定年延長問題、一強政権に従う官僚 元検事郷原弁護士に聞く (2020年3月18日 中日新聞)

2020-03-18 09:24:52 | 桜ヶ丘9条の会

定年延長問題、一強政権に従う官僚 元検事郷原弁護士に聞く 

2020/3/18 中日新聞


 安倍政権が黒川弘務東京高検検事長の定年延長を閣議決定した翌日、元東京地検特捜部検事の郷原信郎弁護士は違法性をいち早く世に問うている。定年延長は十七日の国会審議でも野党に追及された。背景に何があるのか、郷原氏に聞いた。

 -一月三十一日の閣議決定の翌日、違法の疑いがあるとブログに書いた。

 「人事の決定直後に他の『ヤメ検』弁護士から聞き、違法だと直感した。検察庁法は検察官の定年を六十三歳、検事総長は六十五歳と定めている。検察官は個人個人が極めて強大な権限を持っているから、一般の公務員とは別に権限行使に年齢的な制限を設けている。これまでは例外なく法律を守ってきた」

 -政府は法解釈を変更したと説明している。

 「国家公務員法を検察庁法に反して解釈できるわけがない。全て後付けだ」

 -検察官は定年延長制の対象外とする一九八一年の政府見解の存在を野党が国会で指摘した。法務省は把握していなかったのか。

 「多分、知らなかった。気づいていれば違法の認識を持ってしまうので、知らなかったことにするほか選択肢がなかった。安倍一強政権に仕える役人が結論ありきの人事を言われたら、実現するしかない。そうしなければ出世の目がなくなると必死だったのだろう」

 -黒川氏は余人をもって代えがたいのか。

 「検察官としては違う。法務官僚としてはその通りだ。私は黒川氏と任官同期で、今も連絡を取れる間柄だ。彼は交渉術にたけている。敵をつくらず、冗談を言いながら、一つの方向に話をまとめる類い稀(まれ)な能力がある。『人たらし』だ。そんな検事はなかなかいない。政権にとっては非常によく仕えてくれた官僚だ」

 -安倍政権の狙いは。

 「黒川氏を今のポストに残した方が都合がいいと考えられる案件は、菅原一秀前経済産業相の公選法違反疑惑くらいだ。だから、次期検事総長への起用が主目的だとみている。官僚の出世は政権の評価で決めるという原則を検察庁に関しても貫徹したのではないか」

 -この人事が検察の独立に与える影響をどうみる。

 「検察の独立性は絶対不可侵だという考え方は独善を招く。内閣がビジョンをもって人事権を行使することは否定しない。だが、強大な権限を持つ安倍政権が違法な手段まで使って検察を支配下に置くのは、極めて危険だ。検察が政権以外にはすごく強い、政権の忠実な僕(しもべ)になってしまう」

 -違法人事の疑いを持たれたまま黒川氏を検事総長に起用できるのか。

 「稲田伸夫検事総長にかかっている。慣例通り在任約二年の八月に勇退するかどうかだ。六十三歳の稲田氏は職にとどまることもできる。黒川氏の定年延長は半年なので、その場合は退官になる。政権が黒川氏を検事総長にするために定年を再延長すれば、違法に違法を重ねることになる」

 (聞き手・竹内洋一、井上峻輔)

 


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1 コメント

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どこのドイツ (ガーゴイル)
2020-09-12 19:00:52
大学や大学院の学歴は入学していなくても卒業や修了認定されることもある。

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