(1)9月7日、国際オリンピック委員会総会における最終プレゼンテーションで、安倍晋三・首相は、福島の状況を「The situation is under control」(状況はコントロール下にある)と発言した。「私が安全を保証します。状況はコントロールされています」 「港湾内で完全にブロックされている」
(2)9月13日、山下和彦・東京電力技術顧問は、「今の状況はコントロールできていない」と、安部首相の「国際公約」を否定した。
(3)9月19日、安部首相は東京電力に対して、停止中の5、6号機について「事故対処に集中するため、廃炉を決定してもらいたい」と要求した。
(4)今も一定量の放射性物質が外海に流出し続けていることは科学的に疑いがない事実だ。研修者の間でも認識は一致している。事故直後の2011年3~4月に海へ放出された放射性物質は3,500兆~5,000兆Bqと、今よりケタ違いに多い。その後、現在まで毎日漏れている量を全部足しても、最初に出た量の1%にも及ばない。【神田穰太・東京海洋大学教授】
東電の試算でも、2011年5月以降に漏れ出した汚染水の放射性物質の総放出量は、セシウム137で20兆Bqとされる。これ自体とんでもない数字だが、事故直後に放出された量は、それをはるかに上回る尋常でない数値だった。
(5)これまでに海洋汚染で、太平洋の魚にはどんな影響が出ているか【注】。
海水1リットルあたり1Bqを超えると、基準値の100Bq超の魚が出やすくなる。今、1Bqを超えているのはフクイチのごく近海だけで、魚から検出されている数値は下がり続けている。太平洋は非常に広いので、放射性物質は薄まっていくし、海魚は塩と一緒に放射性物質をどんどん対外へ排出する。汚染が同じ場所にとどまる陸上のほうが、被害は深刻だ。【神田教授】
(6)海魚と比べて、希少な塩分を体にため込む性質のある川魚のほうが、放射性物質を取り込みやすい。
原発事故後、福島県や北関東のヤマメ・イワナなどから高い放射線量が検出された所以だ。
(7)顕著な海洋汚染はまだ現れていないが、汚染が現在も進行中である事実は変わらない。
海中に放出された放射性物質は、海底に沈むが、海底での堆積や生物への蓄積するメカニズムはまだよくわかっていない。「安全」という判断は、慎重に行わなくてはならない。
9月18日発表の水産庁調査結果によると、
(a)福島県沖のババガレイ・・・・170Bq/kg
(b)同エゾイソアイナメ・・・・370Bq/kg
などと、海底近くに棲息する魚から特に高い放射線量が検出される傾向がある。
(8)今後さらなる危機が太平洋を襲う可能性がある。
もっとも警戒を要するのは、高濃度の汚染水をため込んだタンクだ。タンク1基分の汚染水が漏れると、一気に数十兆Bqが放出される。近海の魚からも、再び高い数値が検出される事態となる。
8月に発覚したタンク漏れ汚染水300トン。このときは24兆Bqが放出された。
東電は、いま事故が起きたのと同型タンク350基の取り替えを計画している、というが、いかにも危うい。
時期も発注先もまだ決まっていない。
(9)怖いのは地震だ。本来は基礎を念入りに造らなければならないのに、今は基礎のコンクリートにヒビが入っている。被曝の問題もあって、十分な作業ができないという事情があるにしても、強い揺れで底が割れる恐れがある。【筒井哲朗・「プラント技術者の会」/国内外石油プラント建設従事者】
【注】
「【原発】福島第一原発周辺の海水汚染続く ~魚介類から放射性セシウム~」
「【原発】【食】東日本太平洋沖で獲れた魚介類8体からセシウム検出」
「【原発】汚染された魚介類が慢性的に流通 ~スーパーマーケット~」
「【原発】放射能と東京オリンピック招致」
「【原発】大手スーパーの真鱈から放射能検出 ~関東・東海地方~」
「【原発】東京湾の汚染」
「【震災】原発>東京湾に放射能汚泥が堆積中 ~海の汚染~」
「【震災】原発>無防備都市--東京を覆う放射能」
「【震災】原発>食卓の放射能汚染、2012」
