感染症診療の原則

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Disclosure, Apology and Offer  ~Apologyプログラムのアウトカム

2012-05-21 | Aoki Office
海外出張の多い編集長&編集部ですが、国によって、医療における「望ましくない結果」が起きた時の反応や対応が、個人・組織・メディアによってずいぶんちがうなーと感じます。

大きくわけると、Blame & Claimカルチャーと、そうでないところとあります。
オランダ、デンマークなどでは医療訴訟そのものがとても少なく、逆に米国では、訴訟の保険に入ってるとわかると看護師でもああだこうだと訴えられることがある(から、保険については教えない)という話を聞いたばかりです。

そのカルチャーの一番の問題は、コストがかかるよねえ、ではなく、システムエラーやヒューマンエラーの構造や誘発因子が闇の中のため、結果として再発を繰り返したり健康被害が減らないという問題です。


で、5月21日の英語メディアの記事:Massachusetts hospitals launch patient apology program は、患者対応を見直し、投資した結果、全体のコストもさがった、という話が紹介されています。

なぜ謝罪と費用がリンクするかというと、患者・家族の健康リスク・実害発生 → 賠償の訴訟発生 となるからであり、医師個人が入っている保険や病院が入っている保険の掛け金、賠償命令による支払、の他いろいろなことにつながっているからですね。

もちろん、倫理や哲学的なことも入ってくる話題ではありますが、病院上層部を動かす際には、このように「対策(プログラムを導入・実践)をしたほうが、皆にとって良い結果になる」という根拠の提示として重要だと思います。

2010年の記事: "I'm sorry": Why is that so hard for doctors to say?もぜひお読みください。


ときどき、謝ったら落ち度があるとおもわれるのでは?訴訟上不利になるんじゃないか、という意見を聞きます。
しかし、寺澤先生(当直のよるにビビらない医者になりたくて)が何度も若手医師セミナーで教えてくださっているように、「救えなかった、その事実については、心からお詫びしたい」という誠意はとても大切なのだ、それを伝えられる医者になりましょう、という言葉を思い出しました。必ずしもエラーの話ではないですが。

今年も若手医師セミナーのERのお話に寺澤先生は登場してくださいます。お楽しみに。

ソーリー・ワークス!: 医療紛争をなくすための共感の表明・情報開示・謝罪プログラム
医学書院


Sorry Works! 2.0: Disclosure, Apology, and Relationships Prevent Medical Malpractice Claims
Authorhouse



Talking with Patients and Families about Medical Error: A Guide for Education and Practice
クリエーター情報なし
Johns Hopkins Univ Pr





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