hiyamizu's blog

読書記録をメインに、散歩など退職者の日常生活記録、たまの旅行記など

上野千鶴子「老いる準備」を読む(2)

2008年12月22日 | 読書2

上野千鶴子著「老いる準備―介護することされること」2005年2月、学陽書房発行を読んだ。
上野千鶴子が、老いた人の自立、介護、家族、市民事業体(NPO)などについて分かりやすく語lっている。



読んでいて、「どこかで読んだ話だな。いろいろなところに同じようなことを書いているだろうからな」と自分で納得して読み進め。しかし、どうもおかしいと思って、つくづく表紙を眺めると、赤い葉の写真に見覚えがある。私は、文章より、イメージの方が記憶に残りやすい。念のため、このブログの左の欄の下にある「検索」の欄に、「老いる準備」と入力して、検索をクリックすると、出た!

上野千鶴子「老いる準備」を読む



つまり、このブログのタイトルに(2)とあるのは、この本を既に読んでいて、2007年11月に感想「上野千鶴子「老いる準備―介護することされること」を読む」をブログにも載せていたためだ。昨日の夕飯に何を食べたかも思い出せないのだから、1年前のことを忘れていても仕方がない。

私は、荷物を増やさないために本は図書館で借りることにしている。したがって、記憶力の衰えた最近ではときどき既に読んだ本を再び手にとり、読み始めてしまうことがある。興味のある著者は限られているし、なぜか私が気になるタイトルや装丁には限りがあるようで、よく同じ本をなんどでも手にしてしまう。



なお、上野千鶴子さんの「おひとりさまの老後」がベストセラーになったからだろう、その背景となったこの本は、同じ題名で、2008年11月に朝日文庫化された。



私の評価としては、★★★★☆(四つ星:お勧め)
一部、研究成果など詳細すぎる部分もあるが、上野さんの主張のもとになっている考え方が素直に語られているような気がする。NPO、市民運動を進める人にはとくにお勧めだ。



ダブりにならない範囲で内容を一部ご紹介。(  )は私のコメント

50歳を越えて「わたしの人生は下り坂である」と、率直に認める著者。その上野さんが向老学、介護、市民事業体、ニューシルバーなどについて、わかりやすく本音で語る。

(現役東大教授で「下り坂」とはとりようによってはいやみにも聞こえるが。)



「恍惚の人」に関する対談で、有吉佐和子さんは、「たとえ痴呆になっても、私はとことん生き延びてやろうと思います。おぎゃーと生まれたときには寝たきりでした。人の手にかかって依存的な存在として生まれてきたのだから、やはり人様の手にお委ねして、依存的な存在として死んでいきとうございます」と答えている。

(すご過ぎる。女性の根源力に畏れ、有吉さんの透徹した考えにひれ伏すのみ。
 筋が違うが、関連で思い出した話をひとつ。
 アメリカンネイティブの言い伝え
  『周囲の笑顔の中、泣きながら生まれ、周囲の涙の中、笑顔で死ぬ』これが幸せ
趣旨はこんな事だと思った。以前このブログに書いたと思ったが。



利益を目的としない団体の進め方の三原則が紹介されている。
その一、やりたい人がやる。やりたくない人はやらない。
その二、やりたい人はやりたくない人を強制しない。
その三、やりたくない人はやりたい人の足を引っ張らない。
上野さんは「『他人のため』より『自分のため』」とも述べている。

(私も慈善という言葉は嫌いだ。若いころボランティアをしていて、自分が楽しいので続けていたし、そうでなければ、信仰もたいした信念もない私には続くものではなかった。『情けは人のためならず』とはいずれ回って自分の利益につながるという意味ではなく、行為が自分の楽しみで、少しは自分の糧になるという意味だと思う)



今や還暦に到達しつつある団塊の世代を著者はニューシルバーと名づける。その指針として四つあげる。
一、わがままに生きよう。
二、住みなれた土地で、親しい仲間たちと一緒に
三、気の合うネットワークづくりを
四、最後は一人と覚悟する

(一は、誤解かもしれないがわがまま一杯な上野さんに言われたくないと思う。四が「おひとりさまの老後」につながったのだろう)


上野千鶴子の略歴と既読本リスト

 

コメント
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