感染症診療の原則

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ブロードスペクトラム文化の「外部性」

2009-05-02 | 青木語録
へそ曲がり編集長は依然として豚ネタ以外の本ばかり読んで連休を過ごしています。(ちなみに昨晩CNN見ていたら、ウイルスの由来を考えてもう「豚」という言葉を使わない・・とか言っているWHOの人が居たような・・)

最近、中谷巌氏の本を読んでいたら「外部性」という概念が出てきました。平たくいうと、あるシステムで測定対象となっていないものを指しているようです。以下引用です。「たとえば、資本主義が発達して、消費生活がさかんになった結果、伝統的な生活習慣が失われたとする。・・(中略)その損失が金銭で表せないのであれば、それは経済学の対象とはならない。まさに「外部性」なのである。(資本主義はなぜ自壊したのか 集英社)」

「何でも殺せる高価だが強力なブロードスペクトラム抗菌薬で、医師は楽ちん、塗沫・培養・細菌室不要・・」このような文化の外部性とは、丁寧な病歴・身体所見の検討、更にグラム染色などによる起炎菌の想定・同定による安全で安価、環境に優しい暖かな感染症診療の消失、研修医と細菌室とのDistancingであったと思いました。

「重症だからブロードスペクトラム・・」といった世界に曝露する前に、"母校"沖縄県立中部病院でK師匠に感染症のイロハを習った幸いを改めて思います。

時にガラパゴス島と呼ばれる母校もアジアで最も幸福な国と呼ばれるブータンも、不思議と"Gross National Happiness”が高かったように思います。
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