hiyamizu's blog

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東野圭吾『容疑者Xの献身』を読む

2018年01月06日 | 読書2

 

 

 東野圭吾著『容疑者Xの献身』(文春文庫ひ13-7、2008年8月10日文藝春秋発行)を読んだ。

 

 裏表紙にはこうある。

天才数学者でありながら不遇な日日を送っていた高校教師の石神は、一人娘と暮らす隣人の靖子に秘かな想いを寄せていた。彼女たちが前夫を殺害したことを知った彼は、二人を救うため完全犯罪を企てる。だが皮肉にも、石神のかつての親友である物理学者の湯川学が、その謎に挑むことになる。ガリレオシリーズ初の長篇、直木賞受賞作。

 

  東野圭吾作品読者人気ランキング第1位。累計220万部突破、ガリレオシリーズ初の長編。直木賞・本格ミステリ大賞受賞。2005年度「本格ミステリ・ベスト10」「このミステリーがすごい! 」で1位、エドガー賞(MWA主催)候補作。

 福山雅治主演で映画化、韓国、中国でも映画化。舞台化もされた。

 

 天才数学者でありながら不遇な日々を送っていた高校教師の石神は、一人娘の美里と暮らすアパートの隣人・花岡靖子に秘かな想いを寄せていた。 ある日、靖子の前夫・富樫慎二が母娘の居場所を突き止めて訪ねてきた。どこに引っ越しても疫病神のように現れ、金を無心し、暴力をふるう富樫を、美里が花瓶で殴りつけ、靖子がコタツのコードで絞めて殺してしまう。 呆然とする二人に代わり、石神は死体を処置し、二人のアリバイ工作をして、自らの論理的思考によって二人に指示を出し、完全犯罪を企てる。

 

 警察は旧江戸川で死体が発見された遺体を富樫と断定し、花岡母子を追及する。しかし、アリバイに僅かな差があり、捜査は進展しない。困った草薙刑事は、友人の天才物理学者、湯川学に相談を持ちかける。だが湯川は石神と帝都大学の同期で、親友であった。

 

 以下、見当違いの捜査に導くための、石神の、いかにも疑わしく、調べれば何か出そうなアリバイ工作と、わなを見破り逆襲する湯川との丁々発止の頭脳戦が続いていく。

 

 

初出:「オール読物」2003年6月号~2004年6月号、2004年8月号~2005年1月号(「容疑者X」を改題)

単行本:2005年8月 文藝春秋刊

 

 

私の評価としては、★★★★(四つ星:お勧め)(最大は五つ星)

 

 筋立てがよく練られていて、見事。

 

 孤独で不遇な数学者像がよく描かれている。感情をなくしたような冷静で合理的な応答の一方で、最後に爆発し露見する真に相手のためを思う熱い恋心。対して、後にシリーズとなる湯川ガリレオ先生のキャラが目立たない。

 

 この本は、大分前に読んだのだが、ブログを書いていなかったので、そのためだけに再読した。肝心な最後のどんでん返しはすっかり忘れていて、また感心してしまった。無念!

 

 石神の基礎数学研究は、紙と鉛筆さえあればどこでも進められるが、一方で、すでの石神の歳は最先端数学研究にはピークを過ぎてしまっていることも自分で自覚しているだろう。

 

 

東野圭吾の履歴&既読本リスト

 

 

登場人物

石神哲哉:高校数学教師。湯川・草薙とは帝都大学の同期。花岡靖子のアパートの隣室に住む。湯川は「天才」と言う。丸く大きな顔で糸のように細い目。ひそかに靖子を恋している。

花岡靖子:クラブ「まりあん」のホステスから弁当屋「べんてん亭」の従業員になった。8年前に離婚した2度目の夫の富樫に付きまとわれる。。

花岡美里:靖子の最初の夫との娘。中学生。

富樫慎二:靖子の二度目の夫。会社の金を使い込んで解雇。離婚後も靖子に付きまとう。

工藤邦明:靖子の元勤め先「まりあん」の常連客。小さな印刷会社経営。靖子に好意を持っている。

缶男:河川敷のホームレスの古株。大量の缶を潰している。

技師:河川敷のホームレス。工業系の雑誌を読む。再就職先を探している。

米沢小代子:「べんてん亭」経営者米沢の妻。飲み屋のママからの転身。

上野美香:花岡美里の親友。ミカ。

 

湯川学:帝都大学物理学助教授、理工学部物理学科第十三研究室に所属。帝都大学理工学部卒業。草薙が持ち込む難事件をすべて解決するので、捜査一課からは「ガリレオ(先生)」と呼ばれる。

草薙俊平:警視庁捜査一課所属の刑事。帝都大学社会学部卒業。湯川とは帝都大学バドミントン部での同期。

岸谷:草薙の後輩刑事。

間宮:草薙の上司。捜査一課所属係長。

コメント
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