「【震災】原発>海洋汚染の拡大・・・・表層から海底へ、海のホットスポット、陸から海へ」
「【震災】原発>海洋汚染 ~グリーンピースの調査・水産学者の「原子力村」~」
「【震災】原発>海洋汚染の隠蔽」
「【震災】原発>海洋汚染の隠蔽・追記」
「【震災】原発>汚染食品のデータをどう読むか」
「【震災】原発>海洋汚染の拡大・・・・表層から海底へ、海のホットスポット、陸から海へ」
□小泉耕平・河嶌太郎(本誌)「汚染水の湾外流出は「周知の事実」 止まらぬ太平洋汚染の“意外な"実態」(「週刊朝日」2013年10月4日号)
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【参考】
「【原発】銀行はボロ儲け ~汚染水に国費投入~」
「【原発】【食】関東の食材からセシウム ~安部首相的「安全」の実態~」
「【原発】最悪の事態を防いだ2つの幸運 ~失われた沃野と海~」
「【原発】汚染水を浄化できるか ~福島第一原発はどうなっているのか~」
「【原発】今、そこにある汚染水危機(3) ~次の震度6~」
「【原発】今、そこにある汚染水危機(2) ~汚染水は海で薄められるか~」
「【原発】今、そこにある汚染水危機(1) ~封じ込めは可能か~」
「【原発】安倍政権、「収束宣言」を撤回 ~汚染水~」
「【原発】廃炉費用を電気料金に上乗せ ~制度を変えた経産官僚は出世~」
「【原発】ウソだらけの汚染水「緊急」対策 ~安部首相の抽象論~」
「【原発】国の汚染水対策3つ ~「汚染水は海に流せ」?~」
「【原発】「東京五輪」を脅かすフクシマ ~ダダ漏れ汚染水地獄~」
「【原発】なぜ汚染水は漏れたか ~誤算・ケチケチ体質~」
「【原発】政権の最優先課題 ~汚染水と廃炉作業~」
「【原発】責任不明確な国の汚染水処理体制 ~再稼働よりも汚染水対策を~」
「【原発】「汚染水」の本当の深刻さ ~東電のコストカットが一因~」
「【政治】安倍“異次元”政権の思想と行動 ~「馬脚をあらわす」兆候~」
「【原発】安部政権の演出と狙い ~高濃度汚染水の海洋流出~」
「【原発】福島第一原発で汚染水が海洋流出 ~漁民の被害は止まない~」
「【原発】福島第一原発周辺の海水汚染続く ~魚介累から放射性セシウム~」
「【原発】【食】東日本太平洋沖で獲れた魚介類8体からセシウム検出」
(2)9月13日、山下和彦・東京電力技術顧問は、「今の状況はコントロールできていない」と、安部首相の「国際公約」を否定した。
(3)9月19日、安部首相は東京電力に対して、停止中の5、6号機について「事故対処に集中するため、廃炉を決定してもらいたい」と要求した。
(4)今も一定量の放射性物質が外海に流出し続けていることは科学的に疑いがない事実だ。研修者の間でも認識は一致している。事故直後の2011年3~4月に海へ放出された放射性物質は3,500兆~5,000兆Bqと、今よりケタ違いに多い。その後、現在まで毎日漏れている量を全部足しても、最初に出た量の1%にも及ばない。【神田穰太・東京海洋大学教授】
東電の試算でも、2011年5月以降に漏れ出した汚染水の放射性物質の総放出量は、セシウム137で20兆Bqとされる。これ自体とんでもない数字だが、事故直後に放出された量は、それをはるかに上回る尋常でない数値だった。
(5)これまでに海洋汚染で、太平洋の魚にはどんな影響が出ているか【注】。
海水1リットルあたり1Bqを超えると、基準値の100Bq超の魚が出やすくなる。今、1Bqを超えているのはフクイチのごく近海だけで、魚から検出されている数値は下がり続けている。太平洋は非常に広いので、放射性物質は薄まっていくし、海魚は塩と一緒に放射性物質をどんどん対外へ排出する。汚染が同じ場所にとどまる陸上のほうが、被害は深刻だ。【神田教授】
(6)海魚と比べて、希少な塩分を体にため込む性質のある川魚のほうが、放射性物質を取り込みやすい。
原発事故後、福島県や北関東のヤマメ・イワナなどから高い放射線量が検出された所以だ。
(7)顕著な海洋汚染はまだ現れていないが、汚染が現在も進行中である事実は変わらない。
