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ワクチンについての「よくある誤解」、と「関連性の検討」

2011-03-09 | 毎日いんふぇくしょん(編集部)
一般の人のなかには医師・医療関係者は予防接種について全員詳しいのだと思っている方もいます。
実際はその期待を裏切る状況がありますし、少なくとも考え方やスタンスの違いというのもあります。

自分が質問や相談をした人からかえってくる情報やレスポンスを、どう受け止めるのか。
同じネット上の情報をみても、解釈や判断が人によってちがうわけです。
そのフィルター/リテラシーなども、今後の啓発上考えていく話題のひとつです。

なんで、そう考えるんだろう???です。

リスクばかりが強調されるのはよくないので、分母情報無いまま死亡例だけ報道するなどはよくないですね。また、ネガティブ情報は1例でもおどろおどろしく報道するのに、ワクチンで得ているメリット(病気や後遺症、死亡例の削減)はなかなか報じられません。

頻度の数字は大事ですね。分母情報は必須。


下記の「よくある誤解」は参考になりそうです。
CDCが作成した資料にWHOが加筆したものがWHOのサイトで紹介されています。
「予防接種についての6つの誤解」2010年12月10日更新
Six common misconceptions about immunization
これは一般の人向けです〜。
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誤解その1.
(ワクチンで感染症が減ったというが)衛生状態の改善により、ワクチンが開発される前から、実はその感染症は減っていた

誤解その2.
ワクチンを接種しても多くの人がその感染症になっている。

誤解その3.
ワクチンのなかには、他のワクチンよりも死亡や有害事象の多い特定のロットがある。保護者はこの有害なワクチンをみつけ、子どもへの接種をさせないようにしなければならない。

誤解その4.
ワクチンは多くの有害な副反応や死亡につながっている。長期間の効果は知られていない。

誤解その5.
ワクチンで予防できる病気は自分の国では流行していないようにみえる。だから、自分の子どもにはワクチンは不要である。

誤解その6.
複数の感染症のワクチンを同時に接種することは、有害な副反応の危険を高めることにつながり、免疫に大きな負荷をかけることになる。
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あるある大辞典です。

誤解というか、予防接種関連でよくあるデマに「不妊」「根絶やし」があります。

世界ではすごい予算をかけてポリオ根絶計画にとりくんでいますが、ポリオの根絶がうまくいっていない国が数カ国あります。宗教なども影響していますが、「アメリカをはじめとする先進国がわれわれを根絶やしに来た!」という噂がバリアになっていたりします。

HPVワクチン反対のチラシをみたときに、「おお〜あの数カ国と同じようなリアクションがっ!」と衝撃がありました(本当に先進国じゃないのかもしれない・・)。

このほかに、新しいワクチンが導入される、同時接種をすることで、乳幼児の死亡(突然死)が増えるかどうかということは昔からいわれています。



赤ちゃんが接種するワクチンは0歳〜幼児期に多く、特に同時接種の多い0歳時は、SIDSの発症ピークと時期が重なっています。このため、米国CDCは研究を継続しています。

“found no association between immunization and deaths in young children”

医師・当事者・保護者等が自発的に有害事象を報告できるシステムがあるからで、それはエクセル/CVSデータで誰でも全データを見ることができ、関連性については専門家が常に検討しているという制度があるからいえることです。分母、分子、その背景情報、検討プロセスの透明化が信頼につながっています。

米国の小児科専門団体が1992年に出した健康な児のうつぶせ寝についての推奨事項、およびNational Institute of Child Health and Human Developmentのうつぶせ寝キャンペーンの結果、SIDSの報告数は減少しています。

"Targeting SIDS: A Strategic Plan"

■1992年から1998年にかけて、胃を下にしたうつぶせ寝は70%から17%に減少
■1992年から1998年にかけて、SIDS は1000例に1.2例あたりから0.72例へと40%減少。

この取り組みから、SIDSでの死亡は胃を下にした寝かせ方、タバコの煙への曝露、マイルドな呼吸器感染症がかんれんしていることが把握されました。

IOM 『Immunization Safety Review:
Vaccinations and Sudden Unexpected Death in Infancy
』 2003年

三種混合+不活化ポリオ+Hibワクチンの接種が3ヶ月以下の乳児死亡を増加させるかどうかについてのフランスでのケースコントロールスタディ
Sudden unexpected death in infants under 3 months of age and vaccination status- -a case-control study
Br J Clin Pharmacol. 2001 Mar;51(3):271-6.
生後30-90でのSUD114例と、341例を比較(同じ施設で生まれた児の年齢と性別をマッチング)。
結果、ワクチン接種でのSUDのリスクは高くなっていなかった(オッズ比 1.08:95% CI 0.49―2.36)

こちらは、2007年、ドイツでのケースコントロールスタディ。
Sudden infant death syndrome: no increased risk after immunisation
Vaccine. 2007 Jan 4;25(2):336-40

SIDS 307例と、971例のコントロール。
コントロール群と比較して、SIDS群は予防接種をよりしていなかった(immunised less frequently)
接種後14日以内のSIDSリスクの上昇もなかった。
新たに導入された6価のワクチンでSIDSリスクが高まるというエビデンスはみられなかった。

※6価のワクチンとは、DTaP-Hib-IPV-HepBです。つまり、三種混合+不活化ポリオ+Hib+B型肝炎の6種類。

(日本でも個人輸入で5種混合、6種混合ワクチンを接種してくださる医療機関があります)

WHOによる6価ワクチンの安全性についての評価。

6価のワクチンがヨーロッパで導入されたのは、なんと10年前の2000年。
その後、ドイツではSID増加の懸念から、3年間のモニタリングデータによる評価が行われた、という話。

カナダ政府予防接種安全検討部門による、混合ワクチン、6種混合ワクチンについての評価。

SIDSについては、米国ジョージタウン大学に情報センターがあります。文献などはこちらに豊富に。

日本のSIDS発生率は減少中とのことです。
統計はこちらの資料に。
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