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市中でささやかれている放射能対策

2011-07-23 | 非・悲・否・避「常識」
新型インフルエンザのときにも、いろいろな提案があり、またビジネスも展開されていました。

米国FDAは効果が確認できてないもの、有害のリスクがあるもの、などをとりあげて公開し、消費者への注意喚起を行いました。

日本では、東日本大震災のあとに「ご自宅の放射線量を測定してあげますよ」と近づいてきて高い費用をふっかける、ハエ対策になる、とあやしげな粉とか薬剤(?)を訪問販売したりといったことが報じられています。

その他にも話題になっているものがいくつかあります。
【注】以下、本ブログはおすすしません。が、健康の相談にのる仕事の人は「話題」として知っておいた方がよいかも。


プラセボ効果、といわれているホメオパシー。
事故当初ホメオパシー系では、無料配布を行っていました。
ホメオパシーに詳しい薬剤師さんの解説。
ホメオパシーはSugarだからいいじゃないかという方もいますし、本来の医療アクセスをさまたげるのでよくない、という意見もあります。

今日新発売のレメディにはフクシマの文字。どうやってつくったかというと、福島の土の希釈。

「RA Fukushima 1-S-2」30C 7月23日新発売



サプリメントもいろいろ宣伝されています。
例えば、「ヨウ素食品スピルリナ放射能濃度減少チェルノブイリ原発事故で実証サプリ」とか。

「スピルリナ」は検索すると関連情報がたくさんヒットします。説明を読んでみましょう。

「骨髄と血球においての放射性物質デトックス作用」

その機序は、「スピルリナが放射性物質に対して効果を持っている理由の一つとして、重金属や放射性同位体とスピルリナが結合する能力を持っていることが挙げられています。
多くの調査において、重金属の大部分はタンパク質の中に存在することがわかっています。このことから、 メタロチオネイン(重金属と結合するタンパク質)というスピルリナ中に高い値で存在する成分が、放射性同位体や重金属の体外への排出を促進したと言う仮説がたてられています。加えて、スピルリナは動物実験において水銀、鉛、およびカドミウムの毒性、 人体を対象にした臨床実験において、砒素の毒性をそれぞれ減少させることが発見されています。」

医療とか、科学の訓練を受けた人は、口あんぐり、かもしれませんが、世の中には「よさそう♪」と受け取る人たちもいます。



感染症系として気になるのは「EM菌」です。「菌」ですからっ。

そんな菌しらねえなあ、、という感染症専門の方はWikiを読み、

それがいま放射能とどのような関係があるかについては、こちらの解説などを参照に、

そして菊池先生の解説で、今どのような取り扱いになっているのかも知っておくとよいとおもいます。


外来でそのうち菌の質問や相談を受けるかもしれません・・・。皆々様、心の準備を。

さらに。
「コメのとぎ汁で放射性物質を排出させる」という試みもあります。

方法は、米のとぎ汁をペットボトルに入れて、数日~1週間ほど寝かす(もし臭かったら失敗なのでやり直します。酸っぱい水ならOK)→発酵した米のとぎ汁を霧吹きで室内に噴射し、それを吸込む(吸い込んだ放射性物質によって痰の色が違う)。

お金かからないし、効果なくても本人がやりたきゃいいんじゃね?とう意見もあるそうですが、
たいていの場合、このような話の先に、「これをお手軽にできるサプリがありますよ」となっています。


これを飲料にして子どもに飲ませるという親もいるそうです(やめましょうね~)。

ということで、下痢や嘔吐など、別の感染症になってERなどに来る可能性もあります。
問診だいじです。
キーワードは「米のとぎ汁」「乳酸菌」「酵母」「光合成」。小耳にはさんでおきましょう。
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