海鳴りの島から

沖縄・ヤンバルより…目取真俊

パラシュート降下訓練とオスプレイ配備

2009-10-23 11:40:20 | 米軍・自衛隊・基地問題
 沖縄では連日、米軍基地問題が県内紙の一面トップになっている。普天間基地の「移設」問題をめぐる日米両政府の動向に加えて、米軍の演習や事件、事故なども報じられるので記事が途切れる間がない。
 今朝の琉球新報の一面トップは、米海兵隊が名護市辺野古のキャンプ・シュワブ基地の沖で、パラシュート降下訓練を行ったというものだ。米軍への提供水域内ではあるが、沖縄県や名護市への事前連絡はなく、近海にいた民間の船や沿岸で目撃した人たちを驚かせている。これはたんに米軍内で事前連絡体制が徹底していない、ということですまされるものではない。普天間基地の辺野古への「移設」問題が全国的に関心を集めている中で、漁業従事者をはじめとした地域住民を危険にさらし、これまで何度も抗議を受けてきたパラシュート降下訓練を平然とやってのける在沖米軍の意識、感覚の異常さが追及されなければならない。こういう米軍の実態を見れば、いったん辺野古に新基地ができてしまえば、地域住民がどれだけ抗議しようと、それを無視してやりたい放題の演習をやるのは目に見えている。
 琉球新報紙には仲井真知事のコメントも載っている。

〈仲井眞弘多知事は22日「困る。もう少し神経を配らなければならない。そうでないと、(県民)皆が米軍は外へ出て行けとなりかねない」と強い不満を示した〉

 普天間基地は「県外移設がベスト」と言っているのに、「(県民)皆が米軍は外へ出て行け」となると困るんだそうだ。仲井真知事の本音がついポロッとこぼれたようだが、米軍に対する優柔不断かつ弱腰な自らの姿勢こそが、米軍をこのように傲慢にさせていることを自覚すべきだろう。沖合への「微修正」をちらつかせれば、すぐに尾を振って近寄って来るというふうに米政府や米軍にあしらわれ、鳩山政権包囲のために利用されているのが仲井真知事の実情ではないのか。

 琉球新報10月21日付二面には、米海兵隊の「2010米会計年度航空機配備計画」に普天間飛行場代替施設へのMV22オスプレイの配備が言及されている、との記事が載っている。沖縄防衛局は環境アセスメントの「準備書」やその住民説明会では、一貫してMV22オスプレイの配備をごまかし続けている。
 もう8年前になるが、市長選挙の候補者を自らの手で選び出そうという市民運動が名護市で行われた。その時に候補者に名乗りを上げた真喜志好一氏が、公開討論会の場でインターネットから取ったオスプレイの動画をスクリーンに映し、機種の特徴や構造上の欠陥と危険性、それが辺野古に配備される可能性が高いことなどを説明して警鐘を鳴らしていた。
 当時から沖縄ではオスプレイの配備が問題となっていたのだ。しかし、自公政権と防衛省、沖縄防衛局は市民を欺き、辺野古新基地へのオスプレイ配備について曖昧にしたまま、建設に向けて環境アセスメントを進めてきた。いったい鳩山政権はオスプレイの沖縄配備についてどのような見解を示すのか。このまま環境アセスメントを進めて、自公政権と同じごまかしを続けるのか。メディアは鳩山首相や北沢防衛相を問いただすべきだ。

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