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“専門家”

2011-04-28 | 非・悲・否・避「常識」
今朝のフジテレビとくダネ!で、福島第一原発の中に入って所長や職員、原発の様子を視察してきた青山敏晴さんが状況を映像とともに解説していました。

経歴は共同通信→三菱総研→独立。
経済産業省の総合資源エネルギー調査会専門委員を無給で務め、内閣府の原子力委員会原子力防護(核セキュリティの専門部会専門委員もされているそうです。

視察の内容についてはBlog「出会いに感謝☆」で詳しく紹介されています。

暑い季節になったら防護服での活動は今以上にきつそうです。


事件は会議室ではなく現場でおきているわけですが、大手メディアは社員について●Km圏内立ち入り禁止ということになっているそうで、周辺状況含めて情報が不足してたのは事実です。

今回の報告で「そうなんだ」と思ったのは、「一般市民やジャーナリストは無理だけど、専門家は手続きをすれば入れる」ということです(落ち着いたので)。

しかし「今まで専門家から中をみたいという希望はなかった」のだそうです。

(ほんとですか?)

記者会見等で知ったのですが、原子力安全委員会には5名の委員がいるそうです。
さらに、この下に専門審査会、部会、などにかかわる専門家集団がいて構成員は500名近い(週刊東洋経済)とのこと。

法律 原子力委員会及び原子力安全委員会設置法(昭和30年12月19日法律第188号)と関連図


日本にはそんなに専門家がいるんですね!(期待します)

この5名の委員は週に1回の会議に参加。ですが、「常勤扱い」です。議事録を見るとすごく短い会議らしいです。

その報酬を見てびっくりしました。まず、委員は月額93万6千円。委員長になると少し高くて(なぜよ)月額106万円。 
年収にして約1600万円(会議が短いので、1分あたり5000円という計算をしている人がいます。時給じゃなくて分給です)。

現在の委員長は斑目(まだらめ)さん。

この方は、地震翌日の3月12日に、菅首相とヘリで福島第一原発にむかったときに「総理、原発は大丈夫なんです。構造上爆発しません」と発言したと報道されています。(毎日新聞)しかし、15:30すぎに1号機は爆発。ひー。

おどろきました?

(「日本人は清潔好きだからHIVは広がらないよ」(えらいお医者さんたち)といわれたときに似た衝撃があります)

おどろくのはまだ早いです。3月23日の国会での福島瑞穂議員とのやりとりがあります。

議員「2007年浜岡原発の裁判で、あなたは「非常用ディーゼル発電機が2機とも起動しなくなったら大変なことになるんじゃないか」と質問され、「そういう事態は想定しない。想定したら原発は作れない。割り切らなければ設計は出来ませんね」と答えていますね。」

「裁判でこれは争点だったんですよ。想定されていたんです。それを無いと言ったあなたに責任はある。」

回答がむにゃむにゃむにゃ。
(この裁判についてはこちらをご覧ください。発言の責任は重いです。(NPJ通信

国会でのやりとりは動画があります。「Blogエコドライブ日記」で紹介されています)


・・・あ、イスから落ちました? いやいや、もう一度座ってください。続きがあります。

斑目さんは昨日4月27日(水)の衆院決算行政監視委員会に参考人として出席。

国の防災基本計画では、原子力災害の発生時には、同委の「緊急事態応急対策調査委員」ら専門家を現地に派遣すると定められているのですが、この委員会で班目委員長は「地震発生直後に現地に派遣したのは事務職員1人だけだった」と説明。

委員5名+この国の専門家集団はどこで何をしていたんですか?

さらに昨日判明したのは、「安全委員会が福島に設置した政府の現地対策本部に専門家2人を派遣したのは4月17日」です。(知事にも会わずに帰京)

ばかやろー!って思いますか?

それもありかもしれません。しかし、リスクマネジメント的に考えると、原子力の“専門家”といっても関心領域や得意分野がいろいろであって、「原子力好きだ~マジはまったぜ」と研究ライフを謳歌されている大学の教授を“専門家”と思い込んでしまうと、ずれそうです。
有事の危機管理訓練経験や能力なんてよくわかってないんじゃないの?と思うわけです。
そもそも能力を超えたことを期待しているんじゃないか?

だとしたら、「この人を国の原子力安全の委員・委員長にしよう」と選んだ人の責任、承認した会議の責任も問われます。今もこの人でいいんかい・・。

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今日の合同記者会見は16時30分から。ニコニコ生放送で誰でもみることができます。
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