海中に放出された放射性物質は、海底に沈むが、海底での堆積や生物への蓄積するメカニズムはまだよくわかっていない。「安全」という判断は、慎重に行わなくてはならない。
9月18日発表の水産庁調査結果によると、
(a)福島県沖のババガレイ・・・・170Bq/kg
(b)同エゾイソアイナメ・・・・370Bq/kg
などと、海底近くに棲息する魚から特に高い放射線量が検出される傾向がある。
(8)今後さらなる危機が太平洋を襲う可能性がある。
もっとも警戒を要するのは、高濃度の汚染水をため込んだタンクだ。タンク1基分の汚染水が漏れると、一気に数十兆Bqが放出される。近海の魚からも、再び高い数値が検出される事態となる。
8月に発覚したタンク漏れ汚染水300トン。このときは24兆Bqが放出された。
東電は、いま事故が起きたのと同型タンク350基の取り替えを計画している、というが、いかにも危うい。
時期も発注先もまだ決まっていない。
(9)怖いのは地震だ。本来は基礎を念入りに造らなければならないのに、今は基礎のコンクリートにヒビが入っている。被曝の問題もあって、十分な作業ができないという事情があるにしても、強い揺れで底が割れる恐れがある。【筒井哲朗・「プラント技術者の会」/国内外石油プラント建設従事者】
【注】
「【原発】福島第一原発周辺の海水汚染続く ~魚介類から放射性セシウム~」
「【原発】【食】東日本太平洋沖で獲れた魚介類8体からセシウム検出」
「【原発】汚染された魚介類が慢性的に流通 ~スーパーマーケット~」
「【原発】放射能と東京オリンピック招致」
「【原発】大手スーパーの真鱈から放射能検出 ~関東・東海地方~」
「【原発】東京湾の汚染」
「【震災】原発>東京湾に放射能汚泥が堆積中 ~海の汚染~」
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「【震災】原発>食卓の放射能汚染、2012」
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「【震災】原発>海洋汚染の隠蔽」
「【震災】原発>海洋汚染の隠蔽・追記」
「【震災】原発>汚染食品のデータをどう読むか」
「【震災】原発>海洋汚染の拡大・・・・表層から海底へ、海のホットスポット、陸から海へ」
□小泉耕平・河嶌太郎(本誌)「汚染水の湾外流出は「周知の事実」 止まらぬ太平洋汚染の“意外な"実態」(「週刊朝日」2013年10月4日号)
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【参考】
「【原発】銀行はボロ儲け ~汚染水に国費投入~」
「【原発】【食】関東の食材からセシウム ~安部首相的「安全」の実態~」
「【原発】最悪の事態を防いだ2つの幸運 ~失われた沃野と海~」
「【原発】汚染水を浄化できるか ~福島第一原発はどうなっているのか~」
「【原発】今、そこにある汚染水危機(3) ~次の震度6~」
「【原発】今、そこにある汚染水危機(2) ~汚染水は海で薄められるか~」
「【原発】今、そこにある汚染水危機(1) ~封じ込めは可能か~」
「【原発】安倍政権、「収束宣言」を撤回 ~汚染水~」
「【原発】廃炉費用を電気料金に上乗せ ~制度を変えた経産官僚は出世~」
「【原発】ウソだらけの汚染水「緊急」対策 ~安部首相の抽象論~」
「【原発】国の汚染水対策3つ ~「汚染水は海に流せ」?~」
「【原発】「東京五輪」を脅かすフクシマ ~ダダ漏れ汚染水地獄~」
「【原発】なぜ汚染水は漏れたか ~誤算・ケチケチ体質~」
「【原発】政権の最優先課題 ~汚染水と廃炉作業~」
「【原発】責任不明確な国の汚染水処理体制 ~再稼働よりも汚染水対策を~」
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「【原発】福島第一原発周辺の海水汚染続く ~魚介累から放射性セシウム~」
「【原発】【食】東日本太平洋沖で獲れた魚介類8体からセシウム検出」