊に協力しない・手をぬく行為はDVと定義されています。

日本人がよく「安全日」ということばを口にしますがそんなものはないんだよ(そもそも正確に把握できるわけもない)、と早いうちに学習が必要です。「避妊がいらない日がある」という誤解も緊急避妊の需要を大きくしています。

本人が合意していない(犯罪としての)性行為の場合は特に性感染症の検査も必要になりますのでオーダーをお忘れなく。(何をオーダーするか、などは青木編集長の本にも書いてあります)

現在、犯罪がらみの場合、緊急避妊などの費用は公費補助制度(犯罪被害給付制度)があります。お近くの警察署に問い合わせると手続法がわかります。

ちなみに緊急避妊専用ピルについては現在国内臨床試験がすすんでいます(バイアグラみたいにささっと出してくれたらいいのに)。

薬物混入 相次ぐ性的暴行
http://www.yomiuri.co.jp/komachi/news/mixnews/20070714ok01.htm?from=os1
プリンストン大学の専用サイト
http://ec.princeton.edu/


(写真は研修医Party用臨時靴箱)
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