hiyamizu's blog

読書記録をメインに、散歩など退職者の日常生活記録、たまの旅行記など

辛酸なめ子『女子高育ち』を読む

2011年09月12日 | 読書2
辛酸なめ子著『女子高育ち』ちくまプリマー新書156、2011年3月筑摩書房発行、を読んだ。

裏表紙にはこうある。
女子100%の濃密ワールドで洗礼を受けた彼女たちは、卒業後も独特のオーラを発し続ける。インタビュー、座談会、同窓会や文化祭潜入などもまじえ、知られざる生態をつまびらかにする。


内容は、まず50校ほどの女子高を勉強系、お嬢様系などにタイプ別に分類した図が掲げられ、幾つかの代表校の校風から最重要項目らしい制服の評価などが紹介される。

レディー・ガガはカトリック系女子高出身と聞いて、・・・性を超越した存在感や男性受けを考えない個性的ファッションなど女子高らしさが凝縮されています。
・・・オノ・ヨーコ、YOU、酒井順子、松任谷由実、中村うさぎ、いとうあさこ……皆、女子校出身者だと思うと何か通じるところがあるような気がします。彼女たちは、おそらく男性よりも女性の目を意識して表現活動している、それ故女性に嫌われにくいのでしょうか。


「マリアさま いやなことは 私が よろこんで」という嗜虐的な学園標語を掲げている東京純心女子のトイレ掃除の話が怖い。
週番で回ってくるのですが、終わった後必ずシスターがチェックしに来て、なんと直接便器を手で触るそうです。さらには、「あなたたち、これをなめられるの?」と厳しく追及されることも……。


お嬢様女子高生は、制服、人脈、ブランド力を発揮して遊び狂っていながら、テーブルマナーや社交術は幼い頃から叩きこまれているので大人の前では「いい子」に切り替えられる術が身につけている。
制服が可愛く、六本木にある東洋英和の学校生活の写真に寮は「軽井沢」、行き帰りのバスは「ベンツ」とあった。
進路も「本当のお嬢様校」は一流大学に入って有名企業に就職するものの、家にお金があるのでお金を稼ぐことに関心がなく事務職を数年やって退社して結婚する。

勉強系の進学校の桜蔭の文化祭の様子が対照的だ。
生物部の部屋では、白衣が似合いすぎの桜蔭生が、食虫植物について研究発表をしていました。「甘い蜜をだして、虫を誘い込みます」「感覚毛に触れた虫をはさみ込みます」などと推定処女率100パーセントの女子が、虫をおびき寄せる手練手管について淡々と発表するのはかなりシュールな光景です。



辛酸なめ子
1974年東京都千代田区生れ、埼玉県育ち。漫画家、コラムニスト。
女子学院中学高校卒。武蔵野美術大学短期大学部デザイン科卒業。
著書に『女子の国はいつも内戦』『女の一生すごろく』『男性不信』など。
筆者は中学受験を経て、東大合格率も高い中高一貫の女子学院に入学。制服もなく浪人生に間違われるような学生生活を送ったという。



私の評価としては、★★★(三つ星:お好みで)(最大は五つ星)

共学高で女子とは友達感覚が強かったので、女子高とは女性度ムンムンの大奥を想像させ、高まる期待を抑えつつ読み始めた。

最初のページの「はじめに」で、「女子高出身者は女子のみの気の置けない、男性の目を意識しない環境にいたので自然な女性フェロモンを出せなくなる」など、温室育ちのお嬢様のイメージがまず崩れてしまう。
「女性だけの社会ではこんなことが!」と期待した男性は、男性の目がないところでは女性もサバサバしているとの話に、私のように、がっかりするだろう。
ならば、「超お嬢様とはこんな驚愕なことを・・・」と驚かしてくれるのではと期待して読み進めたが、その部分は軽く触れられるだけだった。勉強系の女子学院出身の著者にはむりだったのだろう。

かといって、女子高一般について深い考察、分析があるわけではない。幾つかの女子高についてインタビュー、座談会、潜入ルポなどにより細かい具体的な点を指摘するのみだ。
また、私は東京出身なので、この本に出てくる幾つかの有名女子高についてある程度のイメージがあるが詳細は知らず、大部分の女子高については名前だけで、幾つかについては名前も初耳だった。したがって、その女子高がどうのこうのと言われても、とくに制服の詳細などを語たられても、興味がわかなかった。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする