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ニュースを見ていたら、普天間基地移設問題で鳩山総理が「沖縄県民の声を受け止めて、辺野古以外の場所を模索したい」との方針を語っていた。「早く決断をしないと日米同盟の危機だ」「結局、辺野古以外には候補地はない。沖縄の声に流されずに決めないと国益を損じる」とのメディアの大合唱にも関わらず、「しばらく時間をかけ検討する」という結論を出した鳩山総理は、苦悩しながらも自民党政権が無条件にアメリカの顔色と機嫌を伺ってきた外交姿勢と一線を画したという意味で評価したい。

[引用開始]

首相、普天間移設「辺野古以外を模索」 結論まで「数カ月」

 鳩山由紀夫首相は15日、沖縄の米軍普天間基地の移設問題について「やはり辺野古ではない地域を模索する、できれば決めるという状況をなんとしてもつくり上げていきたい」と、キャンプ・シュワブ沿岸部に移設する現行案ではなく、新たな移設先の模索に重点を置く考えを示した。首相官邸で記者団の質問に答えた。結論を出す時期は「数カ月の単位では必要」との見通しを示した。

 首相は同日の基本政策閣僚委員会で結論の先送りを確認したことに関して「日米の合意の重さ、一方で沖縄県民の強い思い。両方同時に考えたときに、今すぐに結論を出せば必ず壊れる」と説明した。「私は結果を出して壊すなどという無責任なことはやりたくない」とも強調した。

[日本経済新聞]

私は96年11月に国会議員となって、まず耳にしたのが「SACO合意」という言葉だった。SACO(日本政府と沖縄に関する特別行動委員会)で、普天間基地の撤去・移設を決めた。やがて、辺野古への移設が決まった当初から、現地では反対の声が大きくあがった。私は当時、何度も沖縄に行ってこの問題を直接に見聞きしてきたが、当時は「海上ヘリ基地」と呼ばれていた。海に「箱型の浮体(メガフロート)」を浮かべるか、海底にクイを打って滑走路を支える桟橋方式(QIP)のふたつが検討されてきた。いずれも、撤去・解体することが出来ることが前提で、現在の様な半永久的な飛行場というものではなかったのだ。

『中央公論』に守屋武昌元防衛省事務次官が手記を書いている。1997年の11月中旬に故梶山静六氏と守屋氏が地元の関係者から「埋め立てでやりたい」「町おこしの材料として北部の建設業者だけでやりたい」という意外な声を聞いていることを告白している。その翌月には「海上ヘリ基地受け入れか否か」をめぐる名護市民投票は「受け入れ反対」という明確な意思表示を行なった。しかし、3ヶ月後の市長選挙で岸本建夫市長が当選したことから、地元の世論は引き裂かれる。

98年11月、自民党と財界の総力戦に8年間続いた大田昌秀県政は、保守系の稲嶺恵一知事にとって代わる。しかし、撤去・解体可能な基地ではなく、2500mの基地は「軍民共用施設」とされ、しかも「15年の使用期限で沖縄県に戻す」という「15年使用期限」という条件をつけたプランが登場した。

ここで、沖縄の基地と時間の尺度について考えて見たい。私たちは沖縄の基地がすでに63年もの時間を経過していることを見なければならない。当時、自民党がおした稲嶺県政でさえ「15年使用期限」という条件を出したにもかかわらず、今回の鳩山政権は半永久的に「辺野古基地」をアメリカに使用させようというのだろうか。このまま、基地の整理・縮小を行なわないと沖縄の基地は「100年」の長さで存続することになる。これは、異常なことである。

さらに、垂直離着陸機オスプレイ配備問題も、辺野古新基地には存在する。オスプレイはヘリコプターのように垂直に上昇し、そのプロペラが90度水平に向いて、プロペラ機として飛行するという新型配備の機種だが、事故・故障続きでその性能は不安定である。騒音もひどいと言われる。実は、辺野古に配備されるのは、このオスプレイだと言われる。辺野古より北の北部訓練場に建設が予定されている半径45mのヘリパットこそ、ゲリラ戦対策でオスプレイが離発着するためと考えられている。

このオスプレイについては「沖縄県民を欺くオスプレイの嘘」(どこどこ日記)

日本政府は、1996年12月の「SACO最終合意」の中にアメリカが記載しようとしていた「オスプレイの配備」については「沖縄県民に配慮して削除してほしい」と要求して、今までシラを切っていた。これも「密約」のひとつだったわけだが、政権交代によってアメリカのご機嫌を伺って服従するだけの外交姿勢を転換して、この十数年間で何を計画していたのかの一切の情報公開をするべきだと考える。

この情報は、沖縄現地でも霧の中にあった。作家の目取真俊さんのブログから一部引用する。

[引用開始]

 琉球新報10月21日付二面には、米海兵隊の「2010米会計年度航空機配備計画」に普天間飛行場代替施設へのMV22オスプレイの配備が言及されている、との記事が載っている。沖縄防衛局は環境アセスメントの「準備書」やその住民説明会では、一貫してMV22オスプレイの配備をごまかし続けている。

 もう8年前になるが、市長選挙の候補者を自らの手で選び出そうという市民運動が名護市で行われた。その時に候補者に名乗りを上げた真喜志好一氏が、公開討論会の場でインターネットから取ったオスプレイの動画をスクリーンに映し、機種の特徴や構造上の欠陥と危険性、それが辺野古に配備される可能性が高いことなどを説明して警鐘を鳴らしていた。

 当時から沖縄ではオスプレイの配備が問題となっていたのだ。しかし、自公政権と防衛省、沖縄防衛局は市民を欺き、辺野古新基地へのオスプレイ配備について曖昧にしたまま、建設に向けて環境アセスメントを進めてきた。いったい鳩山政権はオスプレイの沖縄配備についてどのような見解を示すのか。このまま環境アセスメントを進めて、自公政権と同じごまかしを続けるのか。メディアは鳩山首相や北沢防衛相を問いただすべきだ。

[引用終了]

問題は普天間基地の単純な移設ではなく、危険な基地の拡大と危険なオスプレイ配備が加わったプランなのだ。


さらに詳しい議事録は→「沖縄はもうだまされない」(真喜志好一hp)

普天間問題の欧米の報道ぶりは→「反戦な家づくり」

日本のメディアは、まだ「自民党支配」「政権交代前」のマインドだろうか。NHKの昨晩のニュース解説は、ひどく一方的だった。「オスプレイ」の一言もないというのは許されないのではないか。

(続きは後日)